議事録

2022年4月21日 総務委員会(地方公務員の増員/自治体のウクライナ避難民支援)

議事録

【伊藤岳 参議院議員】

 日本共産党の伊藤岳です。法案は、地方公務員の育児休業の取得回数制限を緩和して、育児休業を必要な時期に柔軟に取得することを可能にします。また、非常勤職員の介護休業の取得要件を緩和して、介護休業を取得できる対象者が広がります。地方公務員の要求に応えるものになっていると思います。

 重要なことは、この制度改正を実効あるものにしていくことではないでしょうか。総務省は、男性職員の育児休業等の取得促進に向けた取組の一層の推進についてとの通知を出して、国家公務員における取組と同程度の取組の実施などを助言をしています。その中で、管理職員が対象職員に対して、育児に伴う休暇、休業の一か月以上の取得を推奨と記されています。

 現場の実態はどうなんでしょうか。滋賀県が実施した職員アンケート、今、手元に私持っています。その滋賀県の職員アンケートによりますと、男性職員の育児休業一〇〇%宣言という滋賀県の施策を行うに当たってのアンケートですが、育児休業を取得しなかった、また、できなかった理由として一番多いのは、仕事を引き継げる人がいない、職場に迷惑が掛かると思ったが六二・六%、トップです。

 大臣に聞きます。管理職員が対象職員に対して育児に伴う休暇、休業の取得を推奨と通知はしていますが、人手不足の職場の実態があれば、管理職員がそうした声掛け、推奨することをためらうようなことになるんではないですか。どうですか。

 

【金子恭之 総務大臣】

 伊藤委員には現場の声を御指摘いただきました。育児や介護を行う職員の職業生活と家庭生活の両立は官民共通の重要な課題となっております。

 地方公務員の男性の育児休業の取得率は、近年増加傾向にあるものの、令和二年度においても一三・二%であり、国家公務員の取得率二九・〇%と比べ低水準で、その差が拡大しております。国家公務員の取得率が高く、伸び率も大きい要因としては、全ての男性職員が一か月以上を目途に育児休業を取得する目標を明確化をし、管理職員が対象職員の意向に基づき取得計画を作成するなどの取組を進めていることが挙げられます。

 男性、女性を問わず、職員の希望に基づき育児休業を取得できる環境を整備することが必要であり、各自治体においても、取得方針や目標を組織として定め、その組織目標の達成につながる取組として、管理職員には部下職員に対して積極的に働きかけてほしいと考えております。このため、総務省としては、国家公務員における取組を含め、引き続き各自治体に対して必要な情報提供や助言を行ってまいります。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 大臣、私がお聞きしたのは、管理職が声を掛けるという、声を掛けるということをためらうような人手不足の実態が地方公務の職場にあるんじゃないかということなんです。

 先ほど紹介した滋賀県が実施した職員のアンケートではこういうものもありました。育児休業を取得しやすくするための効果的な取組、何が必要ですかと聞いているんです。一番多いのは、育児休業中の代替職員の確保、仕事を引き継ぐ相手の明示、仕事の引き継ぐ相手を明示してくれ、これが七五・五%でトップです。

 公務員部長にお聞きします。地方公務員の育児休業の取得率を伸ばしていくには、育児休業中の代替職員の確保、明示、これ課題だという認識はありますか。

 

【山越伸子 総務省自治行政局公務員部長】

 お答えいたします。職員の育児休業の請求に対しましては、性別を問わず、任命権者は業務分担の見直しや配置換えなどの人事上の措置を検討し、必要があれば外部から代替職員の確保を行うことで育児休業を取得する職員の業務を処理できる、その公務の適正な運営を図るということが求められると認識をしています。

 先ほど委員からも御紹介ありましたが、男性職員が育児休業の取得をためらう要因として、収入への懸念とか業務が繁忙であるといったようなこともありますが、業務の引継ぎに対する不安、あるいはそれによって職場に迷惑を掛けるのではないかということを挙げる意見も多いということを承知をしております。

