議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。
暗証番号の設定の必要のない顔認証マイナンバーカードの導入を総務省は十月の三十一日に事務連絡で発出をしました。十一月二十七日から受付開始予定とのことです。
当委員会は、マイナンバー法改正に当たり、全国保険医団体連合会、竹田副会長を招致して御意見を伺いました。竹田副会長は、高齢者施設におけるマイナンバーカードの取得や取扱いの困難さを陳述されました。私も、同連合会が実施した保険証の廃止に伴う高齢者施設等への影響調査を取り上げて、利用者、入所者本人がマイナンバーカードを申請できない場合の代理申請について、対応できると回答した施設が全体の施設中僅か六・五%であったことを紹介しました。その理由は、暗証番号を代理で取り扱うことに対する不安であり、そもそも本来業務が多忙で代理申請業務まで手が回らないというものでありました。
馬場総務副大臣にお聞きいたします。
暗証番号の設定の必要のないマイナンバーカードの導入は、こうした当委員会の審議の経過を踏まえて検討されたものですね。
【馬場成志 総務副大臣】 暗証番号の設定が不要な顔認証マイナンバーカードは、デジタル庁、総務省、厚労省の三省庁で進めてきたマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会において、福祉施設等の御意見を踏まえ、認知症などで暗証番号の設定や管理に不安がある方が安心してカードを取得し、利用でき、また代理交付の際の代理人の負担軽減にもつなげられるような方策として検討してまいりました。
こうした取組によって一人でも多くの方にカードを取得していただけるよう、取得環境の整備を着実に進めてまいりたいと存じます。
【伊藤岳 参院議員】 つまり、こうした高齢者施設等の声も踏まえて検討が始まったということだと思います。
そこで、総務省にお聞きします。
総務省は、顔認証マイナンバーカードは代理人の暗証番号の設定や管理の負担軽減になるとしています。どのように負担軽減になりますか。
【三橋一彦 総務省大臣官房審議官】 お答えいたします。
マイナンバーカードは、やむを得ない理由により市町村の庁舎等に申請者本人が出向くことが困難であるときには、本人及び代理人の本人確認書類等の提示を行った上で例外的に代理人への交付を可能としております。この場合には、申請者本人に宛てた交付通知書兼照会回答書に本人が記載した暗証番号を目隠しシールを貼った上で代理人が持参することとなっております。
顔認証マイナンバーカードは、暗証番号の入力が必要なサービスには利用できず、顔認証を用いた健康保険証としての利用を主に想定したカードとなっておりますけれども、暗証番号の設定を不要とすることで、今申し上げましたような暗証番号の記載や目隠し、暗証番号を記載した書類の持ち運びなどが不要になりまして、代理人の負担の軽減が図られるものというふうに考えております。
【伊藤岳 参院議員】 顔認証マイナンバーカードの新規作成、現行カードからの切替えの際には、自治体の窓口で職員がランダムに四桁の番号を打ち込んで、運用中に更新されていることを確認した上でこれをロックして、暗証番号が不要な顔認証マイナンバーカードとして発行するというふうにお聞きしました。しかし、本来業務が多忙で代理申請業務まで手が回らないと。この根本的な負担軽減につながるんでしょうか。
総務省にお聞きします。
本人が顔認証マイナンバーカードを取得することが困難な場合、カードの申請、更新、若しくは交付の際に、また取得済みのカードからの設定切替えの際に、代理人が市町村窓口に出向いて手続を行うことになるのではないですか。
【三橋一彦 総務省大臣官房審議官】 まず、マイナンバーカードの交付に関してでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、やむを得ない理由により本人が市町村の役場等に出向くことができない、出向くことが困難であるときには、本人及び代理人の本人確認書類等の提示を行った上で例外的に代理人への交付を可能としているものでございます。この場合には、本人に宛てました交付通知書兼回答書に本人が記載した番号の、本人が記載した番号に目隠しシールを貼るなどの行為が代理人がお持ちするとなりますので、暗証番号不要のカードというふうになりますと、このような暗証番号の記載や目隠し、あるいは暗証番号を記載した書類の持ち運びは不要となって、代理人の負担の軽減が図られるということでございます。
