国政報告

今はないのに表示 マイナ読み取りアプリに不具合  伊藤岳議員が追及

 政府が提供する簡易な読み取りアプリの設計ミスにより、鍼灸(しんきゅう)接骨院などの医療機関で「マイナ保険証」による資格確認を行うと、生活保護(医療扶助)の資格を喪失した患者が「医療扶助の対象者です」などとパソコンやタブレットに表示される不具合が発生していたことが、日本共産党の伊藤岳参院議員の質問で明らかになりました。6日に修正したアプリにも不具合が発生し、10日現在、全国の接骨院などでアプリにログインできない状況が続いています。

 政府は従来の保険証の新規発行停止を見据え、通常のカードリーダーとは別に、オンライン資格確認の義務化対象外の医療機関も市販のパソコンなどで利用できる、「資格確認限定型」と呼ばれる簡易なアプリを開発。昨年4月から生活保護の医療扶助の受給者にも同アプリで「マイナ保険証」を読み取り、資格確認する運用を開始しました。

 通常のカードリーダーでは、受診時に医療扶助の受診資格など最新の資格情報が表示され、すでに資格を喪失した医療扶助の受給資格は表示されません。ところが、「資格確認限定型」のアプリでは過去に医療扶助の対象だった患者が今も対象者であるかのように表示される仕様となっていました。今年2月時点で医療全体の資格確認件数のうち0・16%がこれに該当し、ひと月当たり35万件に相当。従来の保険証を使えば同じ不具合は発生しません。

 かつて医療扶助を受給していた患者が同アプリを使う接骨院を受診したところ不具合が発覚。伊藤岳事務所に相談しました。

 伊藤氏は3月25日の参院地方創生デジタル特別委員会でこの問題を追及。厚生労働省の吉田修大臣官房審議官は事態を認め、4月中にアプリの修正を行う方針を示しました。さらに9日の同委で吉田氏は、アプリ運用開始にあわせて医療扶助の受給者も同時期に円滑に資格確認できるようにすることが重要と考え、「医療保険加入者向けの仕様を前提としてアプリの開発を行った」と答弁。伊藤氏は「つまり個人情報が漏えいすることを知りながら放置し、マイナ保険証一本化のために新しいシステムの運用を見切り発車したということだ」と指摘しました。

 政府が「マイナ保険証」一本化を急ぎ、機微な個人情報が漏えいする危険を知りながら補助金まで支出して読み取りアプリを医療機関に押し売りし、普及しようとしたことは重大です。

【2025年4月11日(金)付 しんぶん赤旗・写真=しんぶん赤旗】

(写真)質問する伊藤岳議員=9日、参院地デジ特委