【伊藤岳参議院議員】
日本共産党の伊藤岳です。全国各地の病院などで新型コロナ感染のクラスターが発生をしています。厚生労働省新型コロナ感染症対策本部DMATが十六県、百六十一か所、クラスター対策班が三十九県、百二十六か所のクラスターの現地に派遣されていると聞いています。かなりの箇所に上ります。
私の地元、埼玉県戸田市の病院においても大規模なクラスターが発生しました。同病院では、十一月十七日に医療従事者の感染を初めて確認し、その後、感染が広がり、十二月下旬に急速に増加、一月十九日には職員百六十九名、患者百四十九名、合わせて三百十八名の感染が確認され、三十一名が亡くなるという事態に至りました。
同病院は当該医療圏で二次救急輪番医療機関などの役割を担っていますが、その機能が果たせずに、救急搬送時間が従来に比べ十分ほど延びた、戸田市消防本部のコメントですが、など、地域医療にも重大な影響を及ぼしています。初動の遅れとの指摘があります。クラスター対策班も入っていますが、収束に向けて国も全力を挙げていただきたい。
厚労省に聞きます。十一月十九日、事務連絡で、高齢者施設等への重点的な検査の徹底について要請が発せられている。この連絡では、高齢者施設等のクラスター防止のためにPCR検査を徹底するように要請し、費用は行政検査として措置するか、自主検査を実施した場合には緊急包括支援交付金の補助の対象となるとしています。間違いないでしょうか。
【宮崎敦文厚生労働省大臣官房審議官】
お答え申し上げます。まず、委員御指摘のとおり、医療機関における感染、起きた場合の対応というのは非常に重要でございます。特に医療機関や高齢者施設等の入院、入所されている方は感染された場合に重症化するリスクが非常に高いので、こうした施設内感染対策を強化していくことが重要でございまして、クラスターが多数発生している地域などにおきましては、医療機関や高齢者施設等に対しまして積極的に検査を実施するようにお願いをしてまいりました。
御指摘の昨年十一月十九日付けの事務連絡におきましては、このクラスターが医療機関や高齢者施設等において発生していた状況を踏まえまして、医療機関等の入所者又は従事者で発熱等の症状を呈する方については必ず検査を実施すること、検査の結果、陽性が判明した場合には、入所者及び従事者の全員に対して原則として検査を実施することなどを都道府県等に対して要請した、こういうような内容のものとなっているところでございます。
【伊藤岳参議院議員】
クラスターを止める上でPCR検査の徹底が鍵になっています。広島県内のある病院で十二月中旬にクラスターが発生しました。しかし、一月十日には全ての通常業務を行えるまで回復しているそうです。同病院では、初めて感染が確認された直後から徹底した感染防止策と集中的なPCR検査を行った。PCR検査は、僅か十日余りで、医師、看護師など全職員と感染が疑われる患者さん合わせて二千件を超えているそうです。こうした結果、四人の感染が確認されたその六日後からは段階的に手術を再開、一月十日には全て通常業務に戻ったそうです。大変教訓的な事例だと思います。PCR検査の費用負担が焦点となっています。同病院の担当者は、国への要望として、病院の判断で実施したPCR検査費用は約三千万円になるが、この検査費用の負担を助成していただければと言われています。クラスターを発生させないために、病院などの判断で実施するPCR検査費用は全額国庫負担で措置すべきだと求めたいと思うんです。
武田大臣にお聞きします。公立病院は、新型コロナ感染患者の受入れも担い、地域医療の最後のとりでとなっています。公立病院にも、さきの事務連絡、高齢者施設等への重点的検査の徹底についてのその内容が実施されることが重要だと思いますが、大臣の認識を伺いたい。
また、そのPCR検査費用は全額国庫負担で措置するスキームを検討するべきではないかと思います。どうですか。
【武田良太総務大臣】
公立病院におけるPCR検査の積極的な実施、これは大変重要だと認識をいたしております。先ほど答弁があったとおり、厚労省から既に通知がされておりますけれども、総務省としても、全国自治体病院協議会と連携して、公立病院に対しまして、PCR検査の積極的な実施について様々な機会に周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