 このため、対象職員に安心して育児休業をしていただく観点から、組織として育児休業を取得する場合にどのようなバックアップがなされるかについてその方針を明らかにしていくこと、これが重要だというふうに思っております。国家公務員においては、取得に伴います業務遂行計画書を作成することとしておりまして、これにより、取得期間中、その業務への対応方針が明らかにされており、地方公共団体でも取得率が高い団体では同様の取組が進められているというふうに承知をしております。また、育児休業期間中の業務の引継ぎ方法やバックアップ対応等について職員に周知する取組を行っている地方公共団体もございまして、総務省ではそうした先進事例の周知も行ってまいりました。

 引き続き、制度の周知や必要な助言、情報提供を行い、業務面で男性職員が育児休業を取得しやすい環境が整備されるようしっかりと支援してまいります。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 先ほど紹介した滋賀県ですが、策定が義務付けられている特定事業主行動計画を定めています。そこには、これ滋賀県の目標ですが、職員一人当たりの月平均時間外勤務時間数の数値目標として、平成二十九年度十六・六時間、十六・六時間を令和四年度には十四・〇時間未満にしようという目標なんです。また、年次有給休暇の一人当たりの年間取得日数の数値目標としては、平成二十九年度十二・〇日を令和四年度十四・〇日という目標を定めているんですね。

 では、この数値目標を達成するにはどれぐらいの人員増が必要かということを自治労連が試算をしています。それによりますと、時間外勤務を減らす目標を達成するには四・二三人、年次有給休暇取得で二十五・二二人、合わせて二十九・四五人の人員増がなければ、県が立てた目標を達成できないという試算なんです。ただでさえ人が少なく、時間外勤務をせざるを得ず、年次休暇も目標どおりに取れないのが今の地方の自治体職場の実態だと思います。育児取得の実効性を上げるには、この実態を解消し、その上で代替職員を確保する必要があると私は思うんです。

 大臣、もう一度聞きますが、育児休業中の代替職員の確保においては、余裕のある人員配置が地方の自治体の職場では求められているんじゃないでしょうか、余裕のある人員配置。したがって、地方自治体職員の人員増、これは欠かせない課題になっているんではないでしょうか。どうですか。

 

【金子恭之 総務大臣】

 済みません、再度の御指摘をいただきまして申し訳ありません。先ほど申し上げましたとおり、育児を行う職員の仕事と家庭の両立は官民共通の重要な課題であり、地方公務員においても、男性、女性を問わず、職員が育児休業を取得しやすい職場環境を整備することが重要と認識しております。

 自治体の現場においては、職員が育児休業を取得するに際して代替の任期付職員を採用する、あるいは、育児休業を取得する職員が毎年度一定の数見込まれる場合には、その分常勤職員を確保しておくなどの対応を行っている自治体もあると承知をしております。これらの取組例は、育児休業などの取得促進と業務に支障の生じない体制の確保の両立を図るものでございますが、総務省としては、このような自治体の取組事例を周知をし横展開することで、自治体の更なる取組を後押ししてまいりたいと思います。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 是非常勤の職員を増やすことも含めて、是非地方自治体職員の余裕ある人員配置に踏み出すことを求めたいと思います。

 今日は、この後、ウクライナから我が国へ避難してこられた方々への支援について聞きたいと思います。

 ウクライナから避難されてきた方々の住居の確保を始め生活全般にわたる支援を実施していくために、国が、総務省がですね、地方自治体とも連携して取り組んでいくことが不可欠だと思います。政府は先日、予備費から五・二億円を財源として、ウクライナ難民、あっ、ウクライナ避難民受入れ支援事業を実施することを決めました。それによりますと、避難されてきた方々については、出入国在留管理庁が検疫のため三日間留め置いた後、国が借り上げたホテルに一時滞在をしてもらって、様々な希望などを聞き取った上で、地方自治体とマッチングを行って退所してもらうことになっているそうです。

