議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。
地方自治法改正案が本日の委員会でも趣旨説明が行われました。改正内容は幾つかあるので、一般質疑でありますが、今日もこの改正内容についてお聞きしたいと思います。
まず、地方議会への請願書の提出などをオンラインで行うことを可能とする改正内容についてです。
松本総務大臣、請願権は憲法で保障された国民の政治参加の重要な権利であって、それが制限されることがあってはならないと思います。オンラインを可能といたしますが、地方議会への請願書などの提出を現行どおり紙で行う場合もこれが拒まれるということはない、そこを確認したいと思いますが、いかがですか。
【松本剛明 総務大臣】 請願につきましては、御指摘のとおり、憲法にも記載があるというふうに承知をしております。現行の地方自治法第百二十四条に基づき、住民は議会に請願書を文書で提出することができます。今回の改正案は、これに加え、改正後の第百三十八条の二に基づき、条文上、請願書の提出をオンラインで行うことができることとしております。このため、改正後においても、これまでと同様、第百二十四条に基づき請願書を文書で提出することは引き続き可能であります。
【伊藤岳 参院議員】 説明がありました。確認をしたいと思います。
次に、改正案は、公金事務の私人への委託について見直しを行います。公金は、取扱い上の責任を明確にして公正の確保を期することが要求されることから、私人に取り扱わせることを原則禁止としています。第一義的には地方公共団体自らが扱うべきである。しかし、法律若しくはそれに基づく政令に特別に定めがある場合は私人に公金事務を委託可能としています。
大臣、公金を取り扱う私人として今改正で創設される指定公金事務取扱者に対して、当該自治体による指定、監督、取消しなどについて規定を設け、チェック機能を強化するとしています。当然、法律上こうした規律を盛り込むわけですから、国としても運用の実態についてどのように掌握をするんですか。国会への報告も含まれますか。
【松本剛明 総務大臣】 今回の改正により、原則として全ての公金の収納事務について、長の判断により指定公金事務取扱者へ委託することができることとなります。これに合わせて、指定公金事務取扱者に対し、長による立入検査、報告徴収を可能とするなど、自治体によるチェック機能を強化することとしたところでございます。
私人に委託した公金事務の適正性については委託した自治体において確保されるべきものであり、今後は、今回の改正により新たに設けられた権限も行使し、各自治体においてその適正性を確保していくものと考えております。
他方で、総務省におきましては、これまでも私人委託制度の導入状況等を調査、公表してきたところでございます。改正後におきましても、導入状況等を把握するとともに、公金取扱いの適正性の確保の観点から、自治体において検査などが適切に実施されるよう必要な助言を行ってまいりたいと考えております。
【伊藤岳 参院議員】 是非、国会への報告も求めていただきたいと思います。
法案は、パートタイムの会計年度任用職員について、国の非常勤職員やフルタイムの会計年度任用職員の取扱いとの均衡の観点から、勤勉手当の支給を可能といたします。
大臣、法文上、期末手当又は勤勉手当を支給することができるとしています。この、できる規定についてお聞きをしたい。
支給要件を満たせば期末手当と勤勉手当の両方を支給することができる、つまり条件を満たせば両方の支給が当然行われる、これが原則であるとの認識でよいですか。
【松本剛明 総務大臣】 御指摘のとおり、法案成立後には、支給要件を満たす会計年度任用職員に対しては期末手当と勤勉手当のいずれも支給することが基本であると考えております。
【伊藤岳 参院議員】 期末手当と勤勉手当、いずれも支給することが基本、確認をいたします。
会計年度任用職員制度の創設時、つまり二〇二〇年四月ですが、制度移行に当たって総務省が財源を示す時期が遅くなり、地方自治体の制度設計に間に合わなかった、そのため、期末手当支給と引換えに月例給を引き下げるという事態が起きました。勤勉手当導入に当たって同様のことが起きないように、早めに財源を通知等で地方自治体に示す必要があると思うんです。
総務省、衆議院では地方財政措置の検討に向けて今後地方公共団体に対し調査を行うことを考えていると答弁がありましたが、この調査の概要、財政措置の在り方の検討内容などについて示していただけますか。
【大沢博 総務省自治行政局公務員部長】 お答えいたします。
会計年度任用職員に対する勤勉手当につきましては、法案が成立した際には各地方公共団体において適切に支給されることが必要であると考えております。
勤勉手当の支給に関しては、ただいま委員から御指摘がありましたように、必要な経費については、支給に向けて今後各地方公共団体に対し調査を行うことを考えておりまして、その結果も踏まえ、地方財政措置についてしっかりと検討していきたいと考えておりますが、調査の内容あるいは地方財政措置については法案成立後に具体的に検討してまいりたいと考えております。
【伊藤岳 参院議員】 大臣に伺いたいと思います。
会計年度任用職員の手当は、現在、一般行政経費の中に取り込んで財政措置をされています。会計年度任用職員の手当分については独自に見える化するべきではないかと思いますが、大臣、どう思われますか。
【松本剛明 総務大臣】 普通交付税の算定における会計年度任用職員の期末手当の支給等に要する経費については、特別支援教育支援員など従事する職務を具体的に想定している場合は個別の算定項目の単位費用の積算に、その他の会計年度任用職員の経費については包括算定経費の単位費用の積算に、それぞれ反映いたしております。
