【伊藤岳参議院議員】
日本共産党の伊藤岳です。地方公務員法の改正案で、地方公務員の定年年齢を六十五歳へ段階的に引き上げることを前提に、役職定年制や定年前再任用短時間勤務制が導入されることになります。
総務省に聞きます。地方自治体において段階的に定年年齢を引き上げる期間に、新規採用や非正規職員の採用が継続され、圧迫されないようにすることが必要ではないかと思います。先ほど小林議員も同様の質問をされました。その答弁を聞いていて、よく分かりませんでした。
結局、地方の検討や判断待ちというだけなんですか。当面国としては何もやらないということなのか、いや、今検討中なのか、はっきり答えてください。
【山越伸子自治行政局公務員部長】
御答弁申し上げます。先ほど来御答弁申し上げているとおり、総務省としては、定年引上げ期間中においても、各分野において地方公共団体が一定の新規採用を継続的に確保することが必要であるという認識でございます。
ただ、具体的なこの運用、定年引上げで各団体が運用するに際しましては、各職種の年齢構成であるとか様々な実態を踏まえて、定年引上げ期間中の一時的調整のための定員措置が必要であるかどうかというのをまずは検討していただくことが必要だと思っています。その検討状況をきちんと私どもとして、まずは把握をしてまいりたいと思っています。
その検討状況を把握しながら、どういう考え方で整理をしたらいいかということは、総務省としても、その定年引上げ期間中の新規採用の確保に向けた方法として、一時的な調整のための定員措置の考え方、これを整理をして、留意点ということで必要な助言をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
【伊藤岳参議院議員】
私思うんですけど、国が定員増を図るという意思だとか通知だとか、そのための財政的な措置だとか示さないと、地方の検討進まないと思いますよ。定員増が図られ、業務の継続性が確保されるように、地方自治体への支援を強く求めたいと思います。
コロナ禍で、自治体職員の超過勤務、長時間時間外勤務などが常態化をしています。エッセンシャルワーカーの頑張りと医療従事者などへの負担が社会的注目を浴びていますが、自治体職員の皆さん、身を削るように頑張っておられる様子を見聞きいたします。
武田大臣にまず伺います。コロナ禍での自治体職員の時間外勤務は深刻な事態ではないでしょうか。大臣の認識を聞かせてください。
【武田良太総務大臣】
各地方公共団体におかれましては、令和二年三月の緊急事態宣言の発出以降、検査や疫学調査などの感染防止策、また医療提供体制の確保、迅速なワクチン接種体制の確立などに政府と密接に連携して取り組んでいただいており、改めて心より感謝を申し上げます。
この非常事態の下、国民の命を守るために、保健、福祉、医療を始め、広く地方公共団体の現場では感染症との闘いの最前線での対応が求められており、時間外勤務などの業務負担が非常に高まっているものと認識をいたしております。
【伊藤岳参議院議員】
総務省に聞きます。コロナ禍での自治体職員の勤務実態について、実態を把握しているんでしょうか。また、どのように調査を進めていますか。
【山越伸子自治行政局公務員部長】
お答えいたします。総務省では、毎年、地方公共団体の勤務条件等に関する調査というものを行っておりますが、昨年度からは、この調査の中で各地方公共団体の時間外勤務の状況についても把握をするということにしています。これは、民間企業に合わせた時間外勤務の上限規制が導入されたことに合わせて実施をすることとしたものでございます。
コロナ対策が本格化した令和二年度の状況調査については、現在、準備を進めているところでございます。
【伊藤岳参議院議員】
新型コロナ感染が広がった令和二年度、二〇二〇年度以降の時間外勤務の実態調査はまだないということですか。
【山越伸子自治行政局公務員部長】
現時点で最新のものは令和元年度の状況調査でございますので、令和二年度の状況調査はただいま準備を進めているところでございます。
【伊藤岳参議院議員】
なぜまだ調査していないんでしょうか。新型コロナ感染が広がる中で、自治体職員の時間外勤務は月々急増しているという認識には立たなかったんでしょうか。
【山越伸子自治行政局公務員部長】
御答弁申し上げます。地方公務員の時間外勤務の上限規制につきましては、国家公務員に導入された措置を踏まえまして、条例等で定めていただいて適正に運用するように総務省の方からも助言をしているところでございます。具体的には、時間外勤務の上限を設定した上で、重要で特に緊急に処理することを要する特例業務に従事する場合はその上限時間を超えて時間外勤務を命令することもできるが、その場合にはきちんと要因の分析、検証を行う必要があるという仕組みになってございます。
この制度の下、新型コロナ感染症の対応のための時間外勤務についても、地方公共団体において自らの職員の勤務実態を把握し、必要に応じて職員の健康管理措置や上限を超えた要因分析に基づく是正措置などの対応を図っていただく必要があると認識をしております。