一方で、今御質問のございました、もう一つ、顔認証マイナンバーカードにつきましては、既にマイナンバーカードをお持ちの方でありましても、本人の申出によりまして設定の切替えというものを可能とすることを予定しております。その場合には、既に厳格な本人確認を経てマイナンバーカードが交付されておりますために、マイナンバーカードの設定の切替えは本人が希望すれば代理人による手続についても可能とする予定でございますけれども、その押印の手続ということを省庁に対して通知をしているというところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 私、代理人が市町村の窓口に出向いて手続を行うことになるのではないのかと一点だけお聞きしたんですよ。長々説明をいただきましたが、今お話しされたように、申請、交付、更新と、代理人は何度となく地方自治体の窓口に出向くことが必要になるんです。
総務省、顔認証マイナンバーカードに関する主な質疑応答、これは総務省が発行していますが、その中で、通常のカードから顔認証カードへの設定切替えを代理人が行う場合、申請書に本人が署名又は記名押印を行った委任状を添えて提出するとなっています。つまり、代理人は本人からの委任状を取ることが必要となります。新たな負担が生まれるではありませんか。
この本人が署名又は記名押印は、介護度の重い高齢者、障害を持った方、また認知症の方であっても、本人が行って、又は代理人が付き添って本人が行うということになりますか。総務省。
【三橋一彦 総務省大臣官房審議官】 お答えいたします。
御案内のとおり、マイナンバーカードは、厳格な本人確認を経てマイナンバーカードが交付されるというものでございます。
今お尋ねにありました、顔認証マイナンバーカードへ、通常のマイナンバーカードをお持ちの方が顔認証マイナンバーカードへの切替えというものも、もちろん御本人が窓口にいらっしゃればそれで切替えができるわけでございますけれども、御本人が来れないという場合につきまして代理人による手続についても可能というふうにしております、本人が希望すれば可能というふうにする予定でございます。その本人の意思を窓口で確認する必要があるために、代理人による委任状に御本人の署名又は記名押印ということを求めているという、求めることを考えている予定で、考えているところでございます。
なお、この署名というのは当然本人が自筆により氏名を記入するということでございますけれども、例えば自分で書くことは困難だというふうな場合には、代筆とか印字された氏名というものがございますので、そこに本人の印鑑を押印をしていただくというふうなことで手続を行うということを想定しているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 どちらにしろ、本人が、重い介護度のお年寄りが、また認知症の方が、本人が自署をするにしても代理人がサポートするにしても、これ大変な作業です。新たに大変な負担と責任を抱えるということになります。
馬場副大臣にお聞きします。
人手不足に直面する介護現場です。その介護現場で、今のような大変な作業となる代理人の手続が必要になる顔認証マイナンバーカードが使われるとお思いですか。
【三橋一彦 総務省大臣官房審議官】 お答えいたします。
顔認証マイナンバーカードにつきましては、先ほど馬場副大臣からもお答えいたしましたとおり、デジタル庁、総務省、厚労省の三省庁で進めてまいりましたマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会におきまして、福祉施設等の御意見を踏まえまして、認知症などで暗証番号の設定や管理に不安のある方が安心してカードを取得し、利用でき、また代理交付の際の代理人の負担軽減にもつなげられるような方策ということで検討してまいったところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 いや、私、馬場副大臣に聞いたんですよ、これ介護現場で使われると思いますかと。馬場副大臣、答えていただきたい。
もう一つ、馬場副大臣に答えていただきたいんですが、このマイナ保険証の欠陥を補うために顔認証マイナンバーカードを作っても、現場には新たな負担や混乱が持ち込まれます。現行の保険証を残せば、暗証番号設定の不安も代理人交付の際の負担からも、本人も代理人も解放されます。さらには、人手不足に直面する介護現場がほっと安心できるような有効な支援策にもなるのが保険証を残すことじゃないでしょうか。
