議事録

2024年5月21日 総務委員会(能登半島地震被災者へのNHK受信料免除・NHKのインターネット配信について)

議事録

【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。能登半島地震被災者のNHK受信料の免除についてお聞きします。

 NHKにお聞きします。NHKが被災者の受信料を一定期間免除するに当たっての基本的な考え方を教えてください。

【小池英夫 日本放送協会専務理事】 お答えいたします。

 NHKが災害免除を行う場合には、総務大臣の認可を得て定めた日本放送協会放送受信料免除基準に基づき、災害救助法が適用された地域のうち、お住まいが半壊、半焼又は床上浸水以上の程度の被害を受けた方を対象としており、免除期間は二か月としております。

 今回の能登半島地震のように、特定非常災害に指定される等被害が甚大である場合は、総務大臣の承認を受けた上で免除期間を延長しております。また、災害対策基本法に基づく避難指示等を一か月以上受けている方も免除対象に加えて、その期間が免除の期間を超えた場合は、解除された月の翌月まで受信料を免除することとしております。

【伊藤岳 参院議員】 東日本大震災や令和二年の熊本・大分豪雨災害の被災者の中には、受信料の免除を継続している例もあると思います。これ、どのような事情からですか。

【小池英夫 日本放送協会専務理事】 お答えいたします。

 御指摘の二つの災害についても被害が甚大であったため、総務大臣の承認を受けて免除期間を延長するとともに、災害対策基本法に基づく避難指示等を一か月以上受けている方も免除の対象に加えて、その期間が免除の期間を超えた場合は解除された月の翌月まで受信料を免除することとしております。

 東日本大震災においては、福島第一原子力発電所事故により福島県の一部に帰還困難区域が指定され、現在も避難指示が続いております。また、令和二年七月豪雨においては、熊本県の一部に災害対策基本法に基づく避難指示が続いていることを受けて免除の適用を継続しているものでございます。

【伊藤岳 参院議員】 今の小池専務理事の説明では、被災の状況をよくつかみ対応するということだと思います。

 稲葉NHK会長にお聞きします。

 能登半島地震被災者の受信料の免除は、この六月で終了することとなります。しかし、被災地の現状は、いまだ下水や宅地内配管の損傷の修復が遅れて事実上水が使えない状況が残されるなど、インフラの復旧が大きく遅れています。また、仮設住宅建設もごく一部しか進んでおらず、生活となりわいの再建のめどが立っていません。情報の確保は復旧復興に欠かせないと思います。

 こうした事態に即して、受信料の免除期間の延長を検討すべきではないでしょうか。

【稲葉延雄 日本放送協会会長】  お答えいたします。

 能登半島地震におきましても、免除の期間は当初の二か月から六か月に延長するとともに、災害対策基本法に基づく避難指示等を一か月以上受けている方も免除の対象に加えてございます。また、避難指示等の期間が六か月を超えた方については、避難指示等が解除された月の翌月まで免除の適用を継続することにしてございます。

 今後も、被災された方へ免除のお手続などについて丁寧に周知するとともに、免除の再延長につきましては、国や公益企業などの支援策の動向なども注視しながら検討してまいりたいというふうに思っております。

【伊藤岳 参院議員】 受信料免除の継続を表明していただきましたが、是非被災の状況をよく見て柔軟に対応していただきたいと思います。

 NHKのインターネット配信についてお聞きします。

 NHKのインターネット配信が必須業務となります。配信の内容については、放送番組の同時配信、放送番組の見逃し、聞き逃し配信とともに番組関連情報の配信が加わります。放送番組等のインターネット配信を必須業務とする以上、NHKが公共放送として、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内基幹放送を行うとの、これ放送法第十五条に沿った業務となるように努めて、国民・視聴者の知る権利が一層充実する配信が行われることが重要であると私は思います。

 稲葉会長、番組関連情報の配信の内容について、現状ではどこまで検討されているのか、任意業務として配信されていた理解増進情報との比較で何をどう充実させることが議論されているんでしょうか、お示しいただきたいと思います。

【稲葉延雄 日本放送協会会長】  お答えいたします。

 改正放送法では、放送番組をそのまま提供する番組の同時配信、見逃し配信に加えまして、番組関連情報として、放送番組と同一の内容をネットの特性に合わせた動画やニュース記事などのテキストの形で継続的、安定的に提供していくということが求められていると理解してございます。

 番組関連情報の配信を規律する業務規程の策定に当たりましては、視聴者・国民の皆様のニーズを満たすもの、生命や安全を確保するもの、公正な競争を確保するものなど改正放送法に定める要件に適合させながら、配信する内容について検討を急いでいるところでございます。

 現行制度における理解増進情報は、あくまで放送番組に対する理解の増進に資するものでございましたが、改正法の番組関連情報は、放送と同一の情報価値をインターネットの特性に合わせてこれまでの任意業務のときよりもより高い水準でサービスを提供していくものだというふうに考えてございます。

 今回の改正法は、インターネットでもしっかりと公共的役割を果たしていく重い責任を担うことだと受け止めてございまして、視聴者・国民の皆様の期待に応えられるよう準備を進めてまいりたいと思っております。

【伊藤岳 参院議員】 具体的に一つお聞きします。

 会長は、この間、様々なニュースを継続的、安定的に提供すると言われてきましたけれども、理解増進情報のコンテンツは、例えばニュースジャンルでいうと、NHK政治マガジンなど六つのコンテンツがウェブ特集に一本化され、これ継続的には提供されなくなっています。