その上で、個別の算定項目の単位費用の積算に反映された会計年度任用職員に該当する職種を地方自治体が把握することができるよう、当該職種を対外的に明示しております。また、包括算定経費における積算分については、各地方自治体が普通交付税の算定における会計年度任用職員の期末手当の支給等に要する経費を把握するために必要な人口段階別の経費についても示しております。
今後とも、地方自治体に必要な情報を、可能な限り分かりやすくお示しするように努めてまいります。
【伊藤岳 参院議員】 是非、会計年度任用職員の手当分の見える化を検討してもらいたいと思います。
フルタイム会計年度任用職員については、地方自治法二百四条によってこれまでも勤勉手当の支給は可能であったにもかかわらず、総務省の会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル、いわゆる総務省マニュアルにおいて上記以外の手当については支給しないことを基本としますとされまして、その上記に列挙していない勤勉手当が支給されないという事態が生じました。
大臣、この総務省マニュアルのこの該当部分について、該当箇所について、今回の法改正に合わせて改訂を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
【松本剛明 総務大臣】 委員からも今お話がございましたが、総務省におきましては、会計年度任用職員制度の導入に際し、制度の適正かつ円滑な実施を確保するため、会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアルを実際に発出し、その後も随時改訂を行ってきております。
会計年度任用職員に対する勤勉手当につきましては、法案が成立した際に各自治体において適切に支給がなされるよう、勤勉手当の項目を追加するなどマニュアルの改訂を始め、自治体にしっかり周知してまいります。
【伊藤岳 参院議員】 会計年度任用職員制度の創設時、その総務省マニュアルでは、パートタイム会計年度任用職員の期末手当について、週当たり十五時間三十分未満の勤務時間の会計年度任用職員に対しては期末手当を支給しないこととする制度も想定されると例示をされました。これは、国が、再任用短時間勤務職員が週の勤務時間が十五時間三十分以上フルタイム未満には期末手当を支給するという国家公務員との均衡を図る観点からだとしています。
ところが、この週十五時間三十分未満をあえて狭めて解釈して、例えば週三十時間以上の勤務時間でなければ期末手当を支給しないという自治体もありました。
総務省にお聞きしたい。
会計年度任用職員制度の施行状況等に関する調査では、この週十五時間三十分未満という縛りをあえて狭めて解釈して期末手当を支給した自治体、幾つありましたか。
【大沢博 総務省自治行政局公務員部長】 お答えいたします。
令和四年度に実施いたしました会計年度任用職員制度の施行状況等調査によりますと、週の勤務時間が十五時間三十分以上よりも狭い対象範囲で支給する、そういった部門、職種がある地方公共団体は、都道府県、市区町村のうち三百八十三団体でございます。
【伊藤岳 参院議員】 まあ三百八十三団体もあったということですね。
大臣、こうした実態は適切ではないのではないですか。勤勉手当の支給において同様の事態が起きないように対応することを、総務省マニュアルの中にしっかりと書き込むべきではないでしょうか。
【大沢博 総務省自治行政局公務員部長】 ただいまの御質問ですが、期末手当、勤勉手当とも、国の非常勤職員の取扱いを踏まえ、継続して六か月、週十五・五時間以上勤務する者を支給対象とすることが基本であると考えております。
今後、実態も把握をしながら、ヒアリングの機会等を活用して、制度の趣旨に沿わない取扱いとしている団体につきましては、適切な対応を行うよう促してまいりたいと考えております。
【伊藤岳 参院議員】 勤勉手当が支給されることになる、これは確実に支給されるように是非対応を進めていただきたいと強く要望します。
先日、新聞報道で、県庁所在地や政令市など、保育の需要が大きい百三自治体の保育施設の少なくとも四割が今年四月入園の一次選考時点で定員割れになっていたことが分かった、四十三自治体が、保育士不足で定員まで子供を受け入れられない施設があると、これ読売の四月一日付けの報道です。
私の地元さいたま市でもお聞きしましたら、四月入園の一次選考で入所不承諾数が二千二百五十三人、前年よりも四百七十一人増となっています。
市はこう言っています。公立保育所のフルタイムの保育士の不足、特に会計年度任用職員の減少が顕著となっている。会計年度任用職員は、平成二十七年度と比べると七〇・八%まで減少している。その背景として、単年度採用であることから雇用の継続性との関係で敬遠され、賃金も高い民間に流れており、募集しても確保が困難な状況になっていると述べています。
大臣、経験と専門性を持つ会計年度任用職員が保育士の現場を支えている現状があります。その会計年度任用職員が去っていく状況もある。これで保育の現場に未来があるのでしょうか。私は、地方公務員制度については、任期の定めのない常勤職員を中心とするという原則を前提とすべきという考え方が総務省マニュアルにも示されていますけれども、専門性、本格的業務に携わっている会計年度任用職員に常勤職員への採用の道を開くべきだと思いますけれども、大臣、お考え、最後にお聞かせください。
【松本剛明 総務大臣】 これまでも繰り返し御答弁申し上げてまいりましたが、住民の皆様に必要な行政サービスを適切にお届けいただくために、各自治体においてそれに見合った適切な人事制度の運用をお願いをいたしたいと考えているところでございます。
【伊藤岳 参院議員】 時間ですので、終わります。