議事録
【伊藤岳 参院議員】 日本共産党の伊藤岳です。
私は本会議で、マイナンバーカードを取得してマイナポータルを登録したDV等被害者が、加害者に、マイナポータルを使って、DV等被害者がどこの病院、どこの薬局を利用したかなどの履歴からその居場所を知られてしまう、いわゆる身ばれの危険がありますと指摘をしました。河野大臣がその対応の検討を明言されたことは重要だと思います。検討を急いでいただきたいと思います。
大臣は、DV等の被害に遭っている住民からの相談があった場合に適切な案内が行われるよう、このような対応については、関係省庁とも連携の上、改めて自治体等に対して周知を行ってまいりたいと答弁されました。
大臣、関係省庁とは具体的にどこが想定されていますか。
【河野太郎 デジタル大臣】 マイナンバーカードの暗証番号が加害者に知られている場合、あるいはマイナポータルで代理人設定をしている場合に、今委員が御指摘だったようなことが想定をされるわけでございます。そうしたことがないようにするためには、暗証番号を教えない、あるいは代理人設定をした場合にそれを解除していただくという必要がございます。
こういうDVの被害者の方々、まず自治体に相談をするケースが多いということでございますので、自治体から適切な御案内をしていただく、それが効果的だろうと思います。そのために、周知に当たりましては、これは総務省としっかり連携をしてまいりたいと思います。
【伊藤岳 参院議員】 適切な案内が行われるようにとは、どのような案内が検討されているんでしょうか。今大臣も少し触れられましたが、被害者の情報を加害者に漏らさないための必要な手続は幾つかの省庁にまたがります。例えば、マイナンバーカードの一時利用停止の手続は総務省が所管するJ―LIS、住民基本台帳事務における住民票等の閲覧、交付の制限の届出は総務省、健康保険証の発行元への情報不開示の届出は厚労省となります。
これらを網羅して適切な案内がされるように徹底するということでいいでしょうか。
【河野太郎 デジタル大臣】 委員がおっしゃったようなケースにつきましては、先ほど私が申し上げましたように、マイナンバーカードの暗証番号を加害者が知っている場合、あるいは、加害者が代理人登録、被害者の代理人として登録をされている場合でございますので、暗証番号を知らない、あるいはこの代理人登録の設定を解除すれば委員がおっしゃったような危険はございませんので、総務省と連携をして自治体にしっかりと御案内をできるようにお願いをしていきたいと思っております。
【伊藤岳 参院議員】 是非、改めて自治体への周知のための文書を発出するなど行っていただきたいと思います。
こうした案内ですが、デジタル庁のホームページ、また関係省庁のホームページにも広報、周知されるでしょうか。
【河野太郎 デジタル大臣】 マイナポータルを利用される方が増えてきておりますので、まずマイナポータルにおいてこの代理人の設定に関する注意喚起をするべく準備を行っているところでございます。
具体的には、まず代理人設定をする専用ページを経由して代理人の設定をするわけでございますので、この代理人設定を行うための専用ページに注意喚起を設け、設定をする際にそのような危険があるよということを御理解をいただくようにしたいと思っております。また、マイナポータルのよくある質問のコーナーにも注意喚起を掲載をしていきたいというふうに考えております。
そのほか、デジタル庁、総務省始め必要と思われるところで積極的に周知をしていきたいと考えております。
【伊藤岳 参院議員】 大臣が、DV等の加害者が被害者の暗証番号が分かっていなければ、若しくは代理人設定をしていなければ大丈夫だという趣旨の話がありましたけれども、多くのDV被害者の場合は加害者にカードや暗証番号握られているケースが多いです。そして、代理人設定が解除できるというふうに言いますが、代理人設定を解除するまでのタイムラグがあるんですよね。
ですから、そういうことも是非よく丁寧に、自治体への周知の文書などでは周知徹底、案内をしていただくようにお願いをしたいと思うんです。とにかくDV等被害者の個人のところまで情報が届くということが大事だと思います。
マイナポータルに係る個人情報の漏えいについて、内閣官房、総務省大臣官房連名の事務連絡がかつて出されていました。この事務連絡の中では、マイナポータルは職員が関与しない自動応答システムなので、個人情報漏えいが、遺漏する、つまり漏れる危険性があるというふうにそもそも指摘をしていました。
自動応答システムと言っているように、マイナポータルを、代理人登録をすれば誰でも情報閲覧ができることを前提とするマイナポータルです。人権侵害につながると予想されるような不適切な個人情報の遺漏、漏れをつかみ、のぞかれないように規制することは、マイナポータルの目的や運用の実際から見ても極めて難しい課題だと私は思うんですね。
大臣はどのように認識されていますか。
【河野太郎 デジタル大臣】 マイナポータルで代理人の設定を解除するのはもうこれ被害者でやっていただくことができますし、何らかの場合にそれができない場合には、これ二十四時間三百六十五日コールセンターで機能を停止するということもできます。また、代理人が利用者の情報を閲覧した場合に被害者はそれをマイナポータルで知ることができますので、様々対応は取れているというふうに思っております。
そうしたことをしっかりと周知をしながら、そうした事態にならないように、自治体、総務省ともしっかり連携をしていきたいと思います。
【伊藤岳 参院議員】 大臣言われたこと分かるんですけれども、この身ばれの危険性が一時的でも存在するということは認められますよね。つまり、代理人設定を解除する、そうすれば身ばれは防げるということになりますけれども、その代理人設定解除するというのは時間掛かるんですよ。だって、加害者から被害者逃げて避難先見付けるまでタイムラグがあるじゃないですか。その間の危険性というのは、大臣、認めますよね。
【河野太郎 デジタル大臣】 二十四時間三百六十五日コールセンターでカードの機能停止を受け付けております。必要とならば、もうそれはいつでも電話をしていただく、あるいはカードが手元にあればカードで代理人設定を解除することができますので、全くタイムラグがないかと言われればそうではないかもしれませんが、気を付けていただければそういうことは防げるだろうと思います。
