議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。
初めに、住民票等のコンビニにおける誤交付について伺います。
三月二十七日に発生した横浜市の事案の後、更に同様の事案が相次いでいます。四月二十二日には足立区、五月二日には川崎市でも、同じ事業者、富士通Japanのシステムにおいて誤交付が発生しました。川崎市の場合は、個人情報の根幹である戸籍の情報まで漏えいをしました。重大です。
昨日から本日にかけて、徳島市のコンビニ交付でも、住民票の申請をしたところ、別人の戸籍全部事項証明の一部が交付された。住民票を申請して戸籍全部証明が出てくるという考えられない重大事案が、これ横浜市と同じ三月二十七日に発生していたということが分かりました。これも富士通Japanのシステムです。
五月十日の総務省通知では、横浜市、足立区、川崎市における誤交付については明記されていますが、この徳島市は入っていません。なぜかと総務省に伺うと、徳島市からは四月の時点でインシデント報告はあったが、それは一般的なIT障害としての報告であって、個人情報の漏えい事案となることは認識していなかったという説明でした。
河野大臣、大臣の会見でも徳島市の事案については触れておられません。大臣は、会見の時点でこの徳島市の個人情報漏えい事案について把握をしていましたか。イエスかノーかで結構です。
【河野太郎 デジタル大臣】 徳島市でインシデントがあったということは知っておりましたが、内容については把握しておりません。
【伊藤岳 参院議員】 住民票の請求をしたら、住民票ではなく、しかも別人の戸籍全部事項証明の一部が誤交付されたという考えられない事案です。個人情報が別人に渡った時点で重大な漏えいであって、取り返しの付かない問題であります。同時にまた、横浜市、足立区、川崎市とは全く別の形でのシステムエラーではないですか。回復したから問題ないと済まされる問題ではないと思います。
デジタル庁としてはどのように対応しているのか。徳島市の事案を独自に調査をするべきじゃないですか。大臣、どうですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 この横浜、足立区、川崎、徳島、いずれも富士通Japanが開発したアプリケーションを原因とするものですので、デジタル庁から富士通Japan社に対してシステムの運用を停止して徹底的に再点検を行うよう要請を行ったところでございます。
既に富士通Japanからそれぞれの自治体に要請が行き、調整が行われている、これは、この富士通Japanの開発したアプリを利用している自治体と今調整が行われていると認識しております。
【伊藤岳 参院議員】 いや、お聞きしたのは、徳島市のこれ別なケースの事案ですから、これ独自に調査をするべきじゃないかと聞いているんですが。
【河野太郎 デジタル大臣】 この徳島につきましても、庁内証明書交付サービスとコンビニから同時に交付申請があった場合に誤ったプログラム処理が生じ、証明書データの取り違えが発生したということで、この富士通Japanが開発したアプリケーションを原因とする、同じことでございます。
【伊藤岳 参院議員】 その程度でいいんでしょうかね。本当にこの川崎市などの事案とはちょっと別ケースですよ。報道が出る段階になるまで住民、国民には明らかにならないというのでは、コンビニ交付に対する国民の信頼は得られないと思います。独自の調査を求めたいと思います。
大臣は、五月八日の記者会見で、富士通Japanに対しシステムの一時停止と再点検を要請したとして、対象は約二百自治体に上ると言及されました。
大臣、この約二百がどこの自治体なのか把握されていますか。
【河野太郎 デジタル大臣】 デジ庁として把握をしております。
【伊藤岳 参院議員】 二百自治体と数だけ言われても、国民側から見ると、自分の証明書を発行する自治体だとは分かりません。更に誤交付の危険が続くのではないでしょうか。住民の理解と協力を大臣が呼びかけても効果を発揮しないんではないでしょうか。
対象となる約二百の自治体名について公表しますか。
【河野太郎 デジタル大臣】 これは自治体のサービスでございますので、富士通Japanと自治体と、それぞれ調整をしているところだと思います。公表についても富士通Japanと自治体で適切に対応されると考えております。
【伊藤岳 参院議員】 調整しないと、つまり事業者の了解を得ないと公表できないという実情なんですよ。
富士通Japanは、五月九日付けのホームページ上に、システム運用の一部停止を含め点検に対する御協力を自治体にお願いさせていただく、具体的な内容については各自治体に個別に御案内させていただきますとしています。
富士通Japanからこのお願いが行った地方自治体数は幾つで、一時停止をしていない地方自治体数は幾つか、デジタル庁としてつかんでいますか、大臣。