総務省としては、先ほど申し上げた勤務条件等に関する調査の中で状況を把握しつつ、この上限規制の適正かつ実効的な運用が図られるよう助言をしてまいりたいと考えております。
【伊藤岳参議院議員】
私聞いているのは、毎月々急増しているその状況を緊急にでも調査しなかったのかということなんですよ。認識が甘いと思います。
総務省が発出した二月三日の通知には、平成三十年に制定された、いわゆる働き方改革関連法による時間外勤務の上限規制の制度の導入及び長時間労働者に対する健康確保措置の強化並びにこれらに関連した国家公務員制度の対応は、地方公共団体も当然その改革趣旨に沿って対応すべきものと書かれているだけでありまして、新型コロナ対応による時間外勤務を縮減するとの観点は全く抜け落ちていると思います。
私は、新型コロナ感染第三波が広がった昨年秋の時間外勤務の状態を聞いてきました。自治体労働組合総連合埼玉県本部が実施したアンケートの結果です。埼玉県西部にある、ある市のアンケートには、正規、非正規全職員の三割を超える回答が寄せられました。コロナの影響で仕事量はどうなったかの問いに、三九・九%の方が、全体として増え、忙しくなったと答えています。
また、過労死ラインの月百時間以上の時間外労働が全ての市町村であります。四十市中、四十市中五市では正規職員数比五%以上の方が月百時間以上の時間外労働。また、月八十時間以上百時間未満の時間外労働も全ての市でありまして、四十市中十二市で正規職員数比五%以上の方がこういう時間外労働をしています。また、月四十五時間以上八十時間未満の時間外労働は、二市で何と正規職員数比一〇〇%を超えていました。
組合側の説明によりますと、飲食店への訪問、保健所への支援などの業務が加わったことが大きい、今後ワクチン接種への支援も加わり、この傾向は更に拡大するだろうというお話でした。
今日、資料をお配りしました。資料一を御覧いただきたいと思います。コロナ疲れ、職員もう限界、検査、調査、時間外も多忙、食事の暇なし、帰宅は深夜、人員拡充を家族ら訴え。これ、河北新報四月十五日付けの報道であります。この記事の中では、市は今月、保健所への全庁的な応援態勢をようやく組んだが職員の労働環境はもはや限界を突破している、時間外労働は過労死ラインとされる月百時間を優に超えるペースだ、三月中旬からの一か月間で終電に乗って帰宅できたのはたった三回、午前三時半に帰宅しても翌朝は通常どおり午前八時半に出勤する、夕方を過ぎる頃にやっと昼食を取る、それも持参したおにぎりをかじる程度でほとんど持ち帰ってくるなどと書かれていて、記事の最後には、公務員は労働基準法が適用されないため、市は時間外労働の上限を条例で定める、だが、新型コロナ対応は大規模災害時と同様、市民の生命、身体保護に必要な特例業務とされ、適用されていないと指摘をしています。また、新型対応に関わる職場の実態を調べる必要があるとの市職員労働組合書記長の話も紹介をしております。
また、昨日夕方に放映されたNHK「首都圏ネットワーク」の中でも、千葉県庁で月八十時間以上の時間外労働が三百四十四人、こうした状態が昨年四月からの調査で十か月以上続いているとの報道がありました。この件について職員組合の方に問い合わせたところ、昨年度、千葉県庁では六名の現職死亡があり、そのうち三名が自殺というかつてない実態だったそうです。超過勤務命令の上限を超える働かせ方が職員を精神的にも追い詰め、命をも落とす事態ともなっています。
大臣の見解を聞きます。コロナ禍での自治体職員の時間外勤務の詳細な実態を調べる必要があるんじゃないでしょうか。しっかり把握して、必要な対応を検討すべきではないでしょうか。いかがですか。
【山越伸子自治行政局公務員部長】
お答えいたします。新型コロナの対応につきましては、先ほど申し上げた、上限を超えて命令をすることができる重要で特に緊急に処理をすることを要する特例業務に当たるということで、上限を超えた労働がなされているという実態が確かにあるんだというふうに思います。これは、この令和二年度の実態につきましては、先ほど申し上げた勤務条件等調査の中できちんと把握をしてまいりたいと思います。
加えまして、その上限を超えて時間外勤務を命令した場合の要因分析の検証についてどういう取組をされているかということについても、地方公共団体の取組状況について総務省としてきちんと把握をし、必要な助言をしてまいりたいというふうに考えております。
【伊藤岳参議院議員】
だから、先ほど来言っているように遅いんです、調査が。年ごとの調査じゃ間に合わないんですよ。命をも落とす事態が生まれています。
大臣、一番の対策は人員増、人を増やすことじゃないでしょうか。超過勤務命令の上限を超えて働かせるような人手不足の現状があるのならば、自治体職員を今増やすべきではないですか。
【武田良太総務大臣】
