議事録

2021年5月12日 国際経済・外交に関する調査会(海洋に係る教育及び人材育成の現状と課題)

【伊藤岳参議院議員】

 日本共産党の伊藤岳です。参考人のお二人の方、今日は貴重なお話ありがとうございました。先ほどお父様が船乗りというお話がありましたが、私もひいおじいちゃんが外国を行き来する商船の船長をやっていた、会ったことないですが、そういう意味で興味を持って話を聞かせていただきました。

 まず、逸見参考人に伺います。いただいた資料によれば、現在、文科省所管の商船系大学が二校、高等専門学校が五校あり、国交省所管では海上技術学校が四校、海上技術短大が三校、海技大学校が一校あるということです。今後、女性も含めて船員育成を考えたときに、参考人も言われましたが、養成機関の努力だけでは限界があるということはよく分かりましたけれども、学校教育施設の数としてこれで十分なのかどうかということ。また、ほかの学校教育施設と違って、船などの設備費用ですとか技術者ですとか維持運営費が相当掛かると思います。国からの財政支援など、何か国への要望などあればお聞かせいただきたいと思います。

 

【逸見真東京海洋大学学術研究院海事システム工学部門教授】

 御質問ありがとうございます。商船教育機関につきましては、おっしゃるとおり、資料にもございますこちらの方で、ある意味フル生産みたいな形で今ずっと指定させていただいているんですけれども、海洋大学について、先ほどお話ししましたとおり、定員全員が海運界、船員に進学するとは限らないということですね。必ずそこでは就活というフィルターが掛かるということです。特に、外航の海運会社はインターナショナルな部分がありますからそれなりのレベルの高い人材が欲しいということはありますんで、こういうふうにして、定員全員が就活はなかなか難しいという現状にあるということになるかと思います。

 ほかのちょっと商船教育機関については私は余り詳細は分かんないんですけれども、海技教育機構の海上技術学校、海上技術短期大学校、海技大学校、こちらの方はほぼ就職は、一〇〇%まで行かないのかもしれませんけれども、そういう状況かなと思います。

 内航海運、それから外航も含めまして、日本人船員の現状からしますと、ある意味ソースは足りないというふうに言っていいのかと思います。ですから、これに定員を増やすとか、新しい養成機関をつくる、課程をつくるということは、これは前向きに考えていただいても全く問題ないと思うんですが、単純に、養成機関を増やしました、じゃ、採用してくれますかといったら、必ずしもそうではないということもありますし、養成機関をやはり増やしますと、教える人間をまた確保しなければいけないという問題があります。教える人間は、大学であれば教養教育等々がありますので、普通の大学と同じような先生の採用ということでいいかと思いますが、海技教育機構の学校の場合には、ある意味実務を知った先生の方がよりいい学生の教育には寄与するのではないかなというふうにちょっと私考えております。私もちょっと海技教育機構の海技大学校に過去五年ぐらい勤務したことがありますので、そういう経験からお話をさせていただいているということです。

 設備に関しましては、これは、例えば海洋大学にいたしましては、ほかの大学と同じように毎年国の交付金が減らされている状況でして、なかなかやっぱりやりくりが非常に難しい状況だということで、これはうちの大学だけじゃなくて、ほかの国公立大、国立大学はみんな同じかと思うんですけれども、そういうふうな中で、大学の方も何とかそういうふうな 予算を獲得しようということで頑張っているようなところかと思います。

 今年、うちの大学、海洋大学の練習船の汐路丸というものがあるんですが、今年ちょうど就航するんですけれども、三十年ぶりの就航ということで、今ちょうど走っている船が、ある意味、ちゃんと走れるんですけれども、ちょっとくたくたな状況で、逆に言うと、ここまで待ってようやく造っていただいたという感じかもしれません。

 それから、海技教育機構には、六隻の練習船、二隻の帆船と四隻の汽船があります。リプレースもされておりますけれども、ほかの養成機関の練習船も含めますと、資料にもありますとおり、もう船齢も大分たっておりまして、リプレースが必要だということもあります。

 国はなかなか予算の面で苦しいということも分かるんですけれども、海技人材を少しでも多く増やしたい、養成したいということにはこういうふうなツールは絶対必要になりますから、是非是非この点は先生方の方でまた声を上げていただいて、予算を回していただくような形にしていただければいいと思います。以上です。

 

【伊藤岳参議院議員】

 御意見ありがとうございます。茅根参考人に伺います。

 海洋基本法には、学校教育と水族館や博物館などの社会教育施設との有機的な連携を促進するというふうに書かれております。そこで、海洋教育の実践という点で、小中学校の学校教育との連携の期待は小さくないと思うんですが、そこで、小中学校の教員自身が海洋教育を学べるように支援するですとか、今は小中の教員も週二十時間以上の時間外労働が恒常化しているとか、労働条件の改善も必要かと思ったりするんですが、いずれにしても、その豊かな教育、海洋教育の実践と学校教育との連携という点で日頃先生がお感じになっていることや期待や要望などがあれば伺いたいと思うんですが。

 

【茅根創東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター副センター長】

 実際、現在、現場の先生方非常に忙しい、新たにこれをやってくださいというような状況ではないというのはよく現場に行ってみて分かりました。

 その中で、我々、教員の先生方の海洋教育に対する資質を高めるために教員研修も行いましたし、それ以上に、おっしゃられたように、社会教育施設との連携も必要だというふうに思います。先ほど来、安全の問題も出てきますけれども、教員の、学校の先生方に全てそれを押し付けるのではなくて、海のプロの人たちに安全について、あるいは水族館等との連携で社会教育と連携していくことが必要だというふうに考えております。

 

【伊藤岳参議院議員】

 ありがとうございました。終わります。