【河野太郎 デジタル大臣】 これは自治体のサービスでございますので、自治体がどのように判断をするかということがあるんだろうと思います。どこの自治体が対象となっているというところはデジタル庁として把握しております。
【伊藤岳 参院議員】 つまり、誤交付の事案に対する対応は、要は事業者に委ねられるということなんですね。
事は個人情報の根幹に係る漏えい問題です。ところが、マイナンバーカードを利用したシステムのエラーが発生しても申出があるまで判明しない、地方自治体がベンダーと契約して行っているシステムに係る個人情報漏えいの事案の対応は事業者任せ。これでいいんでしょうか。個人情報漏えいの対策について検討や後回しのままで、本法案でマイナンバーカードの利活用を更に広げていくのは問題だと思います。
次に、マイナンバーカードと保険証の一体化の問題についてお聞きをしていきます。
伊佐厚労副大臣に来ていただきました。
国民皆保険制度とは何なのか。国民健康保険法第五条では、「都道府県の区域内に住所を有する者は、当該都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険の被保険者とする。」と定めているとおりに、つまり、住所を有する者は全て被保険者であって、その全ての被保険者が必要な保険医療を受けることができる仕組み、制度、国民皆保険制度はこういう理解でいいですか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 先ほど御指摘いただいた国民健康保険法に基づきまして、被用者保険や後期高齢者医療の被保険者となる者を除いて、都道府県内に住所を有する者は全て国民健康保険の被保険者とすると、これにより国民皆保険を実現しているというわけですが、おっしゃっていただいたとおり、国内に住所を有する者は全て被保険者の資格を有するということでございます。
【伊藤岳 参院議員】 本会議で、私、加藤厚労大臣に質問しました。資格確認書の取得について、オンライン資格確認を受けられない状況にある方に申請を勧奨するなど必要な対応を行うこととし、これにより全ての被保険者が必要な保険医療を受けられることができる仕組みとすると大臣は答弁されました。これから仕組みをつくるということだと思います。具体的にこのことについて聞いていきたいと思います。
被保険者が保険医療を受けられることができるためには、これまで現行の保険証が確実に交付をされてきました。本法案では、マイナ保険証を申請して交付を受けることを基本にしながら、資格確認書を申請して交付を受けることもできるとしています。
副大臣、申請に応じた交付に大きく制度が転換されるわけですね。申請漏れなどから、マイナ保険証も、また資格保険証も、どちらも交付されずに保険医療が受けられないという事態は生じませんか。これ、当然の疑問だと思います。副大臣、明確に答えてください。
【伊佐進一 厚労副大臣】 あくまで、まずマイナンバーカードと健康保険証の一体化をお願いしているという状況でございますが、ただ、マイナンバーカードを例えば紛失した方、あるいは取得していない方々、こういう方々がオンライン資格確認を受けることができないという状況の中で、この申請に基づいて資格確認書を交付するというものでございます。
この資格確認書が必要となる事情というのは様々なケースが想定されます。例えば、紛失、更新中のものでありますとか、あるいは、ベビーシッターとか介助者、第三者が本人に同行して本人の資格確認を補助するような必要がある場合とか、様々なケースがございますが、そういうケースが様々想定されますので、一律に交付することを、ではなくて、本人からの申請に基づいて交付する仕組みとさせていただいておりますが、今御指摘いただいた漏れがあるんじゃないかという点につきましては、資格確認書のまず申請手続も含めてしっかりと周知をするとともに、代理申請、あるいは申請を、代理申請を含めて申請を勧奨した上で、申請が期待できないと判断された場合には、本人からの申請によらず職権で交付するといったような必要な対応を行うということで対応していきたいというふうに思っています。
こうしたことを通じて、このマイナンバーカード、また資格人確認書の、あっ、資格確認書のいずれも交付されない方が生じないように適切に対応してまいりたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 随分先まで答弁していただきましたけど、私聞いているのは、保険医療が受けられないという事態は生じないかということなんです。
