議事録

2022年4月13日 地デジ特(応急仮設建築物の延長・医療現場におけるマイナンバーカード)

議事録

【伊藤岳 参議院議員】

 日本共産党の伊藤岳です。法案には賛成をしたいと思います。

 その上で、建築基準法改正に関わって幾つか質問をしたいと思います。建築基準法の改正は、応急仮設建築物の存続期間の延長について、特定行政庁が、安全、防火、衛生上支障なく、かつ公益上やむを得ないと認める場合、存続期間を一年ごとに延長可能とするものです。

 野田大臣にお聞きします。応急仮設建築物の存続期間の延長について、提案団体からの第一次提案ではどのような提案があったのでしょうか、お示しください。

 

【野田聖子 内閣特命地方創生特命大臣】

 御指摘の提案は、令和三年の提案募集において八王子市などから出されたものであります。提案の背景としては、新型コロナウイルス感染症の収束時期が見通せない中、外来診療待合室やPCR検査棟などの応急仮設建築物について、現行で最長二年三か月とされている存続期間の延長を図ることで、地域の実情に応じた医療体制等の確保を可能としたいというものでありました。

 求める措置としては、新型コロナウイルス感染症への対応のために設置される臨時の医療施設などについては、安全性等の観点から支障がないと認められる場合は現行の存続期間を超えて柔軟に許可できるよう、制度の見直しを求める内容であったと承知しています。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 国交省にお聞きします。提案団体からの第一次提案であった存続期間延長の対象となる応急仮設建築物は、どのような用途で使われているものがありますか。

 

【塩見英之 国土交通省大臣官房審議官】

 お答え申し上げます。今回の法改正による制度の改正の対象となる建築物につきましては、災害時に建築された建築物で、建築から三か月たった時点で更に存続させる必要があると建築主が判断したものについて、特定行政庁の許可を受けて設置されているものを期間を更に延長できるようにするのが今回の措置でございます。

 建築から三か月たった時点で更に二年間の存続を認められた建築物の詳細については、それぞれの地方公共団体が判断されておりますので詳細は把握してございませんけれども、例えば、応急仮設住宅でありますとか仮設の病院、あるいはコロナ対応の検査施設などがあるというふうに承知してございます。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 私、お聞きしたのは、第一次提案の中にあった応急仮設建築物というのはどのような用途があったのかとお聞きしたんですが、全部ひっくるめてお答えになりましたけれども、つまり、第一次提案の中では隔離診療施設ですとかPCR検査棟だとか仮設診療所だとか、そういうような用途で使われていたものが、提案、延長提案があったということだと思います。

 国交省、応急仮設建築物が安全、防火、衛生上支障なく、かつ公益上やむを得ないかについて、特定行政庁はどのように担保するんでしょうか。

 

【塩見英之 国土交通省大臣官房審議官】

 お答えを申し上げます。特定行政庁が許可をした場合に期間の延長ができるということでございますけれども、この許可に当たりましては、申請者の方から必要な書類の提出などを求めまして、これに基づいて応急仮設建築物の安全性あるいは公益性などの確認を行います。そして、これらの点で支障が生じないということが確認できた場合に限って延長の許可をするということで、安全性や公益性などを担保する形になってございます。

 さらに、特定行政庁が延長を許可するに際しましては、その用途上、用途が公益性、公益的なものであるかどうかということの審査をすることになりますが、一部病院や学校などを除きまして、学識経験者で構成されます建築審査会の同意を要するという形にしてございますので、こうした第三者的なチェックを通じて、より慎重に判断をされるということになります。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 コロナ禍の収束時期が見通せない中、二年三か月を超えて利用する必要性が全国の応急仮設建築物で生じていることから、これ当然の対応だと思います。

 応急仮設建築物は、建築基準法第八十五条三項、第八十七条四項に規定されています。新型コロナ感染症対応のものだけでなく、災害時対応の例えば応急仮設住宅や仮設商店街などのものもあります。

 国交省、改めて確認なんですが、災害救助用の応急仮設建築物、仮設住宅や仮設の商店街なども含めて、同様に全て存続期間の延長の対象になるということでよろしいですか。

 

