議事録

2024年3月12日 総務委員会(自治体の非正規職員の雇い止め〈スクールカウンセラー〉/どう守る地域公共交通〈大臣所信〉)

議事録

【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。

 会計年度任用職員について質問します。

 資料を御覧いただきたい。一枚目と二枚目です。東京都の会計年度任用職員として働くスクールカウンセラーで、二〇二四年度の再任用の公募の試験を受けた一千九十六人のうち、何と二百五十人、二二・八%も、が不採用となっています。採用基準は開示されていません。新規で四百四十一人が合格したとされていますが、雇い止めされた当事者は、赤線引きましたが、部品を外して新しいのと換えるような理不尽な雇い止めを行政が率先していると告発をしています。

 次の資料を御覧いただきたい。公益社団法人日本公認心理師協会がこの事案について声明を出しています。

 あべ文科副大臣にお聞きします。

 文科省は、スクールカウンセラーが全国各地で子供、家庭、教職員などへの心理支援業務を中心に多様な業務を行っていることをどのように評価していますか。

【あべ俊子 文科副大臣】 伊藤委員にお答えさせていただきます。

 不登校児、この児童生徒が増加するなど、学校や教師が直面する課題が多様化、複雑化する中にございまして、教師とは異なる専門性を有するスクールカウンセラーの皆様たちが果たしてくださる役割は非常に重要だというふうに考えているところでございます。

 そのために、文部科学省におきましては、令和六年度予算案につきまして、スクールカウンセラーの配置につきまして、全ての公立小中学校に対して行う基礎配置に加えて、いじめ、不登校対策や虐待対策、貧困対策などの課題に応じた重点配置を一万校に対して行うところとしているところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 日本公認心理師協会の声明では、次に赤線を引きましたが、こう書いています。ある子供が、小学校三年生の冬から、友達関係の悩みをSC、スクールカウンセラーですね、に継続的に相談しに行ったとします、しかし、四月になり、その子供が四年生になると、これまで相談に乗ってくれていたSCが退職し、突然別の人になってしまいました、さらに、五年生になって相談しに行くと、また別のSCになってしまった、このような状況は、子供が安心して相談することができる環境とは言えないと声明では書いています。

 スクールカウンセラーの果たしている役割を知れば知るほど、こんなことでいいのかと感じます。文科副大臣は声明のこの指摘をどう受け止めますか。

【あべ俊子 文科副大臣】 伊藤委員にお答えさせていただきます。

 この声明に対する、私ども、スクールカウンセラーの任用につきましては各自治体の権限と責任の下に適切に判断されるものでございまして、御指摘の声明についてコメントをさせていただくことは差し控えさせていただきたいと思います。

 他方で、文部科学省といたしましては、学校現場において、様々な悩みを抱える児童生徒等に対して、スクールカウンセラーを始めといたしまして、適切な対応が実施されるような体制づくり、取り組んでいただきたいと考えているところでございます。

 このため、先ほども申し上げたところでございますが、令和六年度予算案に各学校等におけるスクールカウンセラーの配置充実のための経費を計上させていただいているところでございまして、引き続きまして学校における教育相談体制の構築のため必要な施策をしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

【伊藤岳 参院議員】 予算の計上のことを聞いているんじゃないですよ。地域の判断でこんなことが起きていいのかと聞いているんです。

 府省など国の機関は、正規、非正規の男女別職員数とそれぞれの賃金の総支給額を公表しました。女性活躍推進法に基づいて義務付けられているものです。これを基に試算すると、正規職員の賃金を一〇〇とすると、非正規職員は四三・九、一〇〇に対して四三・九。このうち、正規の男性職員の賃金を一〇〇とすると、非正規の女性職員は何と三七・一ですよ。これ、しんぶん赤旗が報じました。非正規の女性が低賃金に置かれていることです。

 国の機関が、正規、非正規職員の男女別職員数とそれぞれの賃金支給額を公表しましたが、地方自治体について、松本大臣、どのように把握していますか。

【あべ俊子 文科副大臣】 お答えさせていただきます。

 今の委員にお答えさせていただくところでございますが、御指摘の東京都のこの事実を含め、スクールカウンセラーの任用につきましては各自治体の判断により適切に行っていただくものでございます。

 以上でございます。

【松本剛明 総務大臣】 自治体の男女の雇用状況の把握ということでよろしいんでしょうか。(発言する者あり)はい。

 地方公共団体における職員の給与の男女差異の公表については、国の機関も同様ですが、任期の定めのない常勤職員、それ以外の職員、全職員といった職員区分別、課長や課長補佐などの役職段階別、勤続年数別に公表することとしておりまして、令和四年度分から各地方公共団体においてホームページなどで公表されているものと承知をいたしております。