つまり、無保険となる国民は一時的であっても絶対に生まない、一人たりとも生まないと言い切れますかということなんです。被保険者誰もが保険医療をいつ何どきも確実に受けられるか、そう言い切れるか、そのことを聞いているんですが、どうですか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 この国民皆保険制度の我が国の制度の下で、全ての被保険者が必要な保険診療を受けることができるというのは大事な前提だというふうに思っておりますので、マイナンバーカード、また資格確認書のいずれも交付されないような方が生じないように対応していきたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 対応していく、これからなんですよね。言い切っていないと思います。
もう一度聞きます。言い切れますか。誰一人無保険者は一瞬たりとも生まない。明確に言ってください。できますか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 国民皆保険制度の下では当然全ての方々が適切な医療を受けるというのが大前提でございますので、そうした大前提が崩れないようにしっかりと対応していくというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 つまり、これからの対応なんですよね。
申請を勧奨するなどの必要な対応は行ったものの、様々な事情から申請が間に合わない、こういう方々も出ると思います。この方は申請が間に合わなかった時点で無保険になるじゃありませんか。保険医療が受けられないんではありませんか。違いますか。無保険になるでしょう、一時的に。
【伊佐進一 厚労副大臣】 しっかりとまず周知をして、申請をしていただくということが大事だというふうに思っておりますが、こうした方々が出ないようにしっかりと努力をしていきたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 しつこいようですが、一時的には無保険になる人が出るでしょう。そこを聞いているんですよ。ならないように努力するということを聞いているんじゃないです。出るでしょうと聞いているんです。
【日原知己 厚生労働大臣官房審議官】 今副大臣から御答弁ございましたように、必要な保険、保険診療を受けられないということがないように、先ほどの御答弁申し上げたことに加えまして、医療保険加入時にマイナンバーの取得状況や保険証の利用登録の状況を確認をいたしまして、取得していない等の場合はその場で資格確認書の申請手続を行うといったことも保険者に周知をいたしまして、先ほどより申し上げておりますとおり、必要な保険診療が受けられるという対応を講じてまいりたいと思ってございます。
【伊藤岳 参院議員】 だから、申請して届くまでには無保険者になる瞬間があるでしょう、まあ今認められたからいいですけど、そういうことですね。無保険者になる瞬間があるんですよ。
職権交付のことも言われましたけれども、職権交付も現行と同じように保険証の期限が切れるまでに必ず届くということになるかというと、問題が生じると思います。これからの検討では、無保険となる国民は一人たりとも生まない、これは言い切れないと思うんですね。そうなれば、国民皆保険制度に穴が空くということじゃありませんか。
マイナ保険証の申請漏れが最も大量に発生すると想定されるのは、マイナ保険証の五年ごとの更新の時期だと思います。
厚労副大臣、この更新が必要な方には更新が間に合う時期に案内、周知などがなされるんですか。更新が間に合う時期にというのはこれ何によって担保されますか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 先ほどの、更に追加で先ほどの問いについてですが、この被保険者が保険がなくなるような瞬間は生じないということでございます。ただ……(発言する者あり)いえ、被保険者、まず一つは生じない上に、更に申し上げれば、先ほど申し上げたように、期限に応じて本人からの申請によらずに職権で交付することができますので、申請が期待できないと判断された場合には職権で対応するということになります。
先ほどいただいた問いのマイナンバーカードの更新時期においての更新忘れ等の対応についてですが、マイナンバーカードの有効期限を迎える住民に対しては、有効期限の約三か月前にマイナンバーカード、また電子署名、電子証明書の有効期限切れ通知書を地方公共団体情報システム機構、J―LISと申し上げますが、から送付しているというふうに承知をしております。
またさらに、患者が医療機関、また薬局の窓口でマイナンバーカードで資格確認を実施された場合には、有効期限が三か月以下である場合には、カードリーダーで市区町村の窓口で更新手続を行うようにアラートを出す機能も実装をしております。
