議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。
本法案が議題となった五日の本会議では、デジタル化の推進に当たってはマイナンバーカードをめぐるトラブルを教訓とすべきで、集中的に期限を区切った中で強引なデジタル化を進めるべきではないと指摘をしました。
マイナンバーカードをめぐる誤交付、誤登録は、自治体のコンビニ交付サービスにおける証明書の誤交付、マイナ保険証に別人の情報をひも付けた誤登録、公金受取口座が他人のマイナンバーカードに誤登録、マイナポイント事業での別人付与の四類型に加えて、希望していない方がマイナ保険証に誤登録という新たな類型も発生しました。
七日には河野大臣が、公金受取口座の誤登録が七百四十八件にまで広がり、家族名義の口座に登録された件数は約十三万件に上ると公表されました。
また、これらのトラブルの報告が大臣の下に届いていなかったという問題も明らかとなり、六日の記者会見では、公金受取口座が家族名義の口座に登録されたケースにおいても、二月に国税庁から連絡を受けていたにもかかわらず、大臣には情報が共有されていなかったと認められました。
マイナンバーカードをめぐるトラブルは拡大し続けており、国民の信頼は著しく失墜しています。
公金受取口座の誤登録問題で、八日付けの産経新聞の記事は、行政システムの専門家のコメントとして、公的給付金は決して別人に支払われてはならないもので、本来は確認や検証をもっとしっかり行って、問題がないとはっきりするまでは提供されてはいけないもののはずだと紹介をしています。当然の指摘だと思います。
ところが、河野大臣は会見で、デジタル化に背を向けることはできなかった、諸外国がデジタル化を進める中、日本が歩みを止めることはできないと述べられ、制度の不備を認めながら、見切り発車したことが浮き彫りになっています。まともな反省の言葉はありませんでした。
七日付けの読売新聞は社説でこう書いています。現在、何ら不都合なく使えている保険証を廃止し、事実上カードの取得を強制するかのような手法が政府の目指す人に優しいデジタル化なのか、マイナ保険証の見直しは今からでも遅くない、トラブルの原因を解明し、再発防止に努めるのが先決だと書いています。この社説に書かれていることは、私は今多くの国民に共通する思いだと思います。
大臣、今からでも遅くない、マイナンバーカードのトラブルの全体像や原因が解明されるまで運用は停止すべきではないですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 いろいろトラブルがあったことは申し訳なく思いますが、いずれのトラブルも、マイナンバーあるいはマイナンバーカードの仕組みあるいはシステムに端を発したものではございません。
このトラブルへの対応といたしまして、まず、システムの、システムが原因で起きたコンビニの誤交付につきましては、富士通Japan社のシステムを使っている百二十三の地方自治体、いずれもシステムを一時停止をして点検作業を行っていただいて、今日現在、百二十三のうち百二十二の団体で点検が終了しております。残る横浜市も六月の十七日には点検が終了をいたします。
このほかのトラブルにつきましては、言わば人間が介在をした人為的なミスでございます。
マイナンバー、マイナポイントのひも付けの誤りにつきましては、これ本来それを防ぐためのシステムが入っていたにもかかわらず、手続が面倒くさくなるからという要請を受けて下ろしてしまったのが失敗で、これは、またシステムを、誤登録を防ぐためのシステムを入れさせていただきました。
また、公金口座の誤登録七百四十八件につきましては、ログアウト忘れ、マイナポイントと同じようなログアウト忘れを防ぐためのシステムの開発を今進めており、六月中にはそのシステムを導入することができますので、誤登録という意味では新たな発生を防ぐことができると思っております。
本人以外の口座のひも付けにつきましては、本人以外の口座では給付が振り込まれないということを広く周知することで、まず御本人にマイナポータルから修正をお願いをしております。
また、マイナンバーの保険証とのひも付けの誤りにつきましては、マイナンバーの提出がなかった際に保険者がJ―LISのシステムとの本人のひも付け誤りが原因でございますので、これも六月一日に厚労省の省令改正でマイナンバーの提供を必須としていただいているところでございまして、マイナンバーによる本人確認ができれば新たなひも付けの誤りというのはなくなります。