 地方公共団体の職員の給与の男女差異については、女性版骨太の方針二〇二三を踏まえ、一覧性、検索性を確保したサイトを内閣府が整備しておりまして、国の公表内容と併せて見える化していく予定となっておりまして、内閣府とも連携しながら分析を行ってまいりたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 先ほど、あべ副大臣にもう一度答弁していただきましたけど、地域の判断で済ませていいのかと私は改めて強く指摘しておきたいと思います。

 そして、松本大臣、私聞いているのは、まだ内閣府の調査承知していないということでしたけど、大臣は今の時点でどんな認識で事に当たっているのかなんです。こういう報道もあったじゃないですか。地方自治体の男女賃金格差について、これ読売の報道です、都道府県、政令市、県庁所在地、東京二十三区においては、最も多かったのは、これ、四七・一%の自治体で女性の平均給料が七割台、男性と比べてね。格差の要因について、九割近い自治体が回答しているのは、女性の給料の低い非正規職員が多いと回答しています。

 大臣、地方自治体の男女の賃金格差についてどのように受け止め、日頃、日頃ですね、どのように受け止め、どのように対応しようとしているのか、答えていただきたいんです。これ、間接差別に当たるとの認識はないですか。また、これ絶対放置しちゃならない課題だと考えていますか。どうですか。

【松本剛明 総務大臣】 地方公務員の適切な処遇を確保するという意味で、今、私どもとしては、今委員からも御指摘がありました、言わば非正規に当たるとも言えますが、会計年度任用職員の処遇を確保することが重要であると考えて、これまでも、勤勉手当の支給を可能とする法改正を行うなど、適正な処遇の確保、改善に取り組んできたところでございます。

 先ほどもお話をさせていただいたように、職員の給与の男女差異についての公表につきましても、見える化をすることで是正が必要なところは是正をされることにつながるものというふうに認識をしているところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 これ総務省が発表した資料ですが、地方自治体の非正規職員、会計年度任用職員など非正規職員は、二〇二三年四月の時点で七十四万二千七百二十五人です。これ、前回の調査、二〇二〇年に比べて、何と四万八千二百五十二人、六・九%増えています。会計年度任用職員などの非正規職員がとうとう職員の五人に一人を占めるまでになりました。その増加している非正規職員の多くが、圧倒的多くが女性なんですよ。これ、男女の賃金格差は深刻な課題だ、これ、間接差別に当たるという認識で、大臣、事に当たってほしいんですよ。

 大臣、もう一つ聞きます。

 地方自治体における正規、非正規、男女の賃金支給実態を急いで把握して、是正計画の策定を自治体に求めて、その履行を指導、監励する仕組みをつくるべきではないですか。どうですか。

【松本剛明 総務大臣】 職員の雇用につきましては、各自治体が、おかれまして、各自治体の自治として、個々の職にどのような職員を任用するか、対象となる職の、職務の内容や責任などに応じて適切な制度を選択していただくものでございまして、各自治体において必要な行政サービスを提供できる体制を確保していただくことが重要であると考えており、国と地方との連絡調整に当たる総務省として、また地方の行財政を支える総務省として、各自治体が適切に行政サービスを提供できるように支えるのが私どもの使命でございますが、今お話がございました男女の給与の差異などにつきましても、今社会において求められることに適切に対応するようにすることは大切なことであるというふうに私どもも認識をしておりますが、各自治体におかれましてもそのような認識の下でお取組をいただけるものというふうに認識をいたしております。

【伊藤岳 参院議員】 もう地方が適切に対応していただくという範疇でとどまる問題じゃないと思います。国としての認識と対応が求められていると思うんですね。

 地方公共交通で働く会計年度任用職員のことを次に取り上げたいと思います。

 先日、全国各地の公営バスの運転手さん、非正規で公営バスの運転手さんをやっている方との懇談の機会がありました。そこでこんな話が出ました。経営が困難になる中で正規の運転手から会計年度任用職員への置き換えが進んでいる、自分は六十歳だけど会計年度任用職員として働いているが、今回の給与改定では僅か千三百円の値上げだった、もっと上げてほしい、会計年度任用職員の給料ではやっていけないと運転手が民間バスにどんどん流出している、魅力ある職場とは言えずに更に運転手が離れていくのではないか、これでは更に運営が困難になるだろうという話が出されました。

 大臣、公営バスの事業において正規から会計年度任用職員への置き換えが進んでいる、低賃金から運転手離れが進んでいる、公営バスの運営が困難に陥る悪循環となっています。どのように守るのか、大臣の考えをお聞かせください。

【松本剛明 総務大臣】 御案内のとおり、公営バスは地域住民の暮らしを支える重要な役割を担っているものでございまして、持続可能な経営を確保することが大きな課題となっているというふうに認識をしております。

 その上で、どのような雇用を行うかということにつきましては、先ほども申しましたように、その職、職務に合わせて各自治体におかれて御判断をいただくものというふうに思っておりますが、総務省としては、経営改善に取り組む公営バス事業が発行できる地方債により資金繰りを下支えする、また、専門アドバイザーの派遣などにより経営基盤の強化に向けた支援を行っておりますし、地方バス路線の確保、維持に要する経費については国土交通省において地域公共交通確保維持改善事業により支援が行われておりまして、その地方負担及び単独事業に、地方単独事業について特別交付税を措置を講じさせていただいております。

