議事録

2022年3月22日 本会議(地方税法、地方交付税法等の改正案に対する反対討論)

 私は、日本共産党を代表して、地方税法、地方交付税法等の改正案に対する反対討論を行います。

 はじめに、ウクライナ支援です。
わが国への避難を希望するウクライナの方々への支援には、地方自治体の協力が不可欠です。住居の確保をはじめ、生活全般にわたる支援を実施していくために、地方自治体と連携し、取り組んでいくことを求めるものです。

 建設工事受注動態統計調査の不正処理問題です。
国交省は、調査票の書換えを都道府県に指示し、2013年4月から新たに欠測値の推計を加えたうえにもこれを続け、二重計上を長期にわたり続けてきました。基幹統計の重要性を、国交省がほんとうに理解していたのか、その根本が問われています。
 しかも、国交省は、この不正処理をひたすら隠し続け、ごまかし続けてきました。
2020年10月の統計委員会評価分科会で、別の建設統計についての調査ルールの変更が議論された際に、国交省はこれに乗じて、受注統計調査の資料を紛れ込ませ、あたかも統計委員会に報告して、受注統計調査のルール変更も承認されたかのように見せかけようとしました。
再度、再々度と、執拗に資料を紛れ込ませようとする理由をたずねた、統計委員会担当室に、国交省は、「上司がどうしても残しておきたいと言っている」と答えています。
 私の質問に対し、国交省は「室長の指示のもと」で行ったと答えましたが、室長以下の現場判断でできるものではありません。合算処理と二重計上問題は、すでにその一年前には、課長、政策立案総括審議官にも報告され、共有されています。幹部の了承のもと、資料を紛れ込ませようしたのではないかという疑惑はぬぐえません。
 総務省の対応も問題です。
金子総務大臣は、私の質問に対して、国交省から総務省に送られた、会計検査院からの調査に国交省としてどう対応したらよいのか、その想定問答をしたメールについて、その実物は読んでいないと答弁しました。メールの実物、全容が明らかにならなければ、不正処理をどのようにごまかそうとしていたのか、真相究明も再発防止もできません。これでは、統計制度を所管する総務大臣としての責任は果たせないではありませんか。
公的統計の中立性と信頼性が揺らいでいます。国会での真相解明がいっそう重要です。

 地方税法、地方交付税法等の改正案についてです。
新型コロナの感染拡大は、地方行財政の問題点を浮き彫りにし、公衆衛生や地域医療体制の確立と拡充、住民を支える公的部門の構築と強化への転換がもとめられています。
しかし法案は、これに応えたものとはなっていません。
 自公政権のもとで、日本の医療・公衆衛生にもたらされたものは、医師数の抑制、病床の削減、病院の統廃合です。新型コロナ感染の第6波にむけて、岸田内閣は、「取組の全体像」で、「全国で、前回ピーク時の1.3倍の受け入れ病床を確保する」としました。しかし、第5波でコロナ対応の基幹病院として奮闘した、埼玉県立循環器・呼吸器病センターでは、政府方針に従えば121床のところ、実際には目標を74床とせざるを得ませんでした。医師、看護師などの医療スタッフが不足しているからです。
 医師数の抑制、病床の削減、病院の統廃合の流れを、きっぱりと切り替えるべきです。新たな公立病院ガイドラインの策定はやめること、再編・統合を前提にした地域医療構想は白紙に戻すことを求めます。
 政府は、保健所の感染症対応業務に従事する保健師を、コロナ禍前の1.5倍となるよう、2021年度からの2年間で約900名増員するとし、地方交付税を算定したとしています。自公政権のもと、保健所は1992年の852カ所から2020年までに469カ所と半分に減らされてきました。半減された保健所に1名、2名の増員では、今後も予想される感染症への対応に見合ったものとは、到底言えません。削減した保健所を元に戻し、保健師を大幅に増員すべきです。

 住民のくらしを支える、ケア労働者を育てることも重要な課題です。
保育・幼稚園、学童保育、介護・看護等の職員の賃金引上げ・処遇改善に多くの自治体が取り組みを始めています。問題は、2023年度以降の継続的な事業を支える財政措置です。埼玉県学童保育連絡協議会の調査では、学童保育指導員の処遇改善を図る事業の課題として、自治体からは、国の財政措置が継続的なものとなるのか、との声が寄せられています。今回一回限りではない、継続的な取り組みを支える財政措置を求めます。

 地方公務員の増員は待ったなしです。
 月298時間の時間外勤務とは、1日15時間の労働を30日間連続するということです。労働基準法第33条による臨時の超過勤務命令が常態化し、無制限となっている事態をただちに改善しなくてはなりません。
総務省の調査でも、「過労死ライン」を超える勤務のなか、医師の面接指導が必要とされたにもかかわらず、約半数が面接指導を受けておらず、そのうちの約3割、7000人以上の職員が、その理由を「業務多忙のため」と答えています。時間外勤務のなか、医師の面接指導が必要となっても、その業務が多忙で受けられない。きわめて深刻な事態です。
 金子総務大臣は、「令和3年度は、一般行政部門の職員が6872名増えた」と答弁しました。全国の自治体が職員を増やしたのは、感染拡大への対応、子育て支援、生活保護関連業務などで、人員が決定的に足りないからです。
自公政権が推進した「集中改革プラン」で削減された、全国の一般行政部門の職員数は11万1,909名です。その後の定数抑制基調を通じてさらに削減が進み、令和3年度の増員を含めても、全国の一般行政部門の職員数は、11万4,339名減となっているのです。
地方自治体が「住民福祉の向上」という、その役割を果たすために、職員の増員が必要です。そのための財政措置を求めます。

 地方税では、貧困と格差を是正するために、生計費非課税の徹底や所得再分配機能の強化が求められます。
2021年度は、感染拡大による国民の負担感に配慮して、土地にかかる固定資産税を前年度と同額に据え置く措置を行いました。しかし、来年度はこれを取り払い、商業地や住宅用地・農地等に係る課税標準額を引き上げます。国民にとっては増税です。
 岸田内閣の「賃上げ促進税制」は、多くの労働者が働く中小企業や赤字企業は対象になっておらず、賃上げを保障するものにはなりません。大企業の内部留保を活用させ、中小企業支援の抜本的拡充と一体に最低賃金を引き上げること、そして、正規雇用を増やす労働法制への転換が、賃上げを実現していく道です。

 地方の歳出抑制路線を転換して、社会保障費の自然増をはじめ必要な財政需要を積み上げて地方財源を確保すること、そのためにも地方交付税の法定率を大幅に引き上げることを求め、反対討論とします。