副大臣に二つお聞きしたい。
顔認証マイナンバーカード、介護現場で使われると思いますか。現行の保険証を残すべきではないですか。どうですか。
【馬場成志 総務副大臣】 先ほども申し上げましたけれども、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会というものの中で、福祉施設等の御意見を踏まえて、認知症などで暗証番号の設定や管理に不安がある方が安心してカードを取得し、利用でき、また、今もうお話あったと、あっとると思いますが、代理交付の際の代理人の負担軽減にもつなげられるよう、そしてまた、その後の手続がやりやすいように、代理人がやりやすいようにということで検討してまいりました結果だというふうに考えております。
今御心配のところに関してもしっかりと取組ができるように働いてまいりたいと存じます。
【伊藤岳 参院議員】 介護現場で使われるかどうかというのはお答えになりませんでしたけれども、要するに、今副大臣も言われましたように、代理人の新たな負担が増えるんですよ。そこを指摘しておきたいと思います。
次に、政府のマイナ保険証の利用促進策についてお聞きします。
マイナ保険証の利用件数は、十月は七百七十九万件で、オンライン資格確認全体の僅か四・四九%で、六か月連続のマイナスとなりました。
厚労省は、十日、マイナ保険証利用促進のための医療機関等への支援を発表しました。一つは、マイナ保険証の利用率の増加量を基準に支援金を交付する。二つは、マイナ保険証の月利用件数の総数がリーダー一台当たり五百件以上の医療機関等が顔認証付きカードリーダーを増設した場合に補助するというものです。
支援金について厚労省にお聞きします。
医療現場において患者へのマイナ保険証の積極的な利用勧奨に取り組み、マイナ保険証の利用率の増加量に応じて医療機関等への支援金に差を付ける、何でこんな施策になったんですか。
【浜地雅一 厚生労働副大臣】お答えいたします。
まず、このマイナ保険証のメリットにつきましては、様々な場所で御説明をさせていただいておりますが、まず、患者本人の薬剤情報また診療情報に基づくより良い医療が受けられること、また外来の窓口で限度額を超える支払の免除が確実に受けられることがマイナ保険証のメリットでございます。
したがいまして、厚生労働省としましても、できるだけ多くの方々にマイナ保険証を御利用いただきたいというのが我々の姿勢でございますけれども、利用勧奨には、やはり窓口で是非一度使ってみてください、又はそのメリットも含めて様々な働きかけを窓口でお願いすることになっております。一定のやはり利用勧奨の御努力が医療機関側にあって初めて利用促進もつながる部分があると思っておりますので、そういったものに対しまして、その結果として利用量が増加をした場合には支援金を支給するということは妥当な判断であるというふうに我々は思っております。
【伊藤岳 参院議員】 これ、マイナ保険証の利用率の数字を上げさせるために、目の前に支援金をぶら下げて医療機関等を競わせるというやり方ではないですか。
先日、共同通信が配信した記事では、厚労省自身が医療機関に実施したマイナ保険証を使うシステムの調査で、患者の同意を得て薬の処方歴、診療情報などを閲覧する仕組みを活用していると回答した病院は僅か二九・六%、また、活用していると回答した病院の中で、患者にとっての利点を尋ねたところ、マイナ保険証の利点が特にない、分からないが最多の五一・一%。病院は、マイナ保険証の利点がないって言っているんですよ。
浜地厚労副大臣に聞きます。
マイナ保険証は患者にとっての利点はないと半数の病院が答えています。その病院に、今回のような医療機関等への支援金で、マイナ保険証の利用勧奨を行えと、利用率の増加量で競わせるんですか。
【浜地雅一 厚生労働副大臣】 このマイナ保険証のメリットにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたけれども、厚労省としては大きなメリットがあるというふうに考えております。
先ほども御答弁差し上げましたけれども、やはり、患者本人の薬剤情報又は診療情報に基づくその場での医療が受けられることでありますとか、又は限度額を超える支払が確実にマイナ保険証を使えば免除をされるということでございますので、厚生労働省としても、患者の皆様方また医療機関に対してもこういったメリットがあることをしっかりと今後も周知又は御説明をしていきたいというふうに、行うことが大事であろうと思っております。