 総務省としましては、地域の公営バス事業の実情をお聞きをしていきながら、持続可能な経営が確保できるように支援をいたしたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 それではお聞きします。

 資料の最後を見ていただきたいと思います。

 これ、国交省が集計している市町村における地域公共交通の専任担当者の配置の現状なんです。市町村における専任担当者の配置は約八割で不在なんですね。

 国交省に聞きます。

 この専任担当者とは何ですか。そして、これ、専任担当者を置くことがなぜ必要だと考えているんですか。お願いします。

【舟本浩 国土交通省大臣官房審議官】 お答えいたします。

 地域公共交通の専任担当者とは、地域公共交通に係る業務を実施している者のうち、他の業務を兼任していない者を指してございます。

 地方、市町村において地域公共交通の担当者を置いていただく必要性につきましては、昨今、地域における地域公共交通の足の確保ということが大変重要な課題になっておりますし、また、地方部においては自治体が主体となって足の確保をしていただいているところでございます。

 そういう観点から、地域公共交通の知識をしっかり有する者を配置をしていただく重要性が高まっているものと認識してございます。

【伊藤岳 参院議員】 私も埼玉の地元の現場で感じますが、地域住民の足である乗り合いバス路線の撤退や廃止が、住民にほとんど知らされることなく、いきなり知らされるというケースが珍しくありません。地域の交通事業者の経営状況をよく把握して、地域住民の声や要望を基に地域公共交通の対策を進めていく、そのためにやはりこの専任担当者の配置が重要だと思うんですね。

 国交省にお聞きしますが、市町村における地域公共交通の専任担当者について、地域公共交通活性化再生法の参議院附帯決議ではどのように記されていますか。

【舟本浩 国土交通省大臣官房審議官】 昨年、令和五年の地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案の参議院の国土交通委員会で御議決いただいた際の附帯決議におきましては、「地方公共団体において交通政策に精通した専任職員を適切に配置するため、地方交付税措置による財政的支援を検討する」とされているところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 今説明をしていただきましたけれども、この地方公共交通の専任担当者について交通政策に精通した専任職員を適切に配置するために、地方交付税措置による財政的支援を検討すると附帯決議されました。

 松本大臣にお聞きします。

 この地方交付税措置はどのように行われていますか。

【松本剛明 総務大臣】 地域公共交通政策に従事する職員の人件費につきましては、企画に係る業務の人件費として、普通交付税の包括算定経費において措置されております。

 地方自治体において、地域公共交通政策を含む政策課題の解決に向けた専門人材の育成、確保の取組を着実に実施できるように、複雑化、多様化する行政課題に対応するための人材を育成するための経費、小規模市町村を中心として、配置が困難な専門人材を都道府県等が確保するための経費について、令和六年度から地方交付税措置を創設することとしているところでございます。

 国土交通省におかれても支援を行っているとお聞きをしておりまして、連携をして適切に対応してまいりたいと考えております。

【伊藤岳 参院議員】 よく理解できなかったんですが、つまり六年度から、来年度から特別交付税措置がされるということでいいんですか。

【松本剛明 総務大臣】 繰り返しになりますが、令和六年度から、地方自治体において地域公共交通政策を含む政策課題の解決に向けた専門人材の育成、確保の取組を着実に実施できるように、複雑化、行政課題に対応するための人材を育成するための経費、小規模市町村を中心として、配置が困難な専門人材を都道府県等が確保するための経費について、地方交付税措置を創設することとさせていただいております。

【伊藤岳 参院議員】 ストレートに言ってほしいんですけど、これ、専任担当者の配置に措置するものですか。そういうことでいいんですか。

【大沢博 総務省自治財政局長】 補足させていただきます。

 専門人材の育成、確保を進めるための経費ということでございまして、専任担当者というふうに特定をしているわけではございません。

 大臣から申し上げましたように、複雑化、多様化する行政課題に対応するための人材を育成するための経費、それから、小規模市町村などでは専門人材の配置が困難ですから、都道府県が確保をして派遣をするといったための経費、これは地方公共交通政策を含む様々な政策課題について適用されると、そういう政策を令和六年度から特別交付税措置をする仕組みを設けたところでございます。

【伊藤岳 参院議員】 はい。

 時間なのでまとめますが、この附帯決議にある地域公共交通の専任担当者に対する措置なんですよ。これ、広くじゃないんですよ。ちょっとその附帯決議の趣旨に沿っているのかどうか怪しい、問題だというふうに私は思いますね。

 で、附帯決議を受け止めて、直ちにこの専任担当者に対する措置、地方交付税措置を検討、実施することを求めて、質問を終わります。

 国交省、文科省の皆様、ありがとうございました。