[議事録]2022年2月16日 国際経済・外交調査会(参考人の意見聴取)
【伊藤岳 参議院議員】
日本共産党の伊藤岳です。
参考人の皆さん、今日は貴重な御意見ありがとうございました。
私、海なし県埼玉県選出の議員であります。埼玉の中心を流れる荒川では毎年三万本のペットボトルがボランティア団体から回収され、海を汚すもとの一つになっている県として、しっかり私も力を尽くしていきたいと思います。
本調査会では、気候変動、海洋プラスチックごみについては何度か議論のテーマになりましたし、今日陪席でお越しの角南さんにも貴重な御意見をいただいた回もございました。
気候変動に関する政府間パネル、IPCC特別報告書でも、地球温暖化と海面上昇、気候変動との関連を明確に位置付けて、そして社会のあらゆる側面において急速かつ広範な前例のないシステム移行が必要だと強調されていて、私は、この前例のないシステム移行というのを非常に興味深く読んだんです。
植松参考人の事前配付資料の中でも、海洋科学の十年が終了する二〇三〇年には誰もがその明確な成果に共感し、人と海洋の調和が実現でき、さらに変貌を続ける地球環境に適応できる社会になることを願っていますと述べられて、この明確な成果との強調をされました。前例のないシステム移行というのと重なるかと思います。
そこで、プラスチックごみの問題でちょっと聞きますが、3R、いわゆるリデュース、リサイクル、リユースでこのプラスチック汚染を低減すると言われていますが、私は、とりわけリデュース、削減が最優先ではないかと思います。サーマルリサイクル、いわゆる熱回収ではプラスチックごみを焼却するわけですから、CO2を排出することになりますし、気候変動、海洋気象に影響を与えることになります。世界でも今、使い捨てプラスチック製品の製造、販売、流通の禁止に踏み込む流れが広がっています。
不必要なプラ製品を生産しないような発生元での削減対策にも取り組むべきではないかと思いますが、植松参考人のその辺りの御所見をお聞きしたいと思います。
【植松光夫 埼玉県環境科学国際センター総長・東京大学名誉教授】
どうもありがとうございます。
そのプラスチックの削減ということと海洋プラスチックによる海洋汚染というのとはちょっと別かなというふうに私は考えております。陸上でプラスチックを使っても、海洋プラスチック、要するにごみが川に流れなければいい、海に流れなければいいんじゃないかという意見も聞きます。それも、でもどうしてもそれは止めることができないということで、何らかの対応をしなければいけないということになっていると思います。
今いろんな意味で、その再生、あるいはプラスチックが分解する、そういった技術というのもいろんなところで取り組んでいますし、その形があるというよりも、もっと今シリアスに私は思っているのは、被膜肥料、あっ、被覆肥料ですね。田んぼにまくそのプラスチックを、覆われた肥料で、時間を掛けると徐々に溶けていく。これで農家は非常に助かっているわけですが、肥料が出た後プラスチックの殻が流れていく、これももっと注目すべきじゃないかというふうに思っています。
それからあとは、芝生ですね、プラスチックの芝生。これも実際に海で調べてみると非常に割合が多い。もっと多いのはやっぱり漁業の漁網とか、そういったものだとは思いますけれども、身近で我々が何とかそれを改善するというのはそういうことだろうと思いますし、新しい素材、これも考えていく必要がある。ごみはごみ箱へというのがまず一番最初に大事じゃないかなと私はいつも思っております。
お答えになってないかもしれませんが、以上です。
【伊藤岳 参議院議員】
プラ製品の大量製造、大量消費という社会の在り方も見直すことが求められていると思いますし、今参考人も言われていました様々な開発も必要だと思うし、リデュース、削減の取組というのも併せて大事かなと思ってお話伺いました。
植松参考人にもう一つ聞きますが、国際的に見て、先ほどSDGsの達成度の順番がありましたけれども、このプラスチックごみの問題についていえば、何位ぐらいに位置付けているとお思いですか。
【植松光夫 埼玉県環境科学国際センター総長・東京大学名誉教授】
済みません、プラスチックごみの、どれだけ、何位かというのは、日本はかなり少ないということになりますが、東南アジア諸国が多いというあかしであります。これも中国が一番多いんですが、人口当たり、一人当たりの廃棄量に比べると、実は中国よりも一番多いのが、東南アジアの国がほとんど上位を占めます。そういう状況ですので、日本は、正確には覚えていませんが、二十何位か三十位ぐらいだったと思います。
以上です。
【伊藤岳 参議院議員】
小林参考人に伺います。
この漁業権や漁獲枠の問題についても、以前もこの調査会では議論になりました。
小林参考人は、漁業権のない漁獲や漁獲量を報告しない漁業、漁獲などの、いわゆるIUU漁業の廃絶を強調されました。事前にいただいた資料を読ませていただきましたけれども、その中でも、日本は漁獲証明書の添付が求められる魚種が国際的に見ても少ないと指摘があることも述べられています。
そこで伺いますが、私は、当然、水産資源の管理が重要であることは論をまたないと思うんですが、個別の漁獲枠が妥当という魚種ももちろん一定あると思います。ただ、その場合でも、漁業者自身が規制方法などを決める、若しくは最低でも同意するということが必要ではないかと思いますし、また、漁獲圧、つまり漁獲資源への影響の強い巻き網漁など、大規模漁業からまずは規制すべきだと私は考えるんですが、参考人の御所見をお聞きしたいと思います。
【小林正典 公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所主任研究員】
ありがとうございます。
この国内での制度設計において、小規模漁業者の参画をどういうふうに図るのかというのは非常に重要な課題だとは思っております。大規模な漁業者、それから水産会社さん、そういったところは組織化されて、そういった意見を、まあ何というか、働きかける、発信する、そういう体制ができ上がっているところがありますけれども、私たちがお付き合いのある小規模漁業者さんというのはそういうところのパイプが事実上余りないというところもありますので、その地域の、特に小規模漁業者さんの意向、状況というものをどういうふうに踏まえていくのかというのは重要かと思います。
おっしゃられた巻き網とそれから沿岸漁業のその対比についても、御指摘のところはいろいろ議論があるところでありますけれども、操業区域、そこが巻き網の場合は遠洋になっているので、巻き網の業者さんからすると、沿岸漁業者さんとの重複はないんだというような御指摘をする方々がいる一方で、特に回遊性の魚種については、巻き網で捕られてしまうことによって沿岸域でなかなか捕れないとか、はえ縄、一本釣りで捕れなくなるとかというところもありますので、その辺り、御指摘のところを踏まえて今制度改革を進めているところではあると理解しておりますが、そのスピードについて、まだ様々な利害関係があって、必ずしも関係団体の方々の満足のいくような形になっているということではなくて、まだ制度の改革の途中なのかなという、そんなふうに見ております。
【伊藤岳 参議院議員】
ありがとうございました。
水産資源の管理と漁業者、とりわけ小規模沿岸漁業を守るということを両立させながら進めていければいいなと思っております。
今日はありがとうございました。