議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。旧ジャニーズ事務所とNHKとの関係について質問をいたします。
この問題は、児童への性加害という深刻な問題であり、また放送の自主自律に立ったNHKの在り方という点でも避けて通れない案件です。
NHK予算審議の際、稲葉会長は、人権上あるいは人道上問題を起こした企業等と契約する際、どういう在り方がよろしいか、何を考えなければならないか、そういった課題を検討していく必要があるのではないかと考えておりますと述べられました。
稲葉NHK会長にお聞きします。この人権上あるいは人道上問題を起こした企業と言われましたが、会長がそのように断言する根拠は何ですか。
【稲葉延雄 日本放送協会会長】 旧ジャニーズ事務所が設置いたしました外部の専門家による特別チームが、昨年八月、故ジャニー喜多川氏が長期間にわたり性加害を繰り返していた事実が認められたとする調査報告書を公表いたしました。また、旧ジャニーズ事務所も、昨年九月七日の記者会見で、性加害の事実を認めて謝罪いたしております。
こうしたことを踏まえて、NHKとして、人権上の問題があったというふうに認識している次第でございます。
【伊藤岳 参院議員】 昨年の暮れの第七十四回紅白歌合戦には、四十四年ぶりに旧ジャニーズ事務所のタレントは選ばれませんでしたが、今述べられた会長の旧ジャニーズ事務所に対する認識はいつ判断されたんでしょうか。NHKの内部の会議で判断されましたか。
【稲葉延雄 日本放送協会会長】 旧ジャニーズ事務所が昨年九月七日の記者会見で性加害の事実を認めたということを受けまして、NHKといたしまして、未成年者に対する悪質な性加害が長期間にわたって取引企業で行われたことを深刻に受け止めているということなどのコメントを発表してございます。
【伊藤岳 参院議員】 お聞きしたんですが、NHKの内部の会議で決めたことですか。何の会議でしょう。
【稲葉延雄 日本放送協会会長】 おっしゃるとおりでございます。
【伊藤岳 参院議員】 NHKの会議で決めたということですね。
旧ジャニーズ事務所との契約等の関係について具体的に聞いていきます。
まず、旧ジャニーズ事務所が所有するビルとの賃貸借契約についてです。
予算審議の際にもお尋ねしました。渋谷区神南にあるパークウエースクエア3の賃貸借契約、恐らく推定賃料月二千二百五十万、年間で二億七千万円の賃料になると思いますが、これに加えてほかにも、同じ渋谷区神南の通り沿いにあるパークウエースクエア1にはNHKグローバルメディアサービスが入居し、パークウエースクエア2には「ザ少年倶楽部」などの番組を制作する会社、クレイジーテレビが入居しています。
稲葉会長は、業務上必要な案件、条件を満たすということを考慮した上でコストなどを精査し、通常の手続にのっとって適切に契約をしていると答弁をされました。
では、お聞きしますが、どのような業務上の必要があったのか、賃料を幾らで契約し、これまでに総額幾ら支払われたのか、契約期間、いつから始まりいつまでかなどはどうなっていますか。示してください。
【稲葉延雄 日本放送協会会長】 NHKは、パークウエースクエア3につきまして、賃貸借契約を結んでございます。パークウエースクエア1及び2については結んでございません。
契約の具体的な内容についてはお答えできないんでございますけれども、委員おっしゃったとおり、建物の要件や利便性など、業務上必要な条件を満たすことを考慮した上で、コストなどを精査し、契約は通常の手続にのっとって適切に行ってございます。
また、その際も申し上げましたけれども、一方で、NHKといたしましては、人権上問題を起こした企業などとの契約の在り方に関しては、課題として今後検討していく必要があるというふうに考えてございます。
【伊藤岳 参院議員】 パークスクエア1にもNHKのグローバルメディアサービスが入居しているというふうに私認識しておりますが、いずれにしても、個別の契約の内容は答えられないと今言われましたけれども、会長が人権上あるいは人道上問題を起こした企業と断言する企業とですよ、NHKが結んで継続してきた賃貸借契約ですよ。一般論で問題ないと繰り返すのではなくて、せめて契約の概要くらいは明らかにするのは当然ではないかと思うんです。
賃貸借契約で払われてきた賃料は、当然視聴者からの受信料が原資ですよね。視聴者・国民に対して、適切に契約されているのかどうか丁寧に説明することが求められているのではないかと思います。
稲葉会長、NHK放送センター付近で旧ジャニーズ事務所が所有するもの以外のビルと賃貸借契約を結んでいるものはありますか。あるのならば、何件で、契約内容はどうなっていますか。
【山名啓雄 日本放送協会専務理事】 お答えいたします。
芸能事務所と賃貸借契約を結んでいる事務所スペースというものはございません。
【伊藤岳 参院議員】 じゃ、なぜ、旧ジャニーズ事務所が所有する、しかも一等地の高額賃料のビルを賃貸借契約を結んでいるのか。これは不自然だと思います。
旧ジャニーズ事務所との間でどのようなやり取りがあったのかを検証すべきではないですか。稲葉会長、どうでしょうか。
【山名啓雄 日本放送協会専務理事】 お答えいたします。
契約の具体的な内容についてはやっぱりお答えできないんですけれども、契約に関しましては、建物の要件や利便性など、繰り返しになりますけれども、業務上必要な条件を満たすことを考慮した上で、コストなどを精査し、契約は通常の手続にのっとって適切に行っているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 NHKとジャニーズ事務所との間でどのようなやり取りがあったのか検証すべきじゃないかと問いました。そこはどうですか、会長。