また、それぞれの仕組みにつきまして、これまでのデータの総点検をしているところでございますので、総点検で出てきたひも付けの誤り、あるいは誤登録といったものは修正をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 丁寧に長々御答弁いただいたけれども、ずっとこの間聞いてきましたよ、そういう話は。
ただ、私聞いているのは、マイナンバーカードをめぐるトラブルがこれほどまでに集中的にあらわになっているんですよ。大臣は、システムの問題ではない、不具合やミスと言うけれども、先ほどは、何ですか、霞が関にはすぐ報告しない文化があるという新しい言葉も聞かれましたけど、そんな不具合とかミスとか、文化じゃないとか、そんなことで片付けられないでしょう。
資料を御覧いただきたいと思います。これ、連合審査で私どもの同僚議員が要求した資料ですね。マイナンバーカードの普及・利用の推進に関する関係省庁連絡会議の議事概要です。
その二ページ目、線を引きました。これ、大臣の発言です。極端に申し上げれば、一時的な措置であってもデジタル化できるものは例外なくデジタル化して、アナログ対応を徹底的に排除するという政府の姿勢を明確に打ち出していきたい、こう発言しているんですね。そして、次の線引きました。マイナポイントという宣伝をしているが、これは言わば邪道であって、本当はやはりマイナンバーカードがあると便利だからといって取っていただくのが王道だと思うと、こういうふうに発言をしているんです。マイナンバーカードの普及ありきで突き進んできたことをこの発言は事実上認めている発言だと思います。
しかも、王道のはずのメリットについては、先ほど読売の社説を紹介しましたけど、ほとんど国民のものとはなっていませんよ。今国民の思いは、まずは運用を一旦止めて点検をです。今日も二紙ぐらいの社説で、一旦運用を止めて点検を。全ての、ほとんどの新聞が、まずは運用を一旦止めて点検を。これ、国民の共通の思いだと思います。
普及ありきで、見切り発車で突き進んで急がせてきた、大臣、そのあなたの姿勢にトラブルの原因があるという認識はないんですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 先ほども申し上げましたように、システムが原因で起きたコンビニの誤交付につきましては、原因となったシステムを全ての、百二十三の自治体全てで一時停止をして点検をするということをやっております。先ほど申し上げましたように、既に百二十二では終わっているところでございます。
それ以外のトラブルにつきましては、これはシステムの問題ではなくて、人間が介在したことによるヒューマンエラーでございますので、それを防ぐためのシステムを新たに導入をする、あるいは元に戻すと同時に、マニュアルを遵守していただくことを徹底をして、お互いに、支援員と御本人がアカウントがログアウトされているということをお互いに確認をするということをやっていただいております。そういうことで新たな誤登録というのはしっかり防げると思っております。
【伊藤岳 参院議員】 いや、聞いているのは、大臣の責任というのはないんですかということです。見切り発車で、つまり制度の不備のまま見切り発車をしてきた、その責任、大臣にあるんじゃないですか。もう一度答えてください。
【河野太郎 デジタル大臣】 一度入れていたログアウト忘れを防ぐためのシステムを外してしまったというのは、これはデジタル庁として大きな責任を負わなければならないというふうに思っております。そうしたシステムがなかった公金受取口座の誤登録につきましても、同様のシステムの開発をしているところでございますので、まずはこのログアウト忘れという誤登録の原因となった典型例を一つしっかり潰していかなければいけないというふうに思っております。
また、マイナンバー保険証につきましても、このマイナンバーの提供がなかった際に仮名氏名と生年月日の二つだけで当ててしまった。結構、同じ生年月日、同じ仮名氏名の方がいらっしゃったことによってひも付けの誤りというのが起きましたので、マイナンバーをきちんと一緒に、五情報と一緒にマイナンバーを提出してもらって、それで確認をするということが徹底できれば、新たな誤ったひも付けというのは起きないわけでございますから、そういう業務フローの手順というのも改めさせていただいたところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 ログアウト忘れとか、そういう単純なものじゃないんですよ。
今日も新聞でITジャーナリストの三上洋さんがこう言っています。実際、これ公金受取口座のことです、実際、親名義にならざるを得ない赤ちゃんや子供は少なくない。つまり、障害を持ったお子さんとかもいますね。政府が制度の不備の、そういう制度の不備を承知の上で、登録を急ぐ余り見切り発車でスタートしたことが問題だと、IT専門家は指摘しているんですよ。ログアウト忘れなんという単純な問題じゃないと思います。