 出入国在留管理庁に聞きます。これまでにウクライナから日本に来られた方々は何人ですか。

 

【福原道雄 出入国在留管理庁審議官】

 お答え申し上げます。避難を目的として本邦に入国した方は、総理がウクライナ避難民の受入れを表明された三月二日以降四月十九日までの速報値で合計六百六十四人となっております。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 六百六十人を超える方が来られている。国が借り上げたホテルに今一時滞在している方はそのうち何人ですか。

 

【福原道雄 出入国在留管理庁審議官】

 お尋ねの一時滞在施設には、令和四年四月二十日二十四時現在で二十四名の避難民の方々が滞在されております。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 六百六十人の方が来られていて、一時滞在に二十人ちょっとしかいないということは、つまり先ほどのウクライナ避難民受入れ支援事業とは違う支援のスキームの方もいらっしゃるということなんですか。どうですか。

 

【福原道雄 出入国在留管理庁審議官】

 御指摘の事業の中には、今お話し申し上げました一時滞在施設、これは、身寄りのない方、日本で受入れのない方、そういう方々がかなりの部分でおられます。そうでない方々は既に日本に滞在されているわけですけれども、こういった方々に対しても事業としては対象となります。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 支援のスキームの違いがあることが分かりました。具体的な支援内容について聞きたいと思います。身寄りがない方々の場合、政府が確保した一時滞在施設、ホテルの滞在中は、住居は国が提供し、まあホテルを提供して、医療費、日本語教育費、就労支援は国が実費を負担すると、メニューになっています。一時滞在施設、ホテル退所後は、住居は受入れ自治体や民間が提供し、医療費、日本語教育費、就労支援は必要に応じて国が実費を負担するとなっています。

 そこで聞きます。一時滞在施設退所後の医療費についてです。必要に応じて国が実費を負担するというのは、具体的にはどういうことなんでしょうか。例えば、在留資格が三か月以内の短期滞在の方の場合は、国保未加入ですから、医療費はこれ個人が全額負担することになりますが、この医療費は国が全額負担することになるのか。また、この度在留資格の変更が認められた特定活動一号、あっ、一年の方の場合は、まあ国保加入になりますけれども、しかし就労がすぐ決まらない場合もあります。そういう方の場合、国保税や医療費の本人負担分は国が負担するということになるんでしょうか。お答えください。

 

【福原道雄 出入国在留管理庁審議官】

 お答え申し上げます。我が国に身寄りのないウクライナ避難民の方々が一時滞在施設を退所するときには、受入先の自治体、企業等との間でマッチングを経ておりますので、これらの受入先において避難民の生活の支援がされるものと考えております。

 もっとも、一時滞在施設退所後、避難民の方々が本邦に滞在していく上で医療費や保険料などの支援が必要な事態が生じた場合には、国として、個別の事情に応じて適切に対応してまいります。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 ちょっと明確な話じゃないですね。具体的に聞きたいんです。短期滞在の方の医療費は国が負担するんですかということと、特定活動一年の方の場合の保険税、本人負担分、負担するんですか。聞いているんです、具体的に。

 

【福原道雄 出入国在留管理庁審議官】

 お尋ねの、支払が困難と認められる場合と、こういう場合をしんしゃくしながら個々の事情事情に応じて適切に対応してまいります。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 身元保証人、引受先があって入国された方々、先ほど、ホテルに滞在はしないで引受先に行っていらっしゃる方も、何らかの事情が生じて、身元保証人側に何らかの事情が生じるという場合もあると思います。で、引受けが不可能になった場合もあると思います。こういう方々は、その時点でウクライナ避難民受入れ支援事業が適用されることになりますか。

 

