議事録

2022年3月15日 地方創生・デジタル社会特別委員会(自治体DX)

議事録

【伊藤岳 参議院議員】
 日本共産党の伊藤岳です。
 今日は、自治体DXについてお聞きをしたいと思います。
 まず、総務省にお聞きします。
 一般社団法人地方自治研究機構が昨年三月、自治体DXのマネジメント手法報告書というものを公表しています。この地方自治研究機構とはどういう組織ですか。また、自治体DXのマネジメント手法報告書の概要について説明をしてください。

【馬場竹次郎 総務省大臣官房地域力創造審議官】
 お答え申し上げます。
 地方自治研究機構は、少子高齢化、国際化、経済構造の変化等に伴い、地方公共団体が対応を迫られる福祉、健康、地域づくり等の諸課題に関する調査研究並びに地方公共団体の法制執務支援等を行い、もって地方自治の充実発展に寄与するとともに活力ある地域社会の実現に資することを目的として設立をされました一般財団法人であるものと承知をいたしております。
 また、委員御指摘の報告書でございますが、地方自治研究機構における調査研究の一環として取りまとめられたものであり、自治体がDXを推進するに当たりまして、現場の担当者の手引書として活用していただくことを目的として策定されたものと承知をいたしております。
【伊藤岳 参議院議員】
 自治体の担当者の手引書としてという答弁がありましたが、二月十四日、参議院の行政監視委員会に参考人として出席した稲継裕昭早稲田大学政治経済学術院教授も紹介をしていました、この報告書。そして、この報告書は総務省の手順書の数か月前に公表されたものです。
 この自治体DXマネジメント手法報告書の中では、冒頭で、本報告書では、技術そのものには深くは触れず、技術導入により効果を上げるためのマネジメントやドライブの方法、組織や地域の課題解決のヒントなどを取りまとめ、現場の担当者及び管理者のいずれにも役立つ実践書として活用していただくことを目的にしていると述べています。つまり、実践書としての活用を目的としているものです。当然、地方自治体の注目を集めるものとなっているはずです。
 重要なことは、この自治体DXマネジメント手法報告書が、自治体DXについて、自治体DXとは、業務、サービス、仕事の仕方、自治体組織の在り方までを変革するための手段であり、そうでないと本当の意味で役に立たないとして、自治体DXの本質は自治体の変革だと詳しく解説していることです。
 同報告書については、通告でも伝えているので、内容も御存じであるということで質問したいと思います。
 牧島デジタル大臣にお聞きします。
 経産省のDX推進ガイドラインでは、DXについて次のように定義をしています。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」。
 自治体DXについてもこの定義は生かされていくという認識でしょうか。

【牧島かれん デジタル大臣】
 国や地方自治体における行政サービスのデジタル化を進めるに当たって、デジタル化が自己目的とならないように、本来の行政サービス等の利用者の利便性向上及び行政運営の効率化等に立ち返って業務改革に取り組む必要があるというふうに認識をしております。
 この点、経産省のDX推進ガイドラインにおいて、企業におけるDXは、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革することとされており、これは国や地方自治体における行政サービスのデジタル化に生かされているものというふうに認識しています。

【伊藤岳 参議院議員】
 大臣、否定をされませんでした。
 総務省にもお聞きをしたいと思います。
 地方自治研究機構の自治体DXマネジメント手法報告書は、九ページから十一ページにかけまして自治体DXの意義について記しています。自治体DX推進計画の取組を通じて、システムの導入にとどまらず、自治体の業務、サービス、組織、職員の育成、働き方など、広く全般にわたる改革を行っていくことが重要であるとしていますが、総務省、同様の認識ですか。
【馬場竹次郎 総務省大臣官房地域力創造審議官】
 お答えを申し上げます。
 御指摘の調査研究報告書において示されております自治体DXの意義でありますとか、その趣旨の捉え方についてお答えする立場にはございませんが、総務省では、自治体DXの意義といたしまして、住民の利便性の向上や業務の効率化につなげていくことが必要であると考えております。
 具体的に申し上げますと、情報システムの標準化、共通化や行政手続のオンライン化を取り組むに当たりましては、単に新たなシステムの導入にとどまらず、業務内容や業務プロセス等を抜本的に見直すことで効果が大きく発揮をされるとともに、その結果、システム調達等に従事をされていた職員を住民への直接的なサービス提供などの業務に振り向けることができるものと考えておりまして、その旨、自治体DX推進手順書におきましても記載をさせていただいているところでございます。