大臣から責任に対する言葉は一切聞こえてこない。これでは、マイナンバーカードに対する国民の信頼は取り戻せないと思います。
大臣、昨年、二〇二二年十月十三日に、現行の保険証を廃止してマイナンバーカードと一体化することを、閣議決定の時期を前倒しして二〇二四年秋と大臣、表明されました。先日、五月三十一日の連合審査において、二〇二四年秋という健康保険証廃止の期限を決めたのは一体誰なのかと、我が党の倉林議員の質問に対して明確にお答えなかった。関係閣僚と確認をし発表したと答弁されました。この関係閣僚と確認というこの過程の中に、総理の指示の下で開催された、先ほど資料でもお示ししたマイナンバーカードの普及・利用の推進に関する関係省庁連絡会議もその関係者との確認の中に位置付けられているんですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 マイナンバーカードで受診をしていただくことで、患者御本人の健康、医療に関するデータに基づいたより適切な医療を受けていただくことが可能となるなど、カードと保険証の一体化には様々なメリットがございます。また、マイナンバーカードは、安全、安心なデジタル社会のパスポートで、デジタルガバメントを推進するための重要なインフラであることから、早期の普及というのが重要になります。そのために、従来から、政府を挙げてマイナンバーカードの普及や利便性向上に向けた方策に総合的に取り組んでまいりました。
そのような中、関係閣僚間での協議を経て、カードと保険証の一体化のメリットの早期発現のために二〇二四年秋に保険証の廃止を目指すこととし、十月十三日にこの方針を関係閣僚と確認した上で発表したものでございます。
加えて、十月二十八日に閣議決定した総合経済対策において、健康保険証との一体化を加速し、令和六年秋に健康保険証の廃止を目指すための環境整備等の取組を行うということを明記させていただいたということでございます。
【伊藤岳 参院議員】 大臣、今日はいつになく何か余計なことが多いんですよね、答弁で。私聞いていることに端的に答えてほしいんですよ。この関係省庁連絡会議というのも関係者との確認の中に入るんですかと聞いているんです。
先ほど資料をお配りしました。この議事概要が、これ抜粋で今日資料で紹介しましたけれども、この議事概要全部読みましたけれども、この議事概要の中に、二〇二四年秋という健康保険証廃止の期限を決めたという議事経過は一切出てこないんですよ。これ、一体どういうことなんでしょうか。
この関係省庁連絡会議では廃止時期及び廃止の理由などは議題にはならなかったということですか、大臣。
【河野太郎 デジタル大臣】 議事録のとおりでございます。
【伊藤岳 参院議員】 じゃ、議事録のとおりと言うんだったら、大臣はいろいろ関係者と確認したと言うけれども、関係省庁連絡会議でも、二〇二四年秋、確認していないと。今答弁ありました。これ、重大ですね。
じゃ、この関係閣僚との確認というのが、大臣、この間から答弁されているけど、この連絡会議では議事になっていないということであるとすると、じゃ、この関係閣僚との確認というのはいつ行ったんですか。そもそも関係閣僚とは誰と誰ですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 関係閣僚というのは、健康保険事業を所管する厚生労働大臣とマイナンバーカードの発行、交付及び管理を所管する総務大臣でございます。
【伊藤岳 参院議員】 その関係閣僚の皆さんとの確認の中で、二〇二四年秋の保険証廃止の期限というのは誰から提案したんですか。河野大臣から提案したんですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 そこは協議の中でそういうことにいたしました。
【伊藤岳 参院議員】 誰が一番最初に言ったんですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 協議の中でございます。
【伊藤岳 参院議員】 その協議の中でって言われるんだけれども、この協議の中で、二〇二四年秋までの健康保険証廃止ということが協議でまとまった、このことは岸田総理に報告したんですか。廃止の時期についてはそもそも総理から指示があったんですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 十月に総理に報告をしていると思います。
【伊藤岳 参院議員】 報告の前に、そもそも総理の方からは二〇二四年秋という時期についての指示はあったんですかと聞いています。