多数の感染者、またクラスターが発生している地域では、医療機関の勤務者や入院者は無症状であっても行政検査の対象となるため、厚生労働省所管の感染症予防事業費等国庫負担金により事業費の二分の一を国が負担し、残り二分の一の地方負担分につきましては、内閣府所管の地方創生臨時交付金により全額措置されると承知をいたしております。また、地方創生臨時交付金を行政検査以外のPCR検査経費にも充てることも可能であると、このように承知をいたしております。各地方団体は現場を担い、感染症対策や蔓延防止に一生懸命取り組んでいただいておりまして、今後も積極的に公立病院におけるPCR検査を始めとした感染症対策に取り組んでいただけるよう、総務省としても関係省庁としっかり連携して、適切に対応してまいりたいと考えています。
【伊藤岳参議院議員】
PCR検査の徹底においては、財政負担の心配をなくすこと、やっぱり全額見るということが重要な課題だと思います。是非検討を更に進めていただきたいと思います。
次に、地方交付税法改正では減収補填債の適用拡大が盛り込まれていますが、関連して特別減収対策企業債について聞きたいと思います。大臣、総務省は病院を始め公営企業における特別減収対策事業債を二〇二一年度も延長するとしていますが、一般会計繰入れに対する交付税措置の拡充や、また無利子貸付制度をつくるなど、公立病院を始めとする公営企業の減収を更に踏み込んで支援する必要があるんじゃないでしょうか。いかがですか。
【武田良太総務大臣】
新型コロナウイルス感染症の影響によって病院や交通など公営企業の料金収入が減少し、資金繰りに影響が生じるおそれがあることから、同感染症に伴う減少による資金不足に対して発行する特別減収対策企業債につきましても、令和三年度も引き続き発行できることといたしました。当該企業債は、償還利子負担の軽減を図るため特別交付税措置を講じることとしておりますが、これは過去の災害における対応、また民間病院への同種の融資制度等も踏まえて講じているものであります。
今後とも、新型コロナウイルス感染症による公立病院への経営の影響を注視しつつ、民間病院への対応等とバランスも考慮しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
【伊藤岳参議院議員】
コロナ感染の拡大で公立病院の経営は一層深刻となっています。検討を進めていただきたい、強く求めておきたいと思います。踏み込んだ対策を更に。
次に、地方創生臨時交付金に関わってお聞きします。PCR検査の行政検査費用の二分の一の地方負担分について、菅総理は、地方創生臨時交付金も活用しつつ、実質的に全額国の負担で実施できるようにしていると言われていますが、地方自治体からは、いつになったら交付金が届くのか、本当に全額見てくれるのかなどの不安の声がたくさん寄せられております。
そこで、内閣府にお聞きしたい。一月七日付けで地方創生臨時交付金の国庫補助事業等の地方負担分の執行上の取扱についてという通知が発出されました。その内容について確認をしたい。一つ、第一次補正の国庫補助事業等の地方負担分を算定基礎とする三千億円は三月末までに交付するということでいいのか。二つ、PCR検査などの法定率事業の一部を本省繰越しとするが、PCR検査の地方負担分は来年度も使えるということでいいのか。三つ、第三次補正で追加された一兆五千億円のうち、国庫補助事業の地方負担分を算定基礎とする三千億円は本省繰越し、つまり来年度も使えるということでいいのか。いかがですか。
【長谷川周夫内閣府地方創生推進室次長】
お答え申し上げます。第一次補正予算で措置された地方創生臨時交付金一兆円のうち、国庫補助事業の地方負担分として約三千億円を確保しているところでございます。この地方負担分につきましては、各省の交付状況に応じて地方創生臨時交付金の交付手続を進めることとしておりまして、各省において十二月末までに交付決定された国庫補助事業につきましては、年度内に地方創生臨時交付金を交付することを予定して現在手続を進めているところでございます。
二つ目の点ですが、地方創生臨時交付金における国庫補助事業の地方負担分については、今申し上げた一次補正の三千億円に加えまして、第三次補正予算案におきましても三千億円を盛り込んでおります。御指摘の行政によるPCR検査に係る地方負担分につきましても、先ほど総務大臣から御答弁がありましたように、算定対象に含んでおるところでございます。一方で、多少テクニカルになるんでございますけれども、行政によるPCR検査につきましては、感染症法の規定によりまして二分の一が都道府県の負担と規定されておりますため、地方創生臨時交付金、これも国費でありますので、直接当該事業の地方負担分に充当することができません。したがいまして、その相当する金額につきまして、その自治体の方でその他の必要な事業に充当していただく必要があるわけでございます。当該事業の地方負担額を算定の基礎として交付される地方創生臨時交付金につきましては、地方公共団体の実情に応じまして、本省繰越しを行う検討を進めてまいります。
