議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。
マイナンバーカードをめぐるトラブルは、マイナポータルを通じて他人の年金記録を閲覧できるという事案まで発生しました。
こうした中で、九日に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画には、二〇二六年中を視野に次期マイナンバーカードの導入を目指すことが盛り込まれました。新カードの検討事項として、券面記載事項、性別、マイナンバー、仮名、国名、西暦等と書かれています。先日の地方創生デジタル特別委員会でのデジタル庁の答弁では、顔写真、住所、生年月日も含めて全ての券面記載事項が検討の対象になる、要するに、券面に何を出すのか、ICチップに何を入れておくのかの違いだということでありました。
総務省吉川局長にお聞きします。マイナンバーカードの券面記載事項が変更となり、どの情報がICチップに入れておくか、これが変われば、自治体の窓口での本人確認などの運用の姿が今と違ってきますよね。
【吉川浩民 総務省自治行政局長】 お答えいたします。特定の情報をマイナンバーカードの券面記載事項とせずICチップに格納することは想定されますが、その場合には、カードのICチップの情報を読み込むことによって内容を確認することができるものです。なお、現状におきましても、券面記載事項はICチップの中に記録をされているということでございます。なお、このICチップに記録される個人情報は、現状、券面に記載されております氏名、住所、生年月日、性別の四情報やマイナンバーなどの情報に限られており、機微な個人情報そのものは記録されておりません。
いずれにせよ、券面記載事項については、マイナンバーカードの身分証明書としての機能やマイナンバー利用事務、関係事務実施者の事務への影響を踏まえつつ、デジタル庁と協力して検討してまいります。
【伊藤岳 参院議員】 今局長も言われましたけど、つまりICチップに何を埋め込むのか、例えば顔写真も埋め込むなどとなれば、目視で本人確認できなくなりますよね。ですから、これ運用の姿が変わってくるということだと思いますが、もう一度そこ明確に答えていただきたい。それと、そうなると、自治体の読み込み機器などは総入替えになりますか。
【吉川浩民 総務省自治行政局長】 お答えいたします。繰り返しになりますが、現在も顔写真も含めICチップの中に記録をされておりますので、地方公共団体の窓口などにおきましては、必要に応じてその読み込みを行っているというふうに認識をしております。
以上でございます。
【伊藤岳 参院議員】 いや、私、顔写真で確認されますよ。だから、運用の仕方が変わってくるでしょうと聞いているんです。自治体の窓口でマイナンバーカードの顔写真で本人確認されますよ。そういうやり方じゃなくなるでしょうと聞いているんです。
【吉川浩民 総務省自治行政局長】 確かに、現在対面で本人確認をするという運用の仕方については変わってくる可能性があると思います。
いずれにしましても、券面記載事項につきましては今後の検討課題ということでございます。
【伊藤岳 参院議員】 松本大臣にお聞きします。
今話があったように、次期ナンバーカードにおいて、券面の記載事項、またICチップに何が埋め込まれるのか、これ変わってくる可能性があります。そうしますと、自治体窓口において本人を確認するために読み込み機器を使う機会が相当増えることになると思うんですよ。これ、個人情報が漏えいする危険性が更に広がりますね。そういう認識はありますか。
【松本剛明 総務大臣】 ただいま御議論のございましたマイナンバーカードの券面記載事項につきましては、本人確認のためのカードの在り方として重要な事項でございまして、関係者の御意見を伺いながら、自治体の事務への影響、個人情報保護の観点にも十分留意しつつ、丁寧に検討を進めていくべき課題だと認識をいたしております。
現在発行しているカードが今後、順次有効期限を迎えまして、カードの券面記載事項を含む今後のカードの設計に当たっては、総務省としても、デジタル庁と協力して、様々な関係者の御意見も伺いつつ検討を進めてまいります。