またさらには、健康保険証のマイナンバーカードとの一体化について、医療機関、薬局に対してポスター配布やあるいはリーフレットの送付を行っておりますが、こうした中でも、マイナンバーカードそのものの更新手続についてもしっかりと周知をしてまいりたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 副大臣、さっきの審議官の話では無保険者生まれるということになりますよ。
じゃ、ちょっと具体的に聞きますけれども、じゃ、マイナ保険証の更新の時期が今日だった人、今日だったとしたら、今日を過ぎれば申請していなかったら申請漏れになりますよね。その申請漏れになった人、あしたからマイナ保険証の期限が切れた人というのは、資格確認書が申請によらずに自動的に交付されることになるのですか。その方があした保険証に、医療機関にかかったら、あなた期限切れですということは言われないで済むんですか。明確に答えてください。
【日原知己 厚生労働大臣官房審議官】 今の更新の際のお話でございますけれども、更新に係るお手続の状況そのものが様々であるというふうに想定してございます。ですので、カードの更新を失念された場合に、申請に、この場合について、特にその申請によらず資格確認書を交付するといった、そういう特別の対応というのは難しいと考えておりますけれども、更新に関する手続等を丁寧に周知してまいりたいと考えてございます。
【伊佐進一 厚労副大臣】 恐らく、今無保険とおっしゃられている場合というのは、例えばマイナンバーカードが未取得の場合であったりとか、あるいは保険証の利用登録がされていらっしゃらない方だというふうに思いますが、こういう方々で、しかも、かつ資格確認書の発行、更新もされていない方ということだというふうに思います。
こういう方々に対しては、先ほど申し上げたとおり、各保険者から被保険者にまず個別に状況確認をさせていただきます。その上で、申請を更に期待できないという場合には、ここは必要に応じて職権交付を行うということでございます。
【伊藤岳 参院議員】 だから聞いているんですよ。だから、今日資格の期限が切れちゃった人というのは、自動的に資格確認書を出すんですかと聞いているんですよ。そうしないと無保険になるでしょう。そこを聞いているんですよ。結論だけ言ってくださいね。
【日原知己 厚生労働大臣官房審議官】 はい。
ですので、先ほどの繰り返しになりますけれども、そのカードの更新の場合ですね、その場合につきまして申請によらず資格確認書を交付する、これは難しいというふうに考えてございます。
【伊藤岳 参院議員】 だから無保険者が生まれるんですよ、一時的には。詭弁使っちゃ駄目ですよ。
じゃ、更新が間に合うように案内するとさっき副大臣言われましたけど、この周知、案内というのは、これ病院などの医療機関にもその役割を担わせることを想定しているんですか。
【日原知己 厚生労働大臣官房審議官】 今考えてございますのは、病院等に直接お知らせをしていただくということではございませんで、先ほども申し上げましたけれども、まず、マイナンバーカードで資格確認を実施しました際に、この有効期限が三か月以下であるという場合にはこのカードリーダーで御本人にお知らせできるようにまずアラートを出す、そういう機能を実装しております。ですので、医療機関で、まず、医療機関から何か言っていただくということではございませんけれども、そこに置かれていますカードリーダーによりまして、その機能によりましてアラートを出す機能を実装しているということでございます。
それとは別に、有効期限の三か月前には、地方公共団体情報システム機構から、期限切れ通知書、こういうものがそれぞれにお送りされるというふうに承知してございます。
【伊藤岳 参院議員】 だから、カードリーダーを置いているのは医療機関ですからね、お年寄りなんか行ったら、カードリーダーよく分からないという人もいるから、結局医療機関が負わされることになるんだと思いますよ。
さっき、杉尾委員も別な調査使って言われましたけど、マイナ保険証を登録した方々が、そのマイナ保険証の申込みのきっかけ何ですかと聞いたところ、マイナポイントがもらえるからと答えた人が、杉尾先生のと別な調査ですけど、八九・一%、保険証利用にメリットを感じたからというのは一一・六%。これ、デジタル庁自身の二〇二二年十二月の調査です。
こうした実態考えれば、マイナ保険証の更新を勧奨するのは相当な労力が伴うんじゃないですか。またマイナポイントでも出すんですか。それでも更新の申請漏れなく無保険にならずに対応できると言い切れるのですか。言い切るのであれば、その根拠を示してください。
【日原知己 厚生労働大臣官房審議官】 今お話ございましたけれども、先ほども繰り返し御説明させていただいたところで恐縮でございますけれども、このマイナンバーカードと……
【鶴保庸介 委員長】 ちょっと静かにしていただけますか。