【河野太郎 デジタル大臣】 通告ございませんのではっきりしたことはあれでございますが、総理の指示ということではなくて、総理に報告をしたということだと思います。
【伊藤岳 参院議員】 報告をしたということは、岸田総理にも、この廃止、健康保険証の廃止の期限を決めたということは総理にも責任があるということ、これははっきりしたと思います。その総理にも報告したことをかざして、河野大臣がその後、健康保険証の廃止に事を進めていったということだと思いますね。
先ほどお配りした議事概要の資料の一枚目見ていただきたいんですが、線引きました。
先日、岸田総理からも、マイナンバーカードの普及促進に向けて、残り半年、一段と推進体制を強化するとともにカードの利便性向上の取組を進めろと、今後はデジタル改革を担うデジタル大臣をヘッドとして進めてもらいたいとの御指示をいただいたと、大臣、発言されています。ですから、総理に報告し、総理の了承ももらって、河野大臣がヘッドとして突き進み始めたということですね。
先ほど紹介しました議事概要の二枚目の最初のところですね、線を引いた。もう極端に申し上げれば、一時的な措置であってもデジタル化できるものは例外なくデジタル化して、アナログ対応を徹底的に排除するという政府の姿勢を明確に打ち出していきたい、大臣、こう発言しているんですけれども、この発言されたのは事実ですよね、議事概要のとおりって先ほど言われましたから。
大臣は、本会議で私聞きましたけれども、保険証があるからみんなマイナンバーカードを持たないと頻繁に口にしたという新聞の報道について事実かと私お尋ねしたら、御指摘には当たりませんと、大臣、答弁されました。しかし、この議事概要にあるように、アナログ対応を徹底的に排除するとはっきり言っているじゃないですか、大臣。大臣の一つの信念でしょう、これは。そして、総理の指示でもあるんではないですか。保険証があるからみんなマイナンバーカード持たないと頻繁に口にしていたのは事実でしょう。もう一度答えてください。
【河野太郎 デジタル大臣】 御指摘は当たらないと申しております。
【伊藤岳 参院議員】 御指摘は当たらないって、同趣旨のことを言っているんですよ、議事概要の中で。
結局、医療DX推進本部が工程表を決定しましたけれども、そのときに岸田総理、こう言っていました。医療界、産業界、一丸となって取り組む。つまり、医療DXの名の下に保険証をなぎ払ってマイナ保険証に一体化して、保健医療情報の利活用に道を開いて企業のもうけの種とすると、そういうことではなかったんでしょうか。
次の問題に移ります。
デジタル社会の実現に向けた重点計画の改定案が取りまとめられました。今朝、閣議決定がされたと報道がありました。今日、資料で重点計画の決まった内容の一部を抜粋、一部お配りしています。
重点計画では、ちょうどその資料の真ん中辺りになります、次期カードの検討開始って、オレンジのラインを引きましたけれども、二〇二六年中を視野に次期カードの導入を目指すとして、そして、その検討事項として、券面記載事項、括弧、性別、マイナンバー、仮名、国名、西暦等とあるんです。
これ、私びっくりしました。マイナンバー法が可決されたのは、ついこの間、三十一日のことじゃないですか。大臣は、券面表示は本人確認のためのマイナンバーカードの在り方として重要な事項だと、関係者の御意見を伺いながら丁寧に検討を進めていくと答弁されていたのに、一週間もたたないうちにこれ出てきたんです。
大臣、国会に提出された法案は、こんなすぐに発表されるようなことがあったのに、その内容が法案に盛り込まれなかった、あの可決されたマイナンバー法案、余りにも国会軽視ではないんですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 ちょっと何をおっしゃっているのかよく分かりませんが、委員会の中でも券面について検討をしていきますということは申し上げておりまして、それを、ここに書かれているとおりでございます。
【伊藤岳 参院議員】 いや、何言っているか分からないというの私分からないんだけど、丁寧に検討していくと言って、一週間たって、何ですぐ、丁寧じゃなくて出てくるんですかということ聞いたんですよ。
デジタル庁にお聞きします。
次期マイナンバーカードで、本人写真、氏名、住所、生年月日の記載は検討事項に入りますか。
【河野太郎 デジタル大臣】 何を言っているか分からないのが分からないというのが分かりません。
券面の検討をすると言って券面の検討をするというのが書いてあるわけですから、当たり前のことじゃないですか。何をどうするかというのを検討を開始しますということを重点計画に盛り込んで、これから検討するんじゃないですか。