【伊藤岳 参議院議員】
 つまり、地方自治研究機構の自治体DXのマネジメント手法報告書とそう立場は変わらないということを今言われたんだと思います。
 二〇一八年七月、総務省の研究会がまとめた自治体戦略二〇四〇構想研究会第二次報告では、半分の職員数でも担うべき機能が発揮されるスマート自治体への転換が打ち出されました。この自治体DXのマネジメント手法報告書では、スマート自治体も自治体DXの目指す目標に包摂されるとされています。地方自治研究機構の報告書の観点からすると、自治体DXの推進はスマート自治体の実現と一体ということだということです。
 続いて紹介したい。
 地方自治研究機構の自治体DXのマネジメント手法報告書には、業務の見直しは全ての業務をゼロベースで見直すことが必要だとして、特に、自治体の独自事業については、時間の経過によってその必要性に変化がないかなど、しっかりと見直すべきだと明記をされています。
 総務省並びにデジタル大臣にお聞きしたいんですが、地方自治体の単独事業が業務見直しに特記されています。これは政府も同様の立場でしょうか。まず、総務省、いかがですか。

【馬場竹次郎 総務省大臣官房地域力創造審議官】お答えを申し上げます。
 御指摘の調査研究報告書に示されております業務の見直しに係る内容の意図につきましてお答えする立場にはございませんが、総務省が令和三年七月に作成をいたしました自治体DX推進手順書におきまして、情報システムの標準化、共通化や行政手続のオンライン化につきましては、単に新たなシステムの導入や更新にとどまらず、業務内容や業務プロセス、さらには組織体制を含めて抜本的に見直し、再構築をすることによって効果が大きく発揮される旨、記載をさせていただいているところでございます。
 また、加えまして、情報システムの標準化、共通化などにより、システム調達等に従事していた職員を独自の住民への直接的なサービス提供などの業務に振り向けることができ、その結果、住民の利便性を高めながら、地域の実情に応じた行政サービスの提供に自治体の資源を集中させることができるものと考えております。
 なお、御指摘の自治体の独自事業につきましても必要に応じて業務プロセス等を見直す必要があると考えておりますが、その場合におきましても、地域の実情を踏まえて、自主的、主体的に取り組んでいただく必要があるものと考えております。
【牧島かれん デジタル大臣】
 この業務改革の必要性は、地方自治体が法令に基づく事務をデジタル化する場合においても、地方自治体が独自に施策を講じる事務をデジタル化する場合においても変わらないものというふうに認識しております。
 地方自治体の独自施策について、どのような事務をどのように業務改革をし、デジタル化を進めていくのかは、その地方自治体の実情に応じて自主的、主体的に取り組まれるものと考えております。

【伊藤岳 参議院議員】
 地方自治体が取り組んでいる単独事業、いわゆる地単事業は、それぞれの地域の実情に応じた住民サービスに直結しているものです。それは、住民自治と団体自治の地方自治の本旨にのっとって住民福祉の向上を図るという、地方自治体の役割を果たすために実施してきたものであります。また、そういう実践に倣って、国が国として制度化したものも少なくありません。
 その地方単独事業が狙われる一つになるということに懸念を強くいたします。今後これ、問題を取り上げていきたい、追求していきたいと思います。
 CIO補佐官等の自治体デジタル人材について、総務省の自治体DX手順書、昨年七月に発表されましたが、その手順書の中で、地方公務員として任用する場合と私法上の業務委託を行う場合が主に想定されるとして、また、地方公務員として任用する場合は、特定任期付職員又は特別職の非常勤職員がなじむものと考えられるとしています。そして、特別職非常勤職員が地方公務員法が適用されないことから、注意すべき事項を挙げておられます。
 しかし、自治体DXが、今述べてきたように自治体の改革を目的とする場合、デジタル外部人材の活用の在り方が住民自治と団体自治という地方自治の本旨を遵守したものとなるのかが正面から問われることになるのではないかと思います。
 これも総務省並びにデジタル大臣にお聞きしますが、この外部人材の導入によりまして地方自治の本旨は当然、外部人材の導入によっても地方自治の本旨は当然遵守されるべきものだと考えますが、見解はいかがですか。まず総務省、お願いします。

【馬場竹次郎 総務省大臣官房地域力創造審議官】お答えを申し上げます。
 そもそも、外部人材の活用あるいは確保を含めました様々な人材の活用ということにつきましても、これも地方団体が地域の実情に応じまして自主的、主体的に御判断をいただいて行っていただくべきものというふうに私どもは考えております。
【牧島かれん デジタル大臣】
 地方自治体が外部人材を活用するかどうかや、どのような外部人材を活用するかについては、一義的には地方自治体が地域の実情に即して判断すべきことであり、地方自治の本旨にのっとって行われるということは当然のことであると認識しております。

【伊藤岳 参議院議員】
 是非地方自治の本旨は遵守されるということで、これからも懸念については質問をしていきたいと思います。
 自治体DXが、DX推進ガイドラインが定義するDXとも共通している自治体の業務、サービス、職員の定数、在り方など、全般にわたる見直しであることがいよいよはっきりしてまいりました。地方自治の遵守、その健全な発展が保障されるのかどうか、引き続きこの委員会でも質問してまいりたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。