【日原知己 厚生労働大臣官房審議官】 一体化した保険証、その様々なメリット、これを十分御理解いただけるように周知に努力して、マイナンバーカードによる保険証利用していただけるように努力してまいりたいと考えてございます。
【伊藤岳 参院議員】 どう答えても言い切れないんですよね。言い切っていないんですよね。
それで、しかも、もう一つ言っておきます。私、今日、副大臣に答弁要請していますので。要請した方が答えてください。
マイナ保険証の更新時期には大量の無保険者の方を生んでしまうということを否定できない事態だと、今明らかになりました。そうなったら、無保険の方が殺到して、病院に、病院に……(発言する者あり)いや、分からないですよ、大混乱が陥ると思いますよ。これで国民の命と健康を守る最後のとりで、国民皆保険制度と言えるんでしょうか。
資格確認書についてちょっともう少し聞いていきたいと思います。
厚労副大臣、資格確認書の取得については、申請を勧奨するなどの必要な対応を行ってまいりますと先ほど来言われていますが、具体的にはどういう対応を行うんですか。
また、要介護高齢者の申請というのはなかなか困難だと思います。勧奨されても本人が申請できないという事情が存在します。
全国保険医団体連合会が実施した保険証の廃止に伴う高齢者施設への影響調査によりますと、利用者、入所者、つまり要介護高齢者が、本人が申請できない場合の利用者、入所者のマイナンバーカードの代理申請できますかと聞いたところ、対応できると答えた施設が僅か六・五%だったんです。
この要介護高齢者の資格確認書の申請などについて厚労省としては調査しましたか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 まず、前半の質問でありましたこの申請勧奨、具体的にどのような対応を行うかという点でございますが、これ具体的には、まず、来年秋の健康保険証の廃止に向けて、マイナンバーカードの保険証利用の登録をしていない方々にまず資格確認書の申請を促す案内をお届けをさせていただくと。御本人から申請が期待できない方々については、御家族でありますとか、あるいは施設の職員、支援団体等の代理申請を促すと。そしてまた、資格確認書の有効期間の期限が到来する時期にも定期的に手続の案内を送付すると、こうした対応を想定をしてございます。
そしてまた、高齢者の施設での対応でございますが、先ほど、全国の保険医団体連合会などが公表したアンケート調査があるのは存じております。我々としては、ここは、例えば施設職員あるいは支援団体の方々が申請代理交付の際の支援の協力を要請をさせていただいておりますが、この際に、様々な申請の取りまとめ、代理での受取に対する助成を行ったりでありますとか、あるいはマイナンバーカードを預かった場合の管理の在り方についてもしっかりとその環境づくりを推進するというふうにしておりますので、ここは、関係省庁と連携しながら、また関係団体の御意見も伺いながら詳細を検討してまいりたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 副大臣、先ほどの保険医団体連合会の調査というのは、いろいろ、厚労省などからのいろんなものを聞いた上で、それでもその代理申請ということは対応できないと答えているんですよ。そういうところにはどう対応するのか。どうでしょうか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 例えば、具体的な、この本年の二月に中間取りまとめを行わさせていただきました。このマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会というものを開催をさせていただいて、その中で中間まとめを行っておりますが、例えば、その中で、皆様からヒアリングを、関係団体からヒアリングを行った中で心配だというふうに言われた一つが暗証番号の設定、こういうところに困難を抱える申請者がおられるというところも踏まえまして、こうした暗証番号の取扱いについてもしっかりと検討していきたいというふうに思っております。
いずれにしましても、介護施設など入所者の方々にもマイナンバーカードを利用したより良い医療を受けていただくことができるように丁寧に対応してまいりたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 その上で、厚労省が言う、資格確認書の申請が期待できないと判断された場合には本人からの申請によらず職権で交付すると言っていますが、これどういうことなんですか。この職権とは誰の判断によるものなんですか。どのような場合が対象となるんですか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 この改正法案におきましては、保険者、法文上は、必要があると認めるときは職権で資格確認書を交付できるという規定を設けております。
