議事録

マイナンバー関連法改正案 反対討論

議事録

【伊藤岳 参院議員】日本共産党の伊藤岳です。
 私は、会派を代表して、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案、いわゆるマイナンバー法等改正案に対して、断固反対の討論を行うものです。
 初めに、本日の採決強行に万感の怒りを込めて厳しく抗議するものです。
 マイナンバーカードをめぐる誤交付、誤登録などがとどまることなく広がり続けています。明らかになっているだけでも、自治体のコンビニ交付サービスにおける証明書の誤交付が、戸籍や住民票等で四自治体十四件、印鑑登録証明書で三自治体十一件、マイナ保険証に別人の情報をひも付けた誤登録が七千三百十二件、うち他人が閲覧したのが五件、公金受取口座が他人のマイナンバーに誤登録されていたのが十四自治体二十件、さらにマイナポイント事業で別人付与が九十自治体で百十三件などなどです。本委員会で河野大臣も認めたとおり、日本国憲法が保障する個人の尊厳、生存権、財産権の侵害につながりかねない重大問題です。
 五月八日、河野デジタル担当大臣は富士通Japanシステムの停止と再点検を要請し、五月二十三日、加藤厚労大臣は全国の保険組合に七月末までの作業結果の報告を要請しました。本人への確認は八月以降とのことです。五月二十六日、松本総務大臣は、全国の自治体に対する事案調査の実施を表明しています。そのいずれの点検調査も途中であり、その間にも新しい事案が次々と発生しています。
 国民のマイナンバーカードへの信頼は大きく揺らぎ、今日のこの委員会も多くの国民が注視しています。それでも採決を強行するのですか。欠陥システムが明白となった以上、マイナンバーカードを活用したシステムを停止して、根本的な総点検を行うべきです。マイナンバー制度の利用範囲を税、社会保障、災害の三分野に限定せず、その他の行政分野に広げていくことを始め公金受取口座の登録制度、戸籍法の改正など、本法案の内容全てに直結する問題です。採決の強行で国民の不信を払拭することはできません。
 本委員会の質疑を通じて、これまで国と保険者の責務として国民、被保険者に届けられてきた現行の保険証を廃止し、本人の申請による交付方式へと制度の大転換をするならば、申請、交付漏れによって保険医療が受けられない無保険者が出ることが避けられないことが明らかになりました。国民皆保険制度が大きく突き崩されることは明らかです。また、マイナンバーと資格情報をひも付ける際のミスは避けられず、七千三百十二件以外にも誤りがあることを厚労省は認めました。
 さらに、参考人質疑では、介護が必要な高齢者や障害を持つ方々がマイナ保険証の申請、取得、管理、利用に大きな困難を抱えている実態が示されました。現行の保険証は残すべき、資格確認書の申請主義を改める手当てができないかなど、参考人全員から本法案の重大欠陥が繰り返し指摘されたのです。
 本法案は撤回すべきです。
 以上述べて、反対討論といたします。