【伊藤岳 参院議員】 顔認証カードリーダーへの補助金について聞きます。
今年の十月末から来年三月末までのいずれかの月のマイナ保険証の月利用件数の総数がリーダー一台当たり五百件以上の医療機関等が顔認証付きカードリーダーを増設した場合にその費用の一部を補助するというものです。
浜地副大臣、この五百件の根拠は何ですか。そして、マイナ保険証の月利用件数の総数が五百件を超えなければ医療機関等には何ら補助はないんですか。どうですか。浜地副大臣。
【日原知己 厚生労働大臣官房審議官】 御指摘のこの補助事業の対象機関、こちら御指摘のとおりでございまして、今お話のございました期間のいずれかの月のマイナ保険証利用件数の総数がこれ一台当たり五百件以上の機関としてございます。
この検討に当たりましては、オンライン資格確認の導入支援におきまして、顔認証付きカードリーダー、これ最大でございます三台、これの提供をさせていただいた病院に対しまして、増設の御意向、こちらを伺ってございます。増設の御意向があるとお答えいただいた医療機関などの平均来院者数、こうしたものなどを踏まえまして設定したものでございます。
【伊藤岳 参院議員】 浜地副大臣、この五百件という根拠、今若干説明がありましたけど、中小の病院を始め特に診療所などでは五百件の利用件数を超えるなどあるんでしょうか。これ、初めから補助金を絞っての施策ではないでしょうか。浜地副大臣、五百件を超えなければ医療機関には何ら補助はないんですか。副大臣に聞きます。
【浜地雅一 厚生労働副大臣】 先ほど厚労省の政府参考人からもお答えさせていただきましたけれども、これまで実際にカードリーダーを導入をしていただいている、無償提供で導入をしていただいている病院につきまして、このアンケートを実施をしております。やはり何らかの根拠といいますか、しっかりアンケート結果に基づく客観的な基準というものは必要であろうというふうに思っております。
その上で、その結果、一台当たり大体五百件の利用があったということでございますので、更にそれを超える部分につきましては、新規に顔認証付きカードリーダーを導入されるところにはその五百件を基準にしまして新たに補助をさせていただくことは、非常に妥当な、一つのデータに基づいて定めた基準であります。
【伊藤岳 参院議員】 昨日、レクで聞いたら、中小の診療所、病院にはたった一件しかヒアリングやっていないと言っていましたよ。医療機関等がマイナ保険証の利用件数を稼がなければ顔認証付きカードリーダーへの補助は対象から外すということじゃありませんか。
最後に、大臣にお聞きします。
埼玉県保険医協会から、カード読み取り機の対応は、マイナ保険証の利用率が五%を切る現段階でも職員が手を取られる、対応専門の職員を一人配置するようだ、ただでさえ多忙な現場でカード読み取り機の対応が増えたら現場はお手上げだ、保険証を廃止してマイナ保険証への一本化を強引に進めないでほしいという声が上がっています。医療現場が求めているのはマイナ保険証の利用をごり押しするなということです。
大臣、現行の保険証は存続させるべきではないですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 一度マイナンバーカードを保険証として使っていただければ、この顔認証、非常に簡単だということがお分かりいただけると思います。
医療機関によっては、厚労省が出してくれているこの顔認証の使い方をカードリーダーの横に置いて丁寧に説明をしているところもございます。一回目は大変かもしれませんが、一度それを使っていただければ、病院側も、患者の情報がレセコンに自動的に転記をされるなど、大きなメリットがあります。もうそれに気が付いている医療機関は積極的にそうしたことを導入をしてくださっておりますし、それだけでなく、マイナンバーカードを保険証だけじゃなく診察券として使える、あるいは今自治体の中には高齢者であったり小児医療費の受給券としてもマイナンバーカードを使えるように準備をしているところがございますので、これはますます利便性は上がっていきます。
診療、医療機関には、そういうメリットに早く気が付いていただいて、積極的に導入をしていただきたいというふうに思っているところでございます。。
【伊藤岳 参院議員】 時間ですので終わりますが、気が付かない医療機関が悪いというふうに聞こえます。
保険証を残すべきだというのが国民的な声だということを訴えて、質問を終わります。