【伊藤岳 参院議員】 一週間前に丁寧に検討すると言って、何でその後、一週間後にこれが出てくるんですかということを私言っているんですよ。
聞いていることに答えてください。本人写真、氏名、住所、生年月日の記載は検討事項に入りますか。
【河野太郎 デジタル大臣】 検討を開始すると言って検討をしますというのが書いてあるのは当たり前じゃないですか。何を言っているんですか。本人の写真その他、何を載せるかというのをこれ検討の対象として検討するんじゃないですか。
【伊藤岳 参院議員】 じゃ、本人の写真なども検討に入るということですね。
そうなってくるとですよ、大臣、マイナンバーカードの券面記載事項がこれだけ大幅に変更となれば、つまり本人写真が載らないかもしれないとか、生年月日が載らなくなるかもしれないとか、であれば、これ本人確認の運用の姿が今とは全く違ってきますよ。
いや、例えば自治体窓口での本人確認はどのように行われると想定しているんですか。例えば、写真がない、生年月日がない、どうやってやるんですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 いや、だから、これから券面を検討すると言っているじゃないですか。
その券面を本人の対面の確認に使うか、あるいはこのマイナンバーカードそのものをオンライン上の本人確認に使うか、あるいは新しい暗号技術がどうなるのか、様々なことを検討すると言っているんじゃないですか。何言っているんですか。(発言する者あり)
【鶴保庸介 委員長】 速記を止めてください。
〔速記中止〕
【鶴保庸介 委員長】 速記を起こしてください。
【河野太郎 デジタル大臣】 申し訳ございません。
次期カードの検討を開始すると、ここに書いてあるわけで、私はこの委員会で新カードの券面の検討をいたしますということをずうっと申し上げてきておりまして、ここに次期カードの検討を開始すると書いてございます。
その検討事項の中に、券面のデザイン、あるいは券面の記載事項、性別、マイナンバー、仮名、国名、西暦、電子証明書云々と、これを検討するんですということを申し上げておりますから、これ全部テーブルの上にのせて、名前を書くのか、写真を載せるのか、生年月日をどうするのか、性別をどうするのか、それをこれから検討するわけで、それは、マイナンバーカードというのは本人の対面の確認にも使いますし、オンラインでこれは本人だよということを確認するためにも使うわけで、そういう機能を果たすために必要なことは何なのか。あるいは、今電子証明書に使っている暗号の技術、今は五年で更新をお願いをしておりますが、カードと一緒に十年で更新をするならばどの程度の暗号の強度が必要なのか。そういうことを一つ一つ検討するということなわけで、それが、検討を開始すると書いているわけでございますから、委員会の審議の中でも、これから券面、次期カードの券面の検討をしますと申し上げているわけで、それは、言っていることはそのままここに書かれているわけでございます。
【伊藤岳 参院議員】 だからですね、大臣、だから、大臣も丁寧に検討すると言われているから、だから、この委員会だって検討の一つの機会じゃないですか。だから聞いているんです。
だから、私が聞いたのは、例えば、この検討の中で、本人写真を載せるかどうかも検討とかってなってくると、では、これどうやって本人確認できるんだろうかって疑問に思うじゃないですか。それをちょっと丁寧にお互い意見を交わしたいわけですよ。
例えばですよ、もし写真を載せないとかということも検討に入ってくると、今、自治体の中に、自治体の現場に読み込み機ってありますけど、読み込み機の総入替えもしなきゃいけなくなりますね、ICチップの仕様が変わるわけですから。そうすると、相当な費用が掛かるじゃないですか。そんなことも丁寧に検討していきたいんですよ。どうですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 検討するイコール取り除くということではないのは、これは委員も御理解をいただけると思います。
いろんなものを載せるのかどうか、例えば、マイナンバーを載せるのか、あるいは住所を載せるのか、これいろんな方がいろんなことをおっしゃっております。住所も載せたくない、あるいは住所も載せろ。英語の名前を載せれば、海外でも使う、使えるから英語で載せてほしい。あるいは、住所を書くと、引っ越したたびに住所欄が埋まってしまって新しいカードをすぐに取りに行かなきゃいけないのは不便だから住所は載せないでほしい。いろんな議論がございますので、それを最初からこれはやらないとか、これはやると決めるのではなくて、とにかく全部、今券面にあるもの、あるいは券面に新たに載せろと言われているもの、これ全部テーブルの上にのせて一つ一つ議論をしようと。