 番組関連情報に移行したら、更に一本化や廃止されるコンテンツは増えるんでしょうか。

【稲葉延雄 日本放送協会会長】  お答えいたします。

 政治マガジンなどの六つのサイトは、三月二十九日にNHKのニュースウェブのウェブ特集に一本化しまして、国内外のニュースの分野ごとに特集記事などを見やすくし、総合的にコンテンツを提供するというようなことでサービスの向上を図ってございます。

 必須業務化後のサービスの具体的な内容については今検討を進めているところでございますが、番組の同時配信、見逃し配信だけではなく、災害情報や地域情報などを含め、政治、経済、社会、科学、文化、スポーツなどの国内外の様々なニュースをインターネットの特性に合わせた動画や記事で提供していきたいというふうに考えてございます。

 インターネットでも放送と同一の情報価値を提供していくために、サービス全体を設計し直し、その内容を一層充実させてまいりたいというふうに考えております。

【伊藤岳 参院議員】 ワーキンググループの取りまとめでは、収支を勘案してインターネット事業に取り組む民間放送事業者その他の民間報道機関の経営に悪影響を及ぼしているのではないかと指摘し、NHKによるテキスト情報等の配信を認めるとしても、メディアの多元性を確保する上で重要な役割を果たす放送の二元体制が損なわれることがないよう、その範囲を限定して画定されるべきであるとされました。

 総務省に聞きます。

 この範囲を限定とは何を指すんでしょうか。例えば、国内外の多様なニュースの範囲のことなのか、継続的、安定的な提供の範囲のことなのか、またコンテンツの量の範囲のことなのか、お示しいただきたいと思います。

【小笠原陽一 総務省情報流通行政局長】 御指摘の公共放送ワーキングの取りまとめにおきましては、NHKが必須業務として提供すべきテキスト情報等放送番組以外の情報の範囲につきまして、NHKの設置趣旨に鑑み、国民の知る権利の公的な側面を勘案すれば、民間放送事業者や新聞社、通信社のほか、NHKを含めた様々な主体から視聴者が多元的に情報を受け取ることができる環境を整えることが望ましいことから、放送番組以外の情報についても必須業務とすべきとの御議論があったところであり、御指摘の記述につきましては、放送の二元体制を含むメディアの多元性を確保するため、放送番組と同一の内容を基本とする一定の範囲にとどまるよう、法律において外延を画定する制度とすべきとの趣旨が述べられているものというふうに認識しておりまして、委員がただいま御指摘されましたようなコンテンツの具体的な内容に立ち入る趣旨ではないというふうに考えております。

【伊藤岳 参院議員】 ワーキンググループで、二元体制が損なわれることがないようにと取りまとめられました。

 民放とNHKとが切磋琢磨することは重要だと思いますが、だからといって、コンテンツの量が減って情報の多元性、多様性の確保が後退するようなことがあっては放送の発展につながらないと思います。今局長も、単純にコンテンツの量の問題じゃないというふうに答弁されました。

 資料をお配りしました。松本大臣の衆議院の答弁です。大臣は、この番組関連情報について、国民・視聴者の多様なニーズに応える形で放送番組の内容を伝えるものであり、国民や視聴者にとって必要な情報がインターネット配信で提供される点において、現在任意業務として配信されている理解増進情報と考え方が変わるものではございません、少し飛ばしますが、NHKさんにおかれましては質、量両面においてサービスの一層の充実向上に取り組んでいただきたいと考えておりますと答弁されました。

 この大臣の答弁と、コンテンツの量が減り、情報の多元性、多様性が後退するようなことはあってはならないということは、これ大臣、矛盾しませんよね。

【松本剛明 総務大臣】 五月十七日に成立しました放送法の一部を改正する法律は、放送をめぐる視聴環境が急速に変化する中、放送という手段に加え、インターネットを通じて国民・視聴者に放送番組とともに番組関連情報を提供することをNHKの必須業務とするものでございます。

 その上で、必須業務として提供すべき番組関連情報の範囲を法律で定義しつつ、国民・視聴者の多様なニーズに応える形で具体的に何を配信するかについては、NHKさんの御判断と責任の下で、自ら業務規程を定め、競争評価のプロセスを経て確定する仕組みとしております。

 御指摘の私の答弁ですが、公共放送ワーキンググループの取りまとめの内容を踏まえて改正した放送法にのっとりまして、NHKさん自らが定める業務規程の下で、NHKさんにおいて質、量の両面においてサービスの一層の充実向上に取り組んでいただきたい旨を申し上げたものでございまして、この規程についても言及させていただきましたが、公共放送ワーキンググループの取りまとめの記載と矛盾するものではないと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 大臣、明確に答えていただきたいのが一つあります。

 今、局長もさっき言われましたが、このワーキンググループの範囲を限定するとは、単にコンテンツの量とか情報の多元性、多様性を縮小しようということではないですね。もう一度明確に御答弁。

【松本剛明 総務大臣】 先ほど局長から御答弁させていただいたとおりであるかと思っております。

 放送の二元体制を含むメディアの多元性を確保するため、放送番組と同一の内容を基本とする一定の範囲にとどまるよう、法律において外延を画定する制度とすべきとの趣旨がワーキンググループの取りまとめと理解をしておりまして、コンテンツの具体的な内容に立ち入る趣旨ではないと考えております。

 法の改正もこの取りまとめを踏まえて我々行ったものでございます。

【伊藤岳 参院議員】 まとめます。範囲を限定するとかコンテンツの量とかの問題ではないということは明確に確認します。

 NHKが国民・視聴者の知る権利が一層充実する配信となるよう、番組関連情報の検討を自主的に進められるべきだということを申し述べて、質問を終わります。