【塩見英之 国土交通省大臣官房審議官】

 お答え申し上げます。今回の改正案によりまして存続期間の延長が可能となる応急仮設建築物でございますけれども、これは、非常災害が発生した場合に建築される災害救助のための建築物でありますとか、あるいは災害時に建築されます公益的な用途の建築物、こういったものが広く対象になるわけでございまして、例えば、先ほど申し上げた仮設住宅や仮設の校舎とか、あるいは仮設の病院などが対象になってくるということでございます。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 大臣にお聞きします。災害救助用の応急仮設建築物も存続期間の対象となることについて、どのような検討の経過があったのか、お示しください。

 

【野田聖子 内閣特命地方創生特命大臣】

 八王子市などからの提案を受けて検討、調整を進める中で、関係府省からは、新型コロナウイルス感染症だけでなくて、その他の事情における仮設建築物に係る課題等を踏まえ対応を検討する旨の第一次回答がなされたところです。この回答を受けて提案団体からは、新型コロナウイルス感染症以外の災害全般に係る応急仮設建築物の許可期限に関しても、復旧復興が長期にわたる事案が多いことから、検討を進めていただきたいとの意向が示されたものと承知しています。

 昨年十二月に閣議決定した令和三年の地方からの提案等に関する対応方針においては、本件について令和三年度中に結論を得るとされていたところですが、国土交通省を中心に検討を進めた結果、応急仮設建築物について、特定行政庁が、安全上、防火上、衛生上支障がなく、かつ公益上やむを得ないと認める場合に存続期間を更に延長することを可能とする仕組みを導入するとの結論が得られたことから、この度の第十二次地方分権一括法案において建築基準法の改正事項を盛り込んだところです。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 災害救助用の応急仮設建築物の存続期間の延長、災害からの円滑な復旧復興等に資することになり大変重要な措置だと思います。応急仮設建築物の設置や運用費について生じる地方負担分に対する財政支援措置についてですが、今回の法改正を受けての存続期間の一年ごとの延長に際しても同様に措置されるのでしょうか。

 厚労省に伺います。新型コロナ感染対応の応急仮設建築物に対しては包括支援交付金で補助率十分の十の財政支援措置がなされていましたが、同様ですか。イエスかノーで結構です。

 

【宮崎敦文 厚生労働省大臣官房審議官】

 存続期間が延長された場合には、この緊急包括支援交付金の補助要綱に該当すれば当然対象になるという理解をしております。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 同様のこと、内閣府にもお聞きします。災害用の応急仮設建築物に対しては地方交付税で最大措置率十分の九の財政支援措置がなされていましたが、これも同様でしょうか。

 

【五味裕一 内閣府大臣官房審議官】

 改正後におきましても、都道府県知事等と国との協議、同意を通じまして、被災地の被災や復旧復興の状況、被災者の住まいの確保等の状況を踏まえまして、必要な国庫負担がなされるものと考えております。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 存続期間の延長に際して財政支援措置も同様に付いてくると。これ、周知徹底を図っていただきたいと思います。

 次に、マイナンバーカードに関わって幾つかお聞きしたい。政府は、保険証機能を併せ持つマイナンバーカードの活用と、それに対応する医療機関などでのオンライン資格確認システムの導入を進めてきました。

 厚労省に聞きます。保険証機能を併せ持つマイナンバーカードを活用したオンライン資格確認システムについて、二〇二一年三月までに六割程度、二〇二三年三月までにはほぼ全ての医療機関、薬局において導入を目指すとしてきましたが、現在の進捗状況を教えてください。

 

【榎本健太郎 厚生労働省大臣官房審議官】

 お答え申し上げます。オンライン資格確認につきましては、今御紹介いただきましたように、成長戦略フォローアップにおきまして令和五年の三月末までにおおむね全ての医療機関等における導入を目指すというふうにしているところでございます。

 現在の進捗状況でございますが、実施に必要となります顔認証付きのカードリーダーの申込みをしていただいている医療機関等は全体の約五七%程度、それから、実際に運用開始いたしました施設は全体の約一六%程度となっているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、医療機関等への導入支援と、それから国民の皆様への普及啓発の双方を車の両輪として進めて、医療機関等において導入が進みますように関係者が一体となって対応していく環境づくりを行って、オンライン資格確認の普及に国として全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 実際、運用開始したのが一五・五%というお答えでした。補助金を倍に増やすなどの期間も設けて促進を図ってきましたが、政府の思うようには進んでいません。