その上で、ただいま御質問いただいた点に関連して申し上げますと、一般的には、カードのICチップの情報を読み込む方法は、カードの券面を確認する方法と比較して個人情報が人目に触れないこと、人の手を介さず情報を読み取ることで情報の正確性が高まること、アクセス記録が残ることで個人情報の管理の向上に資することなどの点がございまして、これらを踏まえますと、個人情報漏えいの危険性が拡大するという御指摘は当たらないのではないかと考えております。
【伊藤岳 参院議員】 ちょっと、大臣の今の答弁はちょっとのんきな答弁だと思うんですよ。だって、既に現在のマイナンバーカード使って職員が、自治体の職員が、これあってはならないことだけど、その個人情報を抜き出して利用するという事案出ているじゃないですか、幾つも。
これ、個人情報の漏えいする危険性が拡大すると。拡大しないと言い切れるんですか。もう一度答えてください。
【松本剛明 総務大臣】 個人情報の保護は大切なことでございますので、そのような観点にも十分留意しつつ券面記載事項の在り方を検討してまいりたいと考えておりますが、カードのICチップの情報を読み込む方法は、申しましたように、カードの券面を確認する方法と比較して幾つかの点もございますので、個人情報の漏えいの危険性が拡大をするという指摘は必ずしも当たらないのではないかと考えていると申し上げております。
【伊藤岳 参院議員】 国民は、今の答弁聞いてあきれると思いますよ。
この間のマイナンバーカードのトラブル、先ほど岸委員も詳細に紹介されましたけど、全部システムや機器を通してのトラブルじゃないですか。その機器やシステムを使う機会が新マイナンバーカードで増えれば、これ当然、個人情報の漏えいの危険が広がるという、その国民の不安が広がるのは当然だと私は思うんです。
後を絶たない、マイナンバーカードをめぐるトラブルが続いています。国民の個人情報が漏えいする危険性をそのままにして、マイナンバーカードの普及、利活用ありきで新マイナンバーカードへの移行に突き進むべきではないと強く指摘をしておきたいと思います。
資料でお配りしましたが、NHKプラスでのBS番組配信を二〇二四年度から開始するとの問題で、NHK、異例の特命監査、未認可事業に予算問題、これ、朝日の六月五日付けの記事、報道です。
稲葉会長自身の指示で行われたこの特命監査の聴取において、前田前会長が、ここにラインを引きました、ラインを引いたところですけれども、こう述べています。先行投資は必要であり、関係役員に説明するよう指示したと話す一方、NHKインターネット活用実施基準、インターネット活用業務実施基準の変更が前提だったというふうに述べたと書いてあります。これ、事実ですか。
【稲葉延雄 日本放送協会会長】 内部監査は秘匿を条件に実施してございますので、個別の発言についてお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。
ただ、一連の内部調査では、前経営企画担当役員は、昨年の十月、前会長から衛星放送番組の同時配信の了解を得たと説明し、そうしたことを踏まえて稟議が行われたというふうに承知してございます。
また、稟議を承認した当時の役員は、稟議書の記載内容を十分に精査せず、予算、事業計画やインターネット活用業務実施基準との整合性、あるいは対外的な説明の必要性などに対する認識が不足していたのではないかというふうに思われます。
四月に事態を把握して、速やかに必要な是正措置を指示し、違法な支出、支払がなされることは未然に防ぎましたけれども、稟議での手続など一連の内部手続は不適切だったというふうに認識してございまして、二度とこうした事案が発生しないよう対策を徹底してまいりたいと考えてございます。
【伊藤岳 参院議員】 前田前会長から承認を得たと理事は聞いていたということなんですね。それで稟議に署名されたということ、今会長の発言から明らかになりました。
同じくこの記事、上から三段目になりますが、こう書いています。また、当時経営企画担当の専務理事だった伊藤浩氏は、環境が整えば始めるための準備作業だった、前田氏から、後ろめたさを持つ必要はないとのことだったなどと語り、問題があるとはと書いていますけれども、これは事実ですか。
【稲葉延雄 日本放送協会会長】 先ほど申しましたように、内部監査は秘匿を条件に実施してございます。個別の御発言についてお答えをするのは差し控えたいというふうに思います。