だから、顔写真についても、もうスマートフォンでも読み込めて、スマートフォンで読み込んだらそこに写真が出るというのがもう世の中当たり前になっているんなら顔写真は要らないという議論になるかもしれませんし、いやいや、二〇二六年、そんな世の中になっていないというんであるならば、それは写真がなければ本人確認できないよねということになります。
事前に何かこれを排除するとかなんとかと決めずに、全部をテーブルの上にのせて、一つずつどうするか議論させていただきたいと思っております。
【伊藤岳 参院議員】 一番心配なのはこの本人確認なんですよ。これ、重点計画の中では、二〇二四年末に運転免許証との一体化も書かれています。
自治体窓口で次期マイナンバーカードを機器で読み込んで本人確認をするということになれば、そこからまた個人の様々な情報を抜き出せる、漏えいするということも危険性があると思います。
運転免許証とカードを一体化したら、これ警察官がカードリーダーを持ち歩くことになるんでしょうかね。そこでカードリーダー読み込んで、警察官がそこから個人情報を恣意的に抜き出そうという危険性もあるんじゃないですか。その辺はどう思うんですか。
【村上敬亮 デジタル庁統括官】 一点事務的な補足と、今お尋ねの点について。
券面記載事項、大臣から答弁申し上げたとおり、丁寧に一つ一つ検討していこうと思います。顔写真も含めて御指摘のものは検討の対象でございますが、主として念頭に置いておりますのは、ICチップの中に入れておくだけにするか券面にも出すかというところが一番大きな違いでございまして、そのために何か大きく運用が変わるということは、一番、大臣も申し上げていましたとおり、電子鍵の強度を上げると五年サイクルが十年サイクルになるかもしれないと、これは明らかに運用が変わるかもしれませんが、この券面事項の記載と今先生が御指摘の事項で運用が大きく変わるんじゃないかというところは、我々はチップで読むか表にも書いておくかということを主として考えてございます。
警察の件につきましては、今でも一部運転免許証……
【村上敬亮 デジタル庁統括官】 はい。ICチップに入って、警官の皆さんの読み取れるようになっている仕様のものも一部出てございますが、マイナンバーカードの場合も同じでございまして、オフラインでも現場が読める仕様にするということは現行のデジタル化した運転免許証と同様の機能になることを想定しながら、詳細は検討を進めてまいりたいと思ってございます。
【伊藤岳 参院議員】 時間ですのでまとめます。
当委員会での丁寧な検討を強く求めて、質問終わります。
以下反対討論
【伊藤岳 参院議員】 私は、会派を代表して、デジタル改革推進一括法案に対する反対討論を行います。
反対理由の第一は、本法案が、デジタル庁のデジタル法制審査を通じて、今後、各府省の法令の新規制定や改正の際にデジタル原則への適合性をチェックして、規制改革、行政改革を強力に推進しようとする法的根拠を与えるものだからです。また、各府省を通じて地方公共団体をもコントロールするものです。反対です。
反対理由の第二は、目視や定期検査・点検規制、実地監査規制、書面掲示規制など七つの規制をアナログ規制として強引に規制緩和を推進することです。
これらの規制は、医療、介護、福祉、輸送、交通、インフラ、製造、環境など多くの分野で国民生活の安全、安心を守るために設けられたものです。既に保育施設の実地監査をリモートで可能とする規制緩和を行っていますが、多くの保育関係者から反対と疑問の声が上がっています。国民生活の安全、安心を守るための規制を一律的、強引に規制緩和していくことは容認できません。また、重大な緩和策を、本法案に盛り込まれた個別法を除き、国会にも諮らず、省令改正などで行うことも問題です。
関係六十二法律を一括して改正する書面掲示規制については、インターネットを通じて広く知らしめることが利便性を高める点もあります。しかし、公示送達について広く公衆、一般にインターネットで閲覧を可能にすることは、極めてセンシティブな個人情報の漏えい、プライバシー侵害につながりかねません。その防止対策はいまだ検討中であり、インターネットによる公示送達の実施ありきで三年後に実施することは認められません。
マイナンバーカードをめぐる誤交付、誤登録の深刻な広がりは、制度の不備を認識しながらもマイナンバーカードの普及に強引に突き進んできた政府の姿勢に根本的な原因があります。教訓とすべきです。
集中的に期限を区切った中で強引なデジタル化を進めるべきではないことを指摘して、反対討論といたします。