 そこで聞きます。二〇二三年三月までにほぼ全ての医療機関、薬局において導入との目標、これ再検討はしないんでしょうか。

 

【榎本健太郎 厚生労働省大臣官房審議官】

 私どもとしては、これ先ほどお答え申し上げましたように、成長戦略フォローアップにおきまして令和五年三月末までにおおむね全ての医療機関等における導入を目指すという目標を掲げておりますので、それに従ってまず取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 私、開業医の団体、埼玉県保険医協会から話を伺いました。医療機関からは、この新システムの導入について、コロナ禍の中で新たなシステムを導入することは負担感が大きい、新たなシステム導入に頭を回している余裕はないとの不満が噴き出ているそうです。システム導入の目標が過大に設定されれば、医療機関を更に追い込んでいくことになるのではないかと危惧の念を抱きます。

 医療機関からの特に強い声は、厚労省がシステム導入の主な理由として、資格喪失の確認漏れによる診療報酬の返戻、まあこれは再審査請求のことですが、この診療報酬の返戻、再審査請求の業務を行わなくても済むようになることが一番のメリットだと言ってきたが、返戻件数というのはごく僅かであってシステムを導入するメリットは感じないというものです。この声、どう受け止めますか。

 

【榎本健太郎 厚生労働省大臣官房審議官】

 今御指摘いただきましたけれども、医療機関にとりましても、新しくこのシステムを導入することによって、例えば、新規の患者さんの氏名や被保険者番号を入力する手間が発生せずに済むといったようなこと、また就職とか離職といったことでその患者さんの所属する保険者の異動があった場合に、その現在の被保険者資格のみではなくて、新たなその資格情報を得ることができるといったメリットもあるというふうに考えてございます。

 また、患者さんにとってみても、このオンライン資格確認で御本人が同意をいただいて……(発言する者あり)返戻の、ただ、返戻について言えば、確かに先生おっしゃるとおり、その全体、それほど多くの割合があるという話では必ずしもないわけでございますけれども、全体としてこのシステムを行うということによって、医療機関にとってもメリットありますし、患者さんにとってもメリットがあるということで、これを私どもとしては推進していきたいと考えてございます。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 厚労省は、その返戻が、返戻の手間がなくなるというのを一番の理由にしてきたんですね。聞いて、私びっくりしました。全国保険医団体連合会の調べでは、返戻件数というのは全レセプト件数の僅か〇・二七%、もう本当に僅かなんです。

 もう一問聞きます。本人の資格確認については、レセプトのオンライン請求で資格確認はできます、オンライン資格確認システムを強要しないでほしいという声があります。本人の資格確認はレセプトのオンライン請求などの仕組みで対応できるんではないですか。

 

【榎本健太郎 厚生労働省大臣官房審議官】

 確かに、今保険医団体の方から御指摘いただいたように、この資格を確認する機能、先ほど来御紹介申し上げております機能につきましては、患者さんが保険証を持っておいでになれば、そこに記載されております氏名、生年月日そして被保険者番号を入力することでその方の資格情報を、入力すると得ることができるという形になってございますが、一方で、マイナンバーカードを使っていただきますと、その更にメリットがあるということもございますので、そういった意味で、私どもとしては、医療機関さんにもこれは大いにメリットがある話だというふうに御紹介申し上げております。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 導入目標ありきで新システム、オンライン資格確認システムをごり押しすることはあってはならないというふうに思います。保険証機能を併せ持つマイナンバーカードを活用したオンライン資格確認システムを既に導入した医療機関からも次々声が上がっています。病院で入力してきたデータとマイナンバーカードの情報とが完全に一致しないとはじかれてしまう、例えば、半角入力か全角入力か、改行しているか改行していないかなどではじかれてしまう、これらの対応で業務が更に増えている、厚労省が扱うほかのシステムも同様のトラブルが多いという苦情なんです。

 厚労省にも届いているのではないですか。どのように対応していますか。

 