【伊藤岳 参院議員】 先ほど片山委員の質問の中で、私びっくりしたんですけれども、私も、稟議書って一体何で明るみになったんだろうと思ったんですが、先ほど片山委員の質問に対して、ある役員の告発があったと稲葉会長言われました。これ、ある役員とは誰ですか。どういう位置の立場にある方ですか。
これ、朝日の記事にも、上から四段目にこう書いてあるんです。ある理事は、前田氏と伊藤氏とのやり取りはブラックボックスだったって言っていた理事もいたって書いてあるんですね。要するに、その告発した役員というのは、こういうこの前田氏と伊藤氏のブラックボックスということなんかも告発されたんですか、どうですか。
【稲葉延雄 日本放送協会会長】 先ほど来申し上げていますように、この辺のやり取りを含めまして、内部監査は秘匿を条件に実施してございますので、個別の発言についてお答えするのは差し控えたいというふうに思います。
【伊藤岳 参院議員】 会長、内部監査、内部監査、明らかにできないって言いますけれども、じゃ、お聞きしますけれども、この稟議書の実物だとか、読売新聞が報道したNHKプラスBS配信についてという内部文書、当委員会に提出していただけますか。何も資料出してないんですよ、NHK。
【根本拓也 日本放送協会理事】 内部書につきましては、個人情報保護の面もございますので、公表は差し控えたいというふうに考えております。
【伊藤岳 参院議員】 マスキングして出してください。どうですか。
【根本拓也 日本放送協会理事】 繰り返しになりますが、個人情報等の面の問題もございますので、公表は差し控えたいというふうに考えてございます。
【伊藤岳 参院議員】 稲葉会長、こういう姿勢でいいんですか、本当に。これだけ多くの委員がこの問題重大視して取り上げているんですよ。NHKから何らまともな資料出てこないじゃないですか。個人情報に関わる問題があると言うんだったら、そこはマスキングしてでもいいですよ、稲葉会長、出してください。どうですか。
【稲葉延雄 日本放送協会会長】 ただいま申しましたように、内部監査の結果等につきましては個人情報等もございまして提出は差し控えさせていただきたいと思いますが、基本的には、このような内部での意思決定が稟議書を含めて行われたということは明らかでありまして、その問題点というのをしっかり解明するということが大事ではないかというふうに思ってございます。
そういう意味で、私の直下に弁護士を中心とする検討会を設定いたしまして、そこで意思決定のプロセスの在り方あるいはその稟議の在り方などを含めて検討し、再発防止に努めていきたいというふうに考えてございます。
【伊藤岳 参院議員】 稲葉会長は、この前田前会長のなし崩し的に、前のめりにBS配信、インターネット配信に突き進んできたというこの間の流れ、どこに問題があると思っているんでしょうか。公共放送NHKがインターネット活用業務を行う意味だとか、ネットにおいてどのようなサービスを行うのかとか、同時配信以外の独自サービスはどうするのかとか、情報の社会的基盤として放送とは違う機能をどのように持たせるのかなどがしっかり深められるべきじゃないでしょうか。視聴者・国民の理解が得られることが必要なんではないでしょうか。これ、前田会長のこの間の立場、行動というのはこれと逆ではなかったという認識はないですか。
【稲葉延雄 日本放送協会会長】 インターネットに関連する業務の在り方等、NHKとしては、総務省の検討会などでも私どもの考え方をしっかりお伝えしながら、そこでの検討を踏まえながら必要な処置を講じていくと、こういう基本姿勢にございます。そのために必要であれば予算をお願いするということになりますし、また、実施基準の変更ということであれば、また総務省にその旨認可を申請するというようなこと、そういう手順をきちんと踏んでいきまして、アカウンタブルなその業務運営、対応策の執行をやっていきたいというふうに考えてございます。
【伊藤岳 参院議員】 はい、まとめたいと思います。
総務省の作業部会の中で、民放連からは、放送と同様の効用という概念が曖昧で、際限なく拡大する危険性はらんでいるという意見がありました。日本新聞協会からは、必須業務に格上げすることが前提であるかのように作業部会の議論が進んでいるという苦言が呈されていました。こうした意見をしっかり受け止めていただきたいということを最後に述べまして、質問を終わりたいと思います。