【伊藤岳 参院議員】 タイムラグがないということを認識していただきたいんですよ。
それで、住民基本台帳事務に係る個人情報漏えいの危険性について、総務省はその対策を随時更新して講じてきました。例えば、DV等支援措置を受けていた被害者の情報を自治体の側が誤って加害者に漏えいして発生した被害の調査などを行っています。
大臣、マイナポータルから個人情報の遺漏、漏れの危険性の周知やその十分な対策の効果の確認することなしに事を進める姿勢は改める必要があると思うんです。デジタル庁として対策を検討すべきではないかと思います。例えば、DV等被害者の情報がマイナポータルから遺漏して発生した被害の調査を実施する、その防止策を講じていくなど、必要ではないですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 先ほどから申し上げているように、必要な措置はとられているというふうに思っております。
【伊藤岳 参院議員】 まだまだ穴があると思います。事は命の危険に直結する問題だということを述べておきたいと思います。
DV、虐待等被害者など、加害者から身を守るためにマイナ保険証を使えない方、マイナ保険証をあえて持てない方がいます。大臣、紙の保険証のシステム、残すべきではないですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 紙の保険証は廃止をいたします。何らかの場合にマイナンバーカードを持っていない方については資格確認書を発行する、厚労省でそういう検討をしていただいております。
【伊藤岳 参院議員】 紙の保険証を廃止すると明言されました。この紙の保険証が廃止されて、明言されましたけれども、もしその紙の保険証が廃止をされてしまったらどうなるか。厚労省は資格確認書を発行すると言っている。しかし、資格確認書の方はマイナ保険証の方よりも医療費の窓口負担が高くなると厚労大臣は言っています。しかも、一年ごと資格確認書を更新してくださいと言っています。
大臣、この医療費の窓口負担が高くなること、一年ごとの更新、紙の保険証の仕組みを残せば防げるじゃないですか。何でなくすんですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 マイナンバーカードを利用していただくことで、医療の質を上げる、あるいは医療機関の業務を効率化することができる、そういうことから、マイナンバーカードで診療を受けていただくということにさせていただくつもりでございます。
【伊藤岳 参院議員】 大臣、医療の質上げると言いますけど、紙の保険証が廃止されたら命の危険につながる人がいるということですよ。先ほどタイムラグ認められたじゃないですか。医療の効率化のために命の危険が放置されていいのかということだと私は思います。
マイナンバーカードと保険証の一体化、紙の保険証を廃止することでもう一つ重大な問題が起きています。今日、資料をお配りしました。医療機関が閉院に追い込まれるという事態です。
私の地元埼玉県の保険医協会では、会員開業医にアンケートを実施し、結果を公表しています。お配りした資料にありますように、あるお医者さん、高齢のため新しいシステムへの対応が難しく、廃業に向かうしか道はありません。別なお医者さん、システム維持管理費の負担が余りにも大きく、経営を圧迫します、廃業に追い込まれるのではないか。別のお医者さん、セキュリティーの問題から導入できないため、義務化された場合は閉院します。つまり、これ廃業しかないという声が多数寄せられているんですよ。
この当協会の調査では、埼玉県にある約八千の開業医のうち一割に当たる約八百の開業医が廃業することになると見込んでいます。ですから、大臣、先ほど来医療のデジタル化と言いますが、その一方で医療機関が次々に潰れてしまう、これ本末転倒じゃありませんか。
健康保険証とマイナンバーカードの一体化によるシステム維持管理費の負担の高さ、システム対応への対応が難しい、セキュリティーの問題への懸念などを理由に病院が廃業するしかないという声が次々と寄せられている。深刻ではないですか。それでも、大臣、強行するんですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 オンライン資格に必要な機器に関しましては九九%の対象医療機関からもう発注をいただいておりますので、御指摘は当たらないと思っております。
【伊藤岳 参院議員】 御指摘当たらないって、このアンケート結果あるんですが、アンケートが間違っていると言うんですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 当たらないと思っております。
【伊藤岳 参院議員】 明確にこのアンケートでは一割の病院が廃業するしかないと答えているんですよ。大臣、現場の認識しっかり持っていただきたい。駄目ですよ、これじゃ。
大臣、紙の保険証の仕組みを残せば医療機関は廃業せずに済むんです。何で残さないんですか。
【河野太郎 デジタル大臣】 先ほど申し上げたとおりです。
【伊藤岳 参院議員】 医療システムの効率化と言いますけれども、現場の医療機関に行って私聞きました。政府は、患者本人の資格確認をスムーズにするためにマイナンバーカードに一体化するんだと。オンライン資格確認システムは、健康保険証の被保険者番号を入力しても本人確認は瞬時にできるとどこの医療機関も言っています。
つまり、マイナンバーカードで資格確認する場合でも、紙の保険証で資格確認する場合でも、どちらも速さは変わらないと言っているんです。大臣、それ認めますか。
【村上敬亮 デジタル庁統括官】 お答え申し上げます。
そのときの端末諸々の事情により厳密にということではありませんけれども、基本的には同じスピードで確認をできると理解しております。
【伊藤岳 参院議員】 同じスピードだ。一体化、保険証廃止してマイナンバー保険証に一体化する道理ないじゃないですか。
改めてマイナンバーカードと保険証の一体化の強行に道理がないということを訴えて、私の質問を終わります。