【榎本健太郎 厚生労働省大臣官房審議官】

 おっしゃるとおり、オンライン資格確認システムの円滑な運用に向けては、システムを実際に導入していただいている医療機関等の運用状況をしっかりと把握をしていくということも重要な課題だというふうに思ってございます。

 私ども厚生労働省におきましても、社会保険診療支払基金にその医療機関やシステムベンダー向けのコールセンターを設置したり、あるいは実際に運用を開始している医療機関等に現地ヒアリングを行ったり、あるいはポータルサイトを設置しておりますけれども、そこでアンケート調査を実施したり、あるいはシステムベンダー向けにもサイトを設置したりするといったようなことで、いろいろなルートで現場の声を把握するように努めてございます。

 今御指摘いただきました事案に関しましては、例えば、既にレセコンに入力されておりますデータとそのオンライン資格確認から取得したデータとで、半角とかあるいは旧字の扱いが異なるといったようなことでデータの取り込みができなくなるケースがあるということも承知してございます。

 私どもとしては、こういったデータに差異があった場合には、その部分を赤字にするなどして視覚的に容易に確認できるようにして、医療機関等においても適宜修正できるようなシステムにしていくということを各ベンダーに求めておりまして、引き続きシステムベンダーに対して働きかけますとともに、医療機関等に対してもそのような可能性があるということを引き続きしっかり周知してまいりたいと考えてございます。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 厚労省にも苦情の声は届いているということですね。こういう声もあります。お年寄りは新しいシステムを使いこなせません、そのために職員一人を専属で配置して対応せざるを得ない状況だ、窓口はかえって混乱している。また、マイナンバーカードを病院まで持ち歩くことによって紛失トラブルが発生している、例えば、私のカードは職員にさっき預けたはずだ、カードの行方が分からなくなっているのは病院の責任だという、患者さん側と医療機関との間でのトラブルです。

 厚労省、こうした現場の実態、把握していますか。

 

【榎本健太郎 厚生労働省大臣官房審議官】

 先ほども御指摘いただきましたように、オンライン資格確認を医療機関あるいは薬局の現場で円滑に運用していただくということは重要だと考えてございます。

 私どもとしても、先ほど来申し上げておりますように、いろんな参考資料も配付をしたり、あるいはコールセンターや、あるいはお問合せフォームでの照会窓口を設置したり、あるいはポータルサイトにFAQをよくある御質問ということで掲載をしたりすることで、様々な問合せに対応させていただいております。

 今御指摘いただきましたような現場の事例につきましては、そういった窓口のみならず、医療機関、薬局のヒアリングなどでも、やはり現場の方々の懸念事項ということでお伺いをしてございます。

 私どもとしては、こうした現場からいただきます声も踏まえて、医療現場でその患者さんの方からいただく御質問に答えられるようにするための各種参考資料を配付をしたり、あるいは現場でトラブルに対応する際に留意すべき事項のQA、あるいはトラブルシューティングマニュアルを配付するなどして、医療機関、薬局の窓口で実際に応対ができますような実践的な事案の内容に応じた対応策を提供させていただいております。

 引き続き、現場の実態についてよく把握をして、必要に応じて改善に努めてまいりたいと考えてございます。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 医療機関の側からは、マイナンバー総合フリーダイヤル、国が設けた、これは結局トラブルは二者で解決をというスキームで、結局は当事者任せ、トラブル対応でも時間を取られてしまうという声が上がっています。新たな対応が求められていると思います。

 最後に、こうした医療機関、現場の声、現状をこの時点で改めて調査、把握する必要があるんではないですか。それだけ簡潔にお答えください。

 

【榎本健太郎 厚生労働省大臣官房審議官】

 私どもとしても、先ほど来御紹介を申し上げておりますように、いろいろなルートで現場の実態、また運用に当たっての課題といったものを把握させていただくように努めさせていただいております。

 そういったものを通じまして、引き続きしっかりと現場の声を把握できるように努めてまいりたいと考えてございます。

 

【伊藤岳 参議院議員】

 時間なので終わりますが、この新システムの導入がコロナ禍で業務が膨大となっている医療機関に新たな負担をかぶせることになっている、このことを強く指摘して、質問を終わります。