議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。
NTTの障害者向けサービス、みえる電話の廃止についてお聞きします。
私の事務所に次のような訴えが寄せられました。私は聴力障害者で障害者手帳を交付されております。NTTドコモでは、スマホ画面に文字が表示される無料サービスを実施していたので使用しておりましたが、三月でサービス終了とのこと。このサービスを必要としている方は大勢いると思いますので、無料サービスの継続を切にお願いしますという男性からの話でした。
NTTドコモ自身も、耳の聞こえづらい方が安心して電話を利用でき、誰もがスマートフォンを活用できるようサービスを提供とうたってサービスを開始、提供してきたものでした。
総務省、耳に障害のある方がNTTみえる電話サービスの継続を望んでおられるのは知っておられますか。それでもNTTみえる電話サービスは廃止し、継続はされないのでしょうか。
【湯本博信 総務省大臣官房総括審議官】 お答え申し上げます。
NTTドコモは、今委員がお話がありましたとおり、通話相手の発話内容を画面上に文字で表示するみえる電話につきまして、本年三月にサービスの提供を終了したと承知しております。
NTTドコモに今後再度サービス提供するつもりはないのかと確認したところ、継続の予定はありませんとのことでした。
【伊藤岳 参院議員】 これ、NTTの判断だ、民間の判断だということで済まされないと思うんですよ。
総務省のワーキンググループも、みえる電話と電話リレーサービスを位置付けてきたと思います。総務省の電話リレーサービスに係るワーキンググループ第二回の資料を見ますと、みえる電話は文字アプリを使い慣れているお客様向けのサービス、電話リレーサービスは手話オペレーターを介して通話することを希望するお客様向けのサービスとして、両者は相互補完関係にあるとされていました。これ、総務省の資料です。
総務省、このみえる電話と電話リレーサービスは相互補完関係にあると説明されていた。この総務省の説明、これは事実ですよね。
【湯本博信 総務省大臣官房総括審議官】 平成三十一年二月二十一日に開催されたデジタル活用共生社会実現会議ICTアクセシビリティ確保部会電話リレーサービスに係るワーキンググループにおけるNTTドコモから提出があった資料の中で、みえる電話はふだんからLINEやメール等の文字アプリを使い慣れているお客様向けのサービスとして、また、電話リレーサービスは手話オペレーターを介して通話することを希望されるお客様向けのサービスとして、両者は相互補完関係にあると考えられると記載されているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 総務省の主宰するワーキンググループの会議で、このみえる電話のサービスの大切さが確認されていたわけですね。
しかも、このみえる電話は無料サービスですが、総務省もこのワーキンググループで説明していた代替サービス見ますと、これ、どれも有料です。訴えを寄せてくれた男性によりますと、ショップで相談したら、他社でやっている利用十分当たり約百円掛かるサービスがあると紹介された、又はグーグルの七万五千円から十五万円の機種に切り替えないと文字サービスは受けられないと言われたそうです。
NTTのこのサービスの廃止は、総務省ワーキンググループが検討した施策の後退にもつながりかねません。しかも、耳に障害のある方にとっては、文字アプリを通じた無料サービスから有料サービスへの利用を迫られることとなります。
松本大臣、これ、単なるNTTのサービス廃止の問題だ、民間のサービスの廃止の問題だ、民間の経営判断だでは済まされないのではないかと思いますが、大臣、そう思われませんか。
【松本剛明 総務大臣】 みえる電話について、本年三月にサービスの提供を終了したことは私も聞いているところでございます。
NTTドコモにおけるみえる電話サービスの終了に関しては電気通信事業法の許認可対象とはなっておりませんで、経営判断により終了することが妨げられるものではございません。
総務省としては、利用者保護の観点から終了前に事前周知がなされることが望ましいと考え、NTTドコモにおいては、終了する旨と電話リレーサービスなどの代替措置について昨年九月に公表したと聞いているところでございます。
委員からお話がございましたが、やはり改正障害者差別解消法において事業者による障害のある方への合理的配慮が義務化されております。NTTドコモを含めた電話提供事業者には、電話リレー法において、自らが果たす役割の重要性に鑑み、必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされており、積極的な取組を行うことが期待されていると考えているところでございます。
総務省としては、障害のある方お一人お一人があらゆる分野で活躍していただくために、情報を十分に取得、利用し、円滑に意思疎通が図られるようにすることは大変大切であると考えております。電話リレーサービス提供機関による電話リレーサービスの円滑な提供、障害のある方のための情報通信機器・サービスの開発等に対する助成などを通じて、共生社会の実現に向けて貢献いたしたいと考えます。
【伊藤岳 参院議員】 何か次の質問の答弁もしていただいたようですけれども。
大臣、NTTの判断だというふうに繰り返されましたけれども、NTTの株、政府も保有しているじゃないですか。あまねく電話の提供を役務とするNTTの問題ですよ。これ、単純に、単にNTTの判断の問題だということで私済まされないと思うんです。
ワーキンググループの資料にはこんな声も紹介されていました。障害を持つ私にとって生活になくてはならないものという声です、生活になくてはならないもの。大臣も今言われましたが、障害者差別解消法の改正によって、事業者による障害のある方への合理的配慮が、努力義務にとどまっていたものが法的義務化されたではありませんか。
この改正法の八条二項は、事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することがないように社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならないとしています。また、同法には、報告の徴収及び助言、指導及び勧告の規定や、それに反した場合の罰則も設けられています。この施行日が二〇二四年四月一日だったんですね。
ところが、NTTは、みえる電話サービスを何と改正施行日となる四月一日の直前に終了、撤退してしまったんです。これは、改正された障害者差別解消法にも反する後ろ向きの対応ではありませんか。また、合理的配慮に対する事業者の法的義務化から逃れるための判断と言われても仕方ないのではありませんか。八条二項では、その実施に伴う負担が過重でないときとされていますが、現に無料サービスとして実施されているものを終了した点でも問題があるのではないでしょうか。
大臣、この点から考えても、NTTの判断だで済まされないと考えますが、いかがですか。
【松本剛明 総務大臣】 いわゆるNTT法で定められておりますのは、御承知のとおり、NTT持ち株会社と東日本・西日本電信電話株式会社でありまして、NTTドコモはNTT法において定められた会社ではありません。そういう意味で、私としては、所管する電気通信事業法の規定から許認可の対象でないということを申し上げたところでございます。
その上で、改正障害者差別解消法の適用につきましては、また法律の所管のところから必要があれば御説明をさせていただければと思いますが、障害者の皆さんに対する対応としては、私どもとしても電話リレー法において対応させていただいているところは先ほど御説明をさせていただいたところでございまして、これからも、先ほども申しましたように、様々な支援施策も含めて、共生社会の実現に向けて総務省としては努力をしてまいりたいと思っております。
【伊藤岳 参院議員】 先ほど、大臣、NTTドコモが事前に終了を通知していると言いましたけれども、確かに通知はしているんだけど、その終了の理由も何も全く公表されていないんです。また、利用している障害者の意見すら聞いている傾向は見受けられません。これ、総務省として事態を把握すべきだと私は思います。
そのことを強く指摘をして、質問を終わりたいと思います。