それと、三点目でございます。三次補正で追加されました臨時交付金一兆五千億円のうちのその国庫補助事業の負担分として、先ほど申し上げましたように三千億円を確保してございますが、この執行の方法につきましては、今後、各省の国庫補助事業の交付状況も踏まえまして、本省繰越しも含め、今後検討してまいりたいと思っております。
【伊藤岳参議院議員】
つまり、PCR検査を含め、地方創生臨時交付金の国庫補助事業の地方負担分を算定基礎とした交付金ですね、地方自治体への交付は今遅れているけれども、三月末までには交付されるということですね。また、来年度に繰り越す分も含めて全額が地方自治体に交付される、届くということでいいですね。
【長谷川周夫内閣府地方創生推進室次長】
お答え申し上げます。各省において十二月……(発言する者あり)はい。十二月末までの交付決定が済んだものにつきましては、年度内に私ども交付させていただくと。それ以降に交付されるものにつきましては、次年度に交付させていただくような方向で今検討を進めております。
【伊藤岳参議院議員】
確認をしたいと思います。日本共産党は、PCR検査については全額国庫負担で行い、厚労省の感染症予防事業費等負担金の国庫補助を十分の十に引き上げて、直ちに対応することを提案をしています。
地方自治体からは、PCR検査の実施に対する国庫負担分の交付への注目が集まっています。今日、三ッ林内閣府副大臣に来ていただきました。PCR検査実施に対する国庫負担分の交付について、地方自治体に対してその仕組みやスケジュールを分かりやすく早期に周知徹底するべきではないでしょうか。いかがですか。
【三ッ林裕巳内閣府副大臣】
伊藤岳委員にお答えいたします。先ほど政府参考人から答弁にありましたように、各地方公共団体におけるPCR検査が円滑に進むよう、これまでにも国庫補助事業の地方負担分に対する地方創生臨時交付金の取扱いについて事務連絡等による周知をしてまいりました。第三次補正予算についても、PCR検査の地方負担分について、地方創生臨時交付金の算定対象に含まれているところであり、補正予算成立後、執行が円滑に進められるよう、引き続き制度の詳細について地方公共団体に分かりやすく周知徹底していきたいと考えております。
【伊藤岳参議院議員】
副大臣、事務連絡が非常に分かりづらいという声が多いんです。今日、配付資料をお配りしました。これ、先日行われた全国都道府県財政課長・市町村担当課長会議の総務省側の発言の抜粋なんですが、例えばこの下から十行目、ある首長さんは、PCR検査の負担金の二分の一負担は自己負担だと、自分で財源を出していると言うが、そんなことなく、PCR検査とか地方負担があるコロナの関係は、これから三千億円の財源を使って補助裏に充てるお金が各自治体に行くと、非常にこれ分かりやすく書いてあります。
PCR検査は全額国が負担するというのであれば、ずばりそのものを分かりやすく周知徹底するべきではないかと思います。是非そのことを強く求めておきたいと思います。
時間になりました。もう一問聞こうと思ったんですが、これは飛ばさせていただきます。今、本当に地方自治体は住民の命と暮らしを守る先頭に立って頑張っておられます。その自治体に寄り添った対応を強く求めて、私の質問を終わります。
【以下、地方交付税等改正案(補正予算)の反対討論】
【伊藤岳参議院議員】
私は、日本共産党を代表して、地方交付税等改正案に対する反対討論を行います。
新型コロナウイルスの感染拡大で地方税の減収が大きく見込まれる中、減収補填債の適用拡大は地方自治体の強い要望に応えたものであり、妥当なものです。しかし、国税減収に伴う地方交付税総額の減額に対する加算については、国と地方の折半ルールを踏襲し、将来の地方交付税財源を先食いしてつじつまを合わせるもので、賛成できません。
地方交付税法は、毎年度の交付税総額の見積りは総務大臣の権限と責任であり、地方財政計画の策定は内閣の義務であると規定をしています。年度当初に見込んだ地方交付税の総額は、国の責任で確保すべきです。新型コロナ対策を始め、今後、地方自治体が住民の命と暮らしを守る役割を一層果たしていくためにも、国の責任を明確にして、地方交付税総額の確保の在り方を見直すべきです。以上述べて、討論といたします。