この仕組みについては、様々な申請勧奨をした上で、保険者が資格確認書の交付申請を行うことが期待できないと判断された場合には職権で交付するということを想定しておりますが、この具体的な運用、職権交付についての具体的な運用については引き続き保険者等の関係者の意見を伺いながら検討していきたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 今言った要介護高齢者の施設などでは、その高齢者施設職員などから状況を聞いた上で職権交付を幅広く柔軟に判断するということですか。
また、そうなってくると、全ての被保険者が必要な保険医療を受けることができるという仕組みにすると言われていますから、そうなったら、資格確認書を職権で交付することを相当幅広に柔軟に判断できるようにしていくことにならざるを得ないんではないかと思いますが、どんな見解ですか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 この職権交付、繰り返しになりますが、職権交付のその具体的な運用については、必要な保険診療が受けられるように引き続き保険者等の関係者の意見を伺いながら検討していくということになると思っております。
【伊藤岳 参院議員】 これからの検討が多過ぎるんですよね。
ちょっと別の問題言いますが、例えば今、修学旅行や遠足に行く場合、子供たちは保険証のコピー持っていきますね。これ、マイナ保険証になったら、これマイナ保険証をコピーしても意味成しませんよね、マイナ保険証をコピーしたって。そうした場合、資格確認書というのを各自が申請して遠足や修学旅行に持っていくということになるんですかね。資格確認書を児童全員に職権で交付するということもあるんですかね。
【伊佐進一 厚労副大臣】 マイナンバーカードによって医療機関を受診した場合には、その服薬情報など医療に関するデータに基づいてより良い医療を受けられるということでありますので、まず、可能であれば、まずは児童生徒の皆さんがマイナンバーカードを持参して受診していただくということが考えられます。
このほか、保護者の申請に基づいて発行された児童の資格確認書を児童が持参することも可能と考えておりますが、これ、いずれにしましても、このお尋ねの事例の場合における対応、何ができるかという点については、関係府省と連携しながらここも丁寧に検討していきたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 今日、とにかく、答弁聞いていて思うのはとにかく検討ばっかり。
あと、それと、相当労力伴いますよ。省庁もそうだし、医療機関も保険組合も、これ相当な労力が伴いますよ。よく医療のデジタル化、効率化のためにマイナ保険証に一体化するんだと言うけど、デジタル化にも効率化にもならないじゃないですか。
だったら、副大臣に聞きますけれども、全ての被保険者が確実に保険医療を受けることができるための仕組みをつくると言うんであれば、現行の保険証を残すことこそが最も簡素で最も確実な対応になりませんか。どうですか。
【伊佐進一 厚労副大臣】 これ、政府としましては、多くのメリットのあるマイナンバーカードで受診していただくことが基本になるというふうに考えておりまして、マイナンバーカードと健康保険証を一体化することで、例えば過去の服薬情報でありますとか特定健診の結果、また患者本人の健康、医療に関する多くのデータに基づいたより良い医療を受けていただくことが可能になると、こういうメリットがあるということでありますとか、あるいは、医療機関や医療保険者にとっても、例えば事務コストの削減でありますとか様々な多くのメリットがあると。こうしたメリットをしっかりと実感していただけるように丁寧に説明してまいりたいというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 医療現場の医師の方にも聞きましたけど、マイナ保険証に一体化したからといって役立つ情報というのはそんなないんだと、差はないんだと言っていますよ。
先ほど河野大臣は、マイナ保険証の一体化についての理由について、マイナ保険証に一体化するのは誤入力などを防ぐためだと言いましたが、先ほどもあったように、マイナ保険証においても誤入力で別人のマイナ保険証にひも付いたという事例が出ているじゃありませんか。とにかくマイナ保険証に一体化する、それに付き合わせるというのはもう道理がないと思います。
本人からの申請に応じて交付する申請方式は無保険者を生むということを否定できません。国民皆保険制度の根幹を揺るがすものです。マイナンバーカードと保険証の一体の強行は断じてやめるべきだと訴えて、質問終わります。