【福原道雄 出入国在留管理庁審議官】

 身寄りのない方々に対して受入れ後の各場面に応じた支援策を実施するとともに、日本に身寄りのある避難者の方々に対しても、様々提供されている支援の内容を含め、その方が置かれている状況を個別に判断した上で、国として必要な支援を行ってまいります。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 是非、身寄りのある方もない方も医療というのは欠かせませんから、必要に応じて国が負担するということについて、余り条件など付けないでしっかり国が責任持ってもらいたいということを強く求めておきたいと思います。

 地方自治体の動きも始まっています。例えば、私の地元埼玉県では、政府が受入れを表明した後に、外国人総合相談センター埼玉にウクライナからの避難者向けの相談窓口を開設して、ウクライナ語通訳三人を含む通訳ボランティア四十四人を確保して対応しています。さらに、政府の支援事業の実施に呼応して、ウクライナ避難民支援対策連絡会議を設置をして対応を始めています。このように、地方自治体は政府の対応の進展をよく見ながら、ウクライナの方々の受入れとして何が必要かを検討していると思います。

 そこでお聞きします。ウクライナ避難民受入れ支援事業への地方自治体からの申出団体数は、都道府県で幾つ、市町村で幾つとなっていますか。また、申出の内容はどのようなものがありますか。

 

【福原道雄 出入国在留管理庁審議官】

 お答えいたします。地方公共団体、企業等からは、四月十九日までに計千二百二十件の支援の申出をいただいております。その内訳ですが、民間企業五百五十八件、地方公共団体二百三十七件、NPO、NGO三十件となっております。また、申出のあった支援の例ですけれども、申出のあった支援の例としては、住居や就労機会の提供、就労支援、日本語教育機会の提供が挙げられます。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 はい、分かりました。多文化共生社会を目的として、自治体がワンストップ型相談窓口を設置した場合の交付金として、外国人受入環境整備交付金があります。ウクライナの方々向けの窓口設置にも、これ適用となるんでしょうか。また、期限等はありますか。

 

【福原道雄 出入国在留管理庁審議官】

  お答えいたします。我が国において在留外国人に安心、安全に生活していただくために、各地域において、在留外国人が理解できる言語で行政手続や日常生活上の情報がワンストップで受け取れるようにすることが重要と認識しております。そのため、入管庁としては、外国人住民から日々直接に接する機会の多い地方公共団体において、外国人が行政や生活の情報について多言語で相談できる一元的相談窓口、この設置、運営を行う場合に外国人受入環境整備交付金による支援を行っているところです。

 この交付金につきましては、地方公共団体が一元的相談窓口においてウクライナ避難民の方々からの相談に対応する場合にも適用されるものです。

 

【伊藤岳 参議院議員】

ウクライナから来られた方々がまず必要なのは言葉だという声が地方から聞こえてきます。そこで、ウクライナの方々を受け入れた自治体に国が携帯型通訳機などを提供することはできますか。

 

【福原道雄 出入国在留管理庁審議官】

 お答えします。出入国在留管理庁が所管している外国人受入環境整備交付金につきましては、通訳の配置だけではなく、翻訳機、それから翻訳アプリの導入を通じて外国人の相談に対応する場合の経費についても交付対象としています。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 金子大臣にお聞きします。出入国在留管理庁は、地方自治体からの支援の申出の内容を受けている、先ほどお話しになりました。総務省としても、支援を考えている地方自治体の声を把握することが必要ではないですか。総務省としての取組はどうなっていますか。

 

【金子恭之 総務大臣】

 ウクライナから避難された方々については、私も構成員となっておりますウクライナ避難民対策連絡調整会議において、円滑な受入れに向けて政府一丸となって取り組む方針が確認されております。

 総務省としては、出入国在留管理庁と連携をし、政府の取組を周知するほか、個別の自治体から寄せられている問合せや相談を丁寧に聞き取るとともに、自治体に対しきめ細やかに情報提供を行っているところでございます。今後とも、関係省庁としっかり連携を図りながら的確に対応してまいります。

 

【伊藤岳 参議院議員】

時間ですので終わりますが、是非総務省としての独自の取組を努めていただきたい。ありがとうございました。