地方公共団体の定員管理につきましては、各団体において行政課題に的確に対応できるよう、採用の在り方も含め、地域の実情を踏まえつつ適切に取り組むことが重要と考えております。総務省としては、新型コロナへの対応を踏まえ、保健所において感染症対応業務に従事する保健師を増員するために必要な地方財政措置を講じており、これを踏まえ、早急に保健所の体制強化に取り組んでいただきたい旨、各地方公共団体に周知をいたしております。
先ほども申し上げましたが、令和三年度の地方財政計画におきましては、こうした保健師の増を見込むことなどにより、職員数全体で対前年度比二千七百九十二人の増としているところであります。
【伊藤岳参議院議員】
資料をもう一枚お配りしました。御覧をいただきたいと思います。この二十七年間、自治体職員は削減され続けてきたのが実態です。総務省は、地方行革に取り組み、二〇〇五年からは集中改革プランを推進し、地方公務員の大幅な定員削減、過去五年間を超える純減、マイナス四・六%を推進、推し進めてきましたが、その推移を示した総務省の作成の資料です。
総務省に聞きます。この総務省資料、自治体戦略二〇四〇構想研究会の資料ですが、地方公務員の大幅な定数削減を迫った集中改革プランの推進により、二〇〇五年度からの五年間で地方公務員はマイナス七・五%の純減。この時期、国家公務員はマイナス五・三%でしたから、国家公務員の純減をはるかに上回っている。これ間違いないですか。
【山越伸子自治行政局公務員部長】
地方公共団体の総職員数は、集中改革プラン期間中の平成十七年度からの五年間で七・五%の削減ということで、このデータのとおりでございます。
【伊藤岳参議院議員】
こうして国の施策によって自治体職員数が根本的に不足している脆弱な体制の中で、この間の大規模災害やコロナ対応に困難な地方行政運営を強いられてきているんではないでしょうか。これがコロナ禍での自治体職員の時間外勤務の原因ではないでしょうか。
コロナ禍からの大きな教訓は、国の自治体リストラ路線を根本から転換して、パンデミックの下でも住民生活を支える公的基盤を再構築することだということを私は強く訴えたいと思います。
コロナ禍での自治体職場では、次のような問題も浮き彫りとなっています。埼玉県南部のある市の消防職員からの訴えです。消防署内は、ベッド、シーツも共有、就寝スペースもパソコンも机も共有との不安の声です。
新型コロナウイルス感染症の再度の感染拡大に備えた消防本部の業務継続のための当面の留意事項についてという消防庁の通知が発出されたのが昨年六月三十日、一年近くたってもこの通知にある、仮眠室のシーツなどは他の職員との共用をやめ、個人ごとの配布にするなどが徹底されていないと思います。消防署は、消防業務はもちろんですが、新型コロナ患者の救急搬送も担っています。消防庁、対応を徹底すべきではないでしょうか。
【山口英樹消防庁次長】
お答えをさせていただきます。委員御指摘のとおり、消防機関は、消火、救助、そして新型コロナ対応を含む救急業務など、業務を継続する必要がございます。また、交代制勤務という特殊性もございます。そういう観点から、消防職員の感染防止対策は大変重要であると、このように考えております。消防庁といたしましては、新型コロナウイルス発生当初から、政府の基本的対処方針ですとか消防機関における新型インフルエンザ対策のための業務継続計画ガイドラインなどによりまして、助言や情報提供等を行ってきたところでございます。
委員からもお話がございましたが、昨年の六月三十日付けで、職員の感染事例が発生した消防機関からのヒアリング結果を踏まえた通知を出させていただいているところでございます。その中では、感染防止資器材の確保や消防本部内での感染防止対策の徹底等について要請しておりまして、具体的には、仮眠室のシーツ等の共用をやめ、個人ごとの配付とすることなどについて具体的に助言等をしているところでございます。また、昨年十月……(発言する者あり)はい、十月にも繰り返し要請等をしているところでございます。
【伊藤岳参議院議員】
ありがとうございます。別の消防職員からの訴えを紹介します。発熱の傷病者への対応が不安、病院が決まらず接触時間が長くなっているとの声です。消防救急隊員は医療従事者等としてワクチン接種の優先接種の対象となっていますが、その接種状況、どうなんでしょうか。読売、五月二十七日付けによりますと、救急隊員接種完了一五%、都と二十政令市でと報じていますが、これ間違いないですか。
【山口英樹消防庁次長】
まず、救急隊員等につきましては、優先接種の対象とされているところでございます。読売新聞の報道内容については私どもが調査した数値ではございませんが、私どもの方が、五月十日時点で、東京消防庁、あるいは政令指定都市本部、あるいは各都道府県の代表消防本部、計五十二本部に対しまして、五月十日時点に既に接種が始まっているかどうか、その開始時期と終了時期を聞いたものはございます。それについて御説明させていただきますと……(発言する者あり)はい。以上でございます。
【伊藤岳参議院議員】
時間ですので終わりますが、消防庁、総務省が消防救急隊員のワクチン接種の状況把握と対策について積極的な役割を担うことが必要だということを求めて、質問を終わります。