【稲葉延雄 日本放送協会会長】 NHKといたしましては、放送をめぐって問題が起きた場合、報道機関として自主自律を堅持する立場から、自ら原因や背景を解明し、それを放送を通じてお伝えすることが大変重要なことだというふうに認識してございます。
今後も、適宜ニュースや番組等で視聴者の皆様にお伝えしていくことで責任を果たしたいというふうに考えてございます。
【伊藤岳 参院議員】 もう一つ別の問題をお尋ねします。
旧ジャニーズ事務所のNHK放送センター西館七階リハーサル室使用についてです。
元ジャニーズジュニアの方々が次のように証言しています。私がオーディションを受けたのがNHK西館七階のリハーサル室でした。当時は、ジャニーズジュニアが出演するテレビ東京の番組やテレビ朝日系のリハーサルも、そしてジャニーズ本体の練習もこのリハーサル室の部屋でした。NHKの中にあっても、ジャニーズ事務所の一部という認識でした。これ、あのフラッシュ、二〇二三年十月十日号に出ています。
もう一つ。ジャニーズ事務所のオーディションに応募し、その後、連絡があってNHKの七〇九リハーサル室に向かいました。会場に入ると番号付きの名札をもらって、ダンスを踊ることになりました。これ、週刊女性、二〇二三年十月十六日付けの記事です。
つまり、このNHK放送センター西館七階リハーサル室は、ちまたではジャニーズ部屋と呼ばれていた。
稲葉会長に聞きます。NHK放送センター西館七階リハーサル室を、旧ジャニーズ事務所のオーディション会場としても使い、他局の番組のリハーサルも含めて恒常的に旧ジャニーズ事務所に使用させて、ジャニーズ部屋と呼ばれるような扱いだった、会長はその認識持っていらっしゃいましたか。
【稲葉延雄 日本放送協会会長】 この点につきましては歴代の番組担当者にも話を聞きましたけれども、旧ジャニーズ事務所に恒常的にリハーサル室を使用させていた、使用させていた事実はございません。いずれのリハーサル室も、曜日や時間帯によって使用する番組が異なっておりまして、特定の事務所やタレントが占有することはないというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 NHKの記者会見でNHKの担当者が、定番の番組を持っていれば定時でリハーサル室を確保していただくのは特殊なことではない、何年も続いている番組であれば恒常的に貸し出すことになると言っていますよ。違いますか。違うんですか、これ。
【山名啓雄 日本放送協会専務理事】 お答えいたします。
先ほども会長から答弁したとおり、いずれのリハーサル室も、曜日や時間帯によりまして使用する番組が異なっておりまして、特定の事務所あるいはタレントが占有するというようなことはございません。
【伊藤岳 参院議員】 引き続きこれ問うていきたいと思います。
しかも、そのリハーサル室やリハーサル室周辺のNHKの施設内で何があったか。性加害事件が発生していたんですよ。そういう証言があります。例えば、リハーサル室でダンスの練習に参加した際、ジャニー喜多川氏から休憩時間に声を掛けられ、部屋の外の男性用トイレに連れていかれて、トイレの個室の中で下着を脱がされ性被害に遭った、こういう証言を元ジャニーズジュニアの複数が記者会見で明らかにしています。これ、昨年の十月九日のNHKニュースでも同じような報道がありました。
つまり、NHKの施設の内部で性加害が行われていたとしたら、これNHKの管理監督責任も問われることになります。稲葉会長、これ非常に重大な問題だと思う。検証する必要があるのではないでしょうか。
【稲葉延雄 日本放送協会会長】 放送センター内で深刻な性被害を受けたという男性の証言は大変重く受け止めてございます。
男性の証言については昨年十月九日の「ニュース7」でもお伝えしましたし、十二月四日の「クローズアップ現代」では当時の管理体制も含めてお伝えしてございます。
そもそもNHKとしては、やはり、出演者に対する人権尊重のガイドラインを作成するなどして出演者の人権を尊重し、安心、安全な環境を確保する、こういうことが必要だというふうに考えてございまして、今その方向で努めているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 重大な認識が必要だと思います。
松本大臣にお聞きします。
今るるお聞きしてきた、NHKに聞いてきましたが、この旧ジャニーズ事務所問題に対するNHKの対応に問題がなかったのか、私は第三者委員会を設置して検証、公表することが必要だと思うんです。その点、大臣の見解、いかがでしょうか。お伺いします。
【松本剛明 総務大臣】 本当に、どこでもどなたであっても性犯罪や性暴力の被害に遭うようなことはあってはならないことであるということはあらかじめ申し上げなければならないと思っております。
その上で、私にということで、総務省に対する御質問と認識をして御答弁申し上げたいと思いますが、放送法は、放送事業者の自主自律を基本とする枠組みとなっておりまして、放送番組や出演者の選定を含め、放送法に沿って放送事業者が自らの責任において編集されるものとなっております。
NHKにおかれましては、国民・視聴者の負担する受信料によって支えられている公共放送であることも踏まえまして、NHKにおかれまして適切に判断、対応いただきたいと考えるところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 児童への深刻な性加害という問題がNHKの施設内で起きていた、これ本当に大事な重大な問題だと思います。
引き続き質問をしていくことを述べまして、質問、今日の